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第125話 天照
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なんの躊躇いも無く仙女覚醒試練を「楽勝」と言ってのけた彼女の言葉に、問うた真如が目を開き慄く。
「し、試練をら、楽勝とは...仙花お主は一体何者なんじゃ?」
「ん、儂か。儂の名は徳川仙花。それに水戸仙花や刀姫とも呼ばれておるぞ」
二人の会話を聴いていた他の者達は、無論のこと真如がそういった意味で訊いたと思って居なかったが誰も口を挟まない。
「...くくく、まぁ良い。儂が死に物狂いでようやく乗り越えた試練を楽勝だったと聞いて驚かずにはおれなんだ。ところで、仙人になったのだから少しは仙術を使えるようになったんじゃろ?何でも良いから一つばかり仙術をお披露目してくれんか?」
「おう!お安い御用じゃ」
仙花が嬉しそうに立ち上がり、水でも掬うかのように両手を合わせる。
「天照光球(あまてらすこうきゅう)!」
「ボウッ!」
音を立てて彼女の掌から現れたのは、幼き子供達が「玉つき遊び」で使用する玉ほどの大きさのもので、洞穴において天心が部屋を明るくするために放った仙術であった。
「おおおっ!?これは眩しい!」
「仙花様、お見事なり!」
仙術を目の当たりにした蓮左衛門と九兵衛が驚き、酒を呑み気分をよくしているお銀がにこやかに拍手する。
「し、試練をら、楽勝とは...仙花お主は一体何者なんじゃ?」
「ん、儂か。儂の名は徳川仙花。それに水戸仙花や刀姫とも呼ばれておるぞ」
二人の会話を聴いていた他の者達は、無論のこと真如がそういった意味で訊いたと思って居なかったが誰も口を挟まない。
「...くくく、まぁ良い。儂が死に物狂いでようやく乗り越えた試練を楽勝だったと聞いて驚かずにはおれなんだ。ところで、仙人になったのだから少しは仙術を使えるようになったんじゃろ?何でも良いから一つばかり仙術をお披露目してくれんか?」
「おう!お安い御用じゃ」
仙花が嬉しそうに立ち上がり、水でも掬うかのように両手を合わせる。
「天照光球(あまてらすこうきゅう)!」
「ボウッ!」
音を立てて彼女の掌から現れたのは、幼き子供達が「玉つき遊び」で使用する玉ほどの大きさのもので、洞穴において天心が部屋を明るくするために放った仙術であった。
「おおおっ!?これは眩しい!」
「仙花様、お見事なり!」
仙術を目の当たりにした蓮左衛門と九兵衛が驚き、酒を呑み気分をよくしているお銀がにこやかに拍手する。
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