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第118話 覚醒
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天心は仙花にそう問い掛けられると、瞼を閉じ「どうにかしてまたからかってやろうか」と思案した。
だがここまで彼の思惑通りいった試しもなく、中途半端に仕掛けても己が不愉快になるだけだと思い直し口を開く。
「まぁそう慌てるな、超覚水を呑んだだけでは仙女になれんよ。お主の血管を流れ細胞に付着した特殊な成分をオレが目覚めさせ、お主はようやくにして待望した仙女に覚醒できるという寸法だ」
「儂の細胞にのう...悪いんじゃがその寸法とやらを早く済ませてはくれぬかのう。外に待たせておる家臣どもが気掛かりじゃて」
仙花がお銀らを外に待たせどれほどの時間が経ったのか、天心に与えられた試練を体感した上で彼女ははかりかねていた。
「待望の、そして感動すら覚えるはずの場面で時間ばかり気にしてどうする。お主にとっては一生に一度の場面となるのは間違いなし、もっと感慨深げにしてもらうとオレもやり甲斐があるというものなんだがな...否、お主にとって仙女となり力を得ることは単なる過程でしかないのかもしれんな。よし、では早々にやって片付けるとするが心の準備は整っているか?」
「鬱陶しい、訊くまでもなかろう」
心底面倒臭そうに仙花は答えた。
いよいよ彼女が人間から仙女へと覚醒する瞬間である...
だがここまで彼の思惑通りいった試しもなく、中途半端に仕掛けても己が不愉快になるだけだと思い直し口を開く。
「まぁそう慌てるな、超覚水を呑んだだけでは仙女になれんよ。お主の血管を流れ細胞に付着した特殊な成分をオレが目覚めさせ、お主はようやくにして待望した仙女に覚醒できるという寸法だ」
「儂の細胞にのう...悪いんじゃがその寸法とやらを早く済ませてはくれぬかのう。外に待たせておる家臣どもが気掛かりじゃて」
仙花がお銀らを外に待たせどれほどの時間が経ったのか、天心に与えられた試練を体感した上で彼女ははかりかねていた。
「待望の、そして感動すら覚えるはずの場面で時間ばかり気にしてどうする。お主にとっては一生に一度の場面となるのは間違いなし、もっと感慨深げにしてもらうとオレもやり甲斐があるというものなんだがな...否、お主にとって仙女となり力を得ることは単なる過程でしかないのかもしれんな。よし、では早々にやって片付けるとするが心の準備は整っているか?」
「鬱陶しい、訊くまでもなかろう」
心底面倒臭そうに仙花は答えた。
いよいよ彼女が人間から仙女へと覚醒する瞬間である...
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