覚醒屋の源九郎 第一部

流川おるたな

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 夜更かしと疲労から結局昼時まで爆睡してしまった。
 みくると連絡を取り、事務所に夕刻来てもらうようにしている。
 午後から事務所を開けていると一本の電話があった。 
 お婆さんがオレオレ詐欺系の詐欺にあったとの事。この案件は専門家に連絡して解決した方が善いと思い、警察や消費者生活センターへの連絡を勧めさせてもらう。「それで解決しなかった場合は、またこちらにご連絡ください。その際は全力でお手伝いさせて頂きます。」と、申し訳ないが丁重にお断りした。本当に再度お婆さんから電話があったら、絶対解決してあげようと心に誓う。
 夕方になり、みくるとリアーネがご機嫌で訪れた。きっと吉報を待ち侘びているのだろう。
「では、結論から。藍里さんは自宅の部屋に居たよ」
「そうなんだ~、取り敢えず居場所が分かってホッとしたぁ。でも良く部屋に入れたね」
「まあね。方法は企業秘密という事で」
インビジブルの件はバレるまでは黙っておこう。テヘ。
「元気そうだった?」
「ん~元気といえば元気だったんだけどちょっと問題があってね」
「藍里に何か問題でも?」
 訝しげな表情で質問してするみくる。
 度ストレートに答えよう。
「正直に言うよ。彼女は仙人界から来た九尾狐の妲己という奴に操られている。洗脳されているって言ったほうが分かりやすかな」
「妲己、洗脳...つまり、やばい状況にあるって事ね」
「まぁ簡潔にいうとそんなところだ」
 みくるが一瞬でへこんでしまったのが手に取るように分かる。
「へこんでいる時に悪いが、今後の対応を考えて話を続けていいかな?」
「...うん」
「藍里さんを救う為にはその妲己って奴を倒さなければならないんだ。だけれど倒すのは容易ない。そいつの姿を少し見たんだけど、強力で禍々しい妖気を持っているのは直ぐに分かった。恐らく今の仲間全員で挑んでも勝てないだろう」
 絶望的な話してどうするんだと思いつつ、これは仲間の為なんだと自分に言い聞かせる。
「だから暫くは藍里さんに近くのはやめた方がいい」
「放っておけということ?」
「ある意味そうなんだけど、そういう訳ではないよ。現状ではどうすることも出来ないというのが事実であり、危険極まりない相手だから暫く様子を見るといったところかな...説明が上手く出来なくてごめん」
「ううん、源九郎の気持ちは伝わってるよ。危ないから今は手を出さない方がいいって事だよね。心配してくれてありがとう」
「分かってもらえて善かった。これからは異世界の件も含め,打倒妲己を当面の目標にして入念に準備を整えてから挑もう。それまでの間は藍里さんの情報収集を怠らないようにするという事でいいかな?」
「分かった。わたしも強くなれるように頑張るね!」
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