覚醒屋の源九郎 第一部

流川おるたな

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目覚めの粉

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「おぬしらの王子イバシュが人間界の支配を目論んでいるのは分かった。それはさて置き、おぬしらも人間界の支配が目的なのか?」
 ジオンの返答如何に寄ってはこの一団を解放する事は出来まい、太公望はそう考えていた。
「...人間界を支配する事は我らの目的ではない。我らの目的はイバシュ様の手助けをする事、ただそれだけだ」
 太公望は密かにホッとする。
「ふむ、おぬしらには教えておかねばならんのう。わしと悟空はな、仙人界のトップ元始天尊から人間界と精霊妖精界の平和を守る命を受けて動いておるのじゃ」
「なに!?貴様はともかく、その猿も平和の為に動いているというのか!?」
 悟空の過去にやらかした事件を鑑みれば、ジオンの反応は至極もっともであろう。
 黙っていた悟空が割って入る。
「オレ様もこれだけ長く生きていれば、色々考えて神格化したいという欲望も出てくる訳よ。そりゃまぁ神格化を志す者なら、それなりの実績を残さないといかんからなぁ」
「ハッ、猿が神になりたいとは笑わせる」
 余計な一言で悟空がジオンをキッと睨みつける。
「まぁまぁ、悟空よ落ち着け。些細な事でカッとなるようでは、神となる道は遠のくばかりだぞ。ジオンも気持ちは分からんでもないが話しが進まんから少し慎め」
 太公望が二人を嗜める。
「でじゃ、人間界を支配する事はおぬしらの目的で無いのらば、他の方法でイバシュを助けるというのはどうじゃ?とにかく、わしと悟空はおぬしらをこのまま人間界に行かせる訳にはいかん。つまり、最悪おぬしらを亡き者にせねばならぬのじゃよ。良く考えてくれんかのう」
 今度は流石にジオンも黙り込み考えているようだ。
「...俺の一存で決められる事では無い。悪いが他の仲間と話しをさせて貰えないだろうか?」
「構わんよ、では待っておれ」
 太公望は腰巾着の中に手を入れ、黄銅色をした薬のような粉の入ったガラス瓶を取り出す。
 瓶の蓋を開け中から粉を取り出し、気を失っている一団にバラ撒いた。
「これは目覚めの粉と云ってな。少しの体力回復効果と意識を失っている者を目覚めさせる事が出来るのじゃ」
 全員にバラ撒き終わり1分も経たないうちに一人、また一人と意識を取り戻していった。
「いててて...あ~あ、やっぱりあたい達は負けちまったみたいだねぇ」
 ミリシャは目覚めて早々ボヤいている。
 カルンも目覚め、辺りを見回し太公望、悟空、ジオンの姿を確認して口を開く。
「ジオン、此奴らと何か話でもしていたのか?」
 明らかに見た目ではこの一団で最年長のカルン。この3人にの中で何かがあったと察したらしい。
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