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第102話 認識
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保坊天心なる仙人は、人間から仙人へと覚醒した者ではなく、歴とした仙人同士の間に生を受けた純血の仙人であり、繰り返しにはなるけれど、仙人界でも飛び抜けた仙術の才覚と、人と接することを好まない上に偏屈な人格を柚須灘に見込まれた者でもある。
仙人は神に最も近しい種族ゆえに、人間界(下界)で生きる者達を少なからず見下しているわけだけれど、そんな彼もまた、僅かではあるものの人間を「格下の生き物」として考える部分があった。
奇しくもそのような考えが災いし、仙花に試練を与えるという崇高な立場でありながら、彼女に舐められっ放しの実に不愉快な想いをすることに至っている。
彼に威信があるか否かは定かではないし何度でも云うけれど、人格破綻者であることは紛れもない事実であるが、こと仙術に関してだけは、仙人界で一二を争う実力者の柚須灘や雲峡に匹敵するほどのものであり、彼が仙花を殺すつもりで本気を出し、仙術を使おうものなら今の仙花などひとたまりもないであろう。
だが悲しいかな、ここまで「間抜けぶり」を晒すことになってしまっているのが現実である。
「ではでは今度こそオレの実力をお主に見せつけてやろう。と言っても、この仙術の凄さを認識するのは難しいがな」
仙人は神に最も近しい種族ゆえに、人間界(下界)で生きる者達を少なからず見下しているわけだけれど、そんな彼もまた、僅かではあるものの人間を「格下の生き物」として考える部分があった。
奇しくもそのような考えが災いし、仙花に試練を与えるという崇高な立場でありながら、彼女に舐められっ放しの実に不愉快な想いをすることに至っている。
彼に威信があるか否かは定かではないし何度でも云うけれど、人格破綻者であることは紛れもない事実であるが、こと仙術に関してだけは、仙人界で一二を争う実力者の柚須灘や雲峡に匹敵するほどのものであり、彼が仙花を殺すつもりで本気を出し、仙術を使おうものなら今の仙花などひとたまりもないであろう。
だが悲しいかな、ここまで「間抜けぶり」を晒すことになってしまっているのが現実である。
「ではでは今度こそオレの実力をお主に見せつけてやろう。と言っても、この仙術の凄さを認識するのは難しいがな」
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