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精神力UP!

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 「バキッ」というありきたりだが痛々しい音が聴こえた。手応えあり!
 少年はその場に膝を落とし、力無くうつ伏せに倒れた。
「ナイス源九郎!」
ミーコは火の玉を無事に回避出来たようである。
「ミーコもグッジョブ!」
本気で攻撃出来なかったとはいえ、何度もやばい場面があった人生初の戦闘は終了。
 少年が契約で得た“悪鬼”が強力な事は実戦を踏まえだいたい理解した。上がっていく身体能力、武器を具現化、遠距離攻撃可能、まだまだ未知数な部分は多いが...
「始めるか」
倒れている少年の頭部に右手を当てる。出てきたスキルは“身体能力UP”、“武器能力UP”、そしてお目当の“精神力UP”。俺は迷わず“精神力UP”を発動させた。
 現状でベストなスキルがあって善かった。胸を撫で下ろしホッとする。
「源九郎、今ソイツに何したんだ?」
終始傍観していたミニョルが問う。
「人間でいうところのおまじないをかけたんだ。これで悪鬼を制御できるはず」
無限覚醒の存在を知られる訳にはいかないので俺は半分適当に答えた。
「ミニョル、この子を事務所まで運んでくれないか?怪我の手当てをしてあげたいんだ」
「ああ、いいぜ。大事なパートナーだからな」
ほう、コイツでもそんな言葉使うんだな。
実は良い奴かもしれない...
 事務所に帰り着き、1時間ほど経過して少年は目を覚ました。
「お、目が覚めましたね阿波尻さん。怪我の痛みはどうですか?」
「え、僕は怪我したんですか?っ痛!」
顎を抑え痛みを堪えている。
「骨は大丈夫ですか?」
「普通に話すと少し痛む程度だから大丈夫です」
善かったと思う反面、顎の骨を砕いたと確信していたのにこの程度のダメージ。悪鬼は防御力もかなりあるらしい。
 俺は此処までの経緯を、無限覚醒の件を除いて説明した。
「えっと、僕は悪鬼状態の記憶が無いんですけど、次に使用した時は気絶せずにスキルを制御できると考えて良いんでしょうか?」
「100%の保証は出来ないけれど、強力なまじないをかけたので大丈夫だと思いますよ」
「念のため試してみたいですけど、今日は疲れてしまったので止めておきます」
「ですね。それが良いでしょう」
時計を見ると10時過ぎだった。
「あの、料金の方はおいくらでしょうか?」
「将来の戦友から金銭は受け取れないな。
代わりと言っては何だが、治志と呼んで良いかい?俺と友達になってくれ!」
と右手を差し出す。
「え、構わないですし良いんですか!?ありがとうございます!」
堅い握手を交わす。これでまた仲間が増えた。こうなったら100人目指してみようじゃないか!いや多過ぎだな。
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