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第136話 完売

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 暫くのあいだ、二人は仲良く夢中で遊んでいたけれど、弟の梵は遊び疲れと丁度昼寝時とあり、パチパチと音を立てて燃える囲炉裏の火の暖かさの心地良さも手伝って眠りについた。

 椿も横たわる弟に添い寝してウトウトとし始め、心安らぎつついつの間にか眠ったのだった...

 そんな折、寒空の中、目的地で安曇の町へと辿り着いた清兵とトキの夫婦は、人通りが多い場所を探し当て、早々と野菜や穀物を売り始める。

 ここで活躍するのは、妻であり美貌と器量を併せ持ち、綺麗でよく通る声の持ち主でもあるトキである。

 明日は正月を迎える大晦日の日たれば、人の財布も緩み、運んできた野菜や穀物は飛ぶように売れ、あっという間に完売した。

「よし、じゃあ食いもんと子供達のおべべを買うとするか」

「だねぇ。子供達の喜ぶ顔を早く見たいもんだわ」
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