90 / 97
傍若無人
しおりを挟む
「おっと、その前に王へのお願いがございます。ワタシは畏った喋りが得意ではございません。普段通りの話し方で接してもよろしいでしょうか?」
太公望が和かに許可を求める。
「クックッ、お前は仙人界の仙人道士。畏る必要などない。普段通り話すが良かろう」
「コホン。では、すまんのうダリクよ。質問しても構わぬよ」
ダリクの顔が一瞬微妙に引きつる。ジオンとミリシャも、否、謁見の間にいたダークエルフ全員の顔が引きつっていた。
「では最初の質問だ。その腰にぶら下げている巾着袋の中には、この世で我らが最も憎んでいる猿が入っているのだろう?」
太公望はジオンの方を振り向き睨む。
ジオンは何か伝えようとジェスチャーをしているがヘタクソ過ぎてさっぱり伝わらない。
ダリクの方へ向き直り答える。
「経緯は分からんが孫悟空の事は既に知っておるようじゃのう。悟空よ外に出て来い」
「ヒュッ」と音がして悟空が普通サイズに戻り姿を現す。
「やっと楽に慣れたぜ。袋の中は窮屈で堪らん」
ダリクがジッと悟空を見ている。
「猿、久しいな。ワシの顔を覚えておらぬか?」
悟空はダリクの顔をジッと見返す。
「う~んすまん、全くもって見覚えが無い」
「プチン」と音が聞こえそうなほどダリクの顔が明らかな怒りで豹変した。
「貴様に殺された先代の王アザッドの息子だ!このクソ猿めが!」
悟空は王の凄まじい怒りのプレッシャーに対し微塵も動じていなかった。
「ジオン達に過去の件はもう話したから同じ話はしないぞ。それでもオレとやり合おうってんなら一つ教えておいてやる」
悟空は太公望の表情を確認したが諦めているのか止めるつもりは無いらしい。
「猿めが言ってみろ!やり合えば何だというのだ!」
悟空が耳を掻く仕草をして耳にしまっていた小さい如意棒を取り出す。
「この国の全員が纏めてかかって来ても全て蹴散らしてやる。100年前と同じ歴史を繰り返す事になるぞ!」
言い終わると同時に通常の大きさに戻った如意棒の先を垂直に床へ叩きつける。
「ボゴッ!」と音を立てて石の床はヘコみ、如意棒を中心に人を吹き飛ばす程の威力のある衝撃波を起こす。
近距離に居たダークエルフが吹き飛ばされる。言うまでもなく一番近くにいた太公望も衝撃波をもろに受け、真っ先に部屋の壁まで吹き飛ばされていた。
衝撃波の威力も去ることながら、傍若無人な悟空の行動に謁見の間に居た全員が驚愕していた。
ただ一人を除いては...
「ゴルゥアーーーッ!黙って見て居れば何してくれとんじゃーーーっ!アレ使って地獄見せてやんぞ!このボケ猿がーーーッ!」
吹き飛ばされた際に顔を壁に激しくぶつけ、誰よりも怒り狂う太公望であった。
忘れられているかも知れないが、この太公望は女性です。
太公望が和かに許可を求める。
「クックッ、お前は仙人界の仙人道士。畏る必要などない。普段通り話すが良かろう」
「コホン。では、すまんのうダリクよ。質問しても構わぬよ」
ダリクの顔が一瞬微妙に引きつる。ジオンとミリシャも、否、謁見の間にいたダークエルフ全員の顔が引きつっていた。
「では最初の質問だ。その腰にぶら下げている巾着袋の中には、この世で我らが最も憎んでいる猿が入っているのだろう?」
太公望はジオンの方を振り向き睨む。
ジオンは何か伝えようとジェスチャーをしているがヘタクソ過ぎてさっぱり伝わらない。
ダリクの方へ向き直り答える。
「経緯は分からんが孫悟空の事は既に知っておるようじゃのう。悟空よ外に出て来い」
「ヒュッ」と音がして悟空が普通サイズに戻り姿を現す。
「やっと楽に慣れたぜ。袋の中は窮屈で堪らん」
ダリクがジッと悟空を見ている。
「猿、久しいな。ワシの顔を覚えておらぬか?」
悟空はダリクの顔をジッと見返す。
「う~んすまん、全くもって見覚えが無い」
「プチン」と音が聞こえそうなほどダリクの顔が明らかな怒りで豹変した。
「貴様に殺された先代の王アザッドの息子だ!このクソ猿めが!」
悟空は王の凄まじい怒りのプレッシャーに対し微塵も動じていなかった。
「ジオン達に過去の件はもう話したから同じ話はしないぞ。それでもオレとやり合おうってんなら一つ教えておいてやる」
悟空は太公望の表情を確認したが諦めているのか止めるつもりは無いらしい。
「猿めが言ってみろ!やり合えば何だというのだ!」
悟空が耳を掻く仕草をして耳にしまっていた小さい如意棒を取り出す。
「この国の全員が纏めてかかって来ても全て蹴散らしてやる。100年前と同じ歴史を繰り返す事になるぞ!」
言い終わると同時に通常の大きさに戻った如意棒の先を垂直に床へ叩きつける。
「ボゴッ!」と音を立てて石の床はヘコみ、如意棒を中心に人を吹き飛ばす程の威力のある衝撃波を起こす。
近距離に居たダークエルフが吹き飛ばされる。言うまでもなく一番近くにいた太公望も衝撃波をもろに受け、真っ先に部屋の壁まで吹き飛ばされていた。
衝撃波の威力も去ることながら、傍若無人な悟空の行動に謁見の間に居た全員が驚愕していた。
ただ一人を除いては...
「ゴルゥアーーーッ!黙って見て居れば何してくれとんじゃーーーっ!アレ使って地獄見せてやんぞ!このボケ猿がーーーッ!」
吹き飛ばされた際に顔を壁に激しくぶつけ、誰よりも怒り狂う太公望であった。
忘れられているかも知れないが、この太公望は女性です。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説

貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる