覚醒屋の源九郎 第一部

流川おるたな

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おまじない

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「源九郎兄ちゃん、僕たちに何かしたの?」
蓮君が聞いてくる。
「ちょっとしたおまじないをかけただけだよ」
「そうなんだ...」
二人にスキルの発動条件である言葉を伝えなければならない。
「いいかい、今から俺が話す事を必ず実行して欲しい」
兄妹は素直に頷く。
「葵ちゃん、帰ってからもしパパとママがまだ喧嘩してるようだったら、気持ちを込めてパパ、ママ落ち着いてと言うんだ」
「わかった」
「蓮君は、パパとママの元気が無さそうな時は応援する気持ちで、きっと上手くいくよって言ってあげるんだ」
「わかったよ」
スキル「冷静」の発動条件は相手に「落ち着いて」という言葉をかけること。「激励」は「上手くいくよ」なのだ。
「冷静」の効果は相手の平常心を取り戻すことができる。「激励」は相手のやる気を増幅させる効果がある。
 どちらも気持ちの込め方により、効果の度合いが違ようだ。地味な効果のようだが、一つの言葉をかけられるだけで一瞬にして平常心を取り戻したり、やる気が出るのだとしたらこれは凄いことではないだろうか!?
「あとは君たち次第!勇気を出して二人で家族の絆を守るんだ!いいね!」
「ありがとう源九郎兄ちゃん、言われた通りにやってみるよ!」
「俺は同じマンションの505号室に住んでるから、困った時はいつでもおいで」
「うん、じゃあね」
兄妹は俺のそばを離れ、マンション入り口に向かって二人並んで歩いて行った。
俺の隣でミーコが笑顔で手を振りながら言う。
「蓮君と葵ちゃん、幸せになって欲しいなぁ」
「そうだな、本当に幸せになって欲しいよ」
兄妹がマンションに入って行くのを見届けて、俺とミーコは505号室へと向かった。
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