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第9話 謹慎命令
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「う……」
うっすらと目を開けたアルフは身を起こす。
脇を舐められて潮まで吹き、さらにそのまま気絶するという醜態を晒してしまったことに、調教師に言いようのない怒りが込み上げてきた。
(気を失っていたのか……)
部屋に掛けられた掛け時計を見上げると、既に半日近く時間が経っていた。
丸半日も気絶していたのかと、アルフは驚く。
「くそっ、あの男! よくも、よくもこの私に……!!」
記憶のよみがえったアルフは、怒りのあまり拳をテーブルに叩き付ける。そこでふっと胸が視界に入り、目を見開いた。
「な、なんだこれは…!」
そっと胸に手を当てれば、確かに女性にされた時よりも少し大きくなっている。大きさからして、Cカップほどだろう。
気を失うまではなかったはずのそれに、アルフは愕然とする。幾度か現実を確かめるようにそれを揉み込むアルフだったが、確かに今朝よりもずっと胸は大きくなっている。
(あの男に、何かされたのか…いや、…ナノマシンの効果か……?)
侵食すればするほどに、女の快感に溺れていく。
精液でしか栄養を補給出来なくなる。
初日にされた説明を思い出し、今までにない危機感を持った。
(早く、なんとしてでもここから脱出せねば……)
最悪、男に戻らずとも、手遅れになる前に逃げ出す方法を見つけ出す方が良いのかもしれない。
そこまで考えたところで扉がシュッと開き、慌ててアルフは背筋を伸ばした。
「お前は……!」
部屋に入ってきたのは、例の調教師だ。アルフは途端に眉根を寄せ、不愉快を全面に押し出す。だが調教師は気にも留めずに一瞥した。
「貴様には例の反抗的な態度から、上からしばらくの謹慎命令が出た。三日間、この部屋で謹慎とのことだ」
「く……わかりました」
勝手に男に服従するかのような、丁寧な言葉を発した自分の口に歯噛みしたくなる。どうやら、未だに調教師の全肯定しろという命令が有効らしい。
「いい心がけだ」
腕を組んで頷く男に、アルフは心の中で悪態をついた。
(こ、この変態男がっ……)
男もアルフの内心をそれとなく察したらしく、無表情でつかつかと歩み寄り耳元で囁く。
「ん……!」
「良いか? もう二度と逃げようだなんて、愚かな考えは持たないことなだな。奴隷はここで男らに求められてこそ、存在価値があるんだ。これで懲りたなら良いんだけどなぁ」
ベッドに座ったアルフの傍らに腰を下ろし、悪意たっぷりに言いながら、調教師はアルフの太ももや首筋、ひいては脇下を指でいやらしげに撫で摩る。
「あ、は……」
支配された肉体は調教師に卑猥な意図を持って身体を撫で回されても、ゆったりと男に身を委ねていた。
太ももの部分を人差し指でなぞられているとくすぐったさと、形容しがたい快感が込み上げてくる。
(や、やめろ……触るな……)
言葉でも態度でも楯突くことの出来ない己が、狂おしい。
アルフの反応を目で楽しんだ男は、笑みを浮かべて立ち上がった。
踵を返したかと思うと、扉の外に置いていた何かを取ってまたアルフの元へと帰ってくる。
「謹慎用の食事を用意した。有難く受け取れ」
「あ、ありがとうございます。……っ!?」
渋々調教師に差し出された盆を受け取ったアルフだったが、それに乗った物を見てゾッとした。
初日の普通の食事とは違って普通の食事ではなく食料ですらなく、人間のペニスを模した悪趣味な形のディルドが盆いっぱいに乗せられている。
初日に説明された男の精液でしか栄養を補給出来なくなるという言葉を、形を伴って実感させられて、アルフは青くなる。
こんなものを受け取るのかと冷や汗をかくも、体はそれを勝手に受け取って傍らのテーブルへと置いていた。
(このままでは、男に戻っても本当におかしくなってしまう……!)
調教師が部屋を出ていくのを見届け、張り詰めさせていた神経の糸が切れたアルフはたまらずベッドに腰を下ろした。
うっすらと目を開けたアルフは身を起こす。
脇を舐められて潮まで吹き、さらにそのまま気絶するという醜態を晒してしまったことに、調教師に言いようのない怒りが込み上げてきた。
(気を失っていたのか……)
部屋に掛けられた掛け時計を見上げると、既に半日近く時間が経っていた。
丸半日も気絶していたのかと、アルフは驚く。
「くそっ、あの男! よくも、よくもこの私に……!!」
記憶のよみがえったアルフは、怒りのあまり拳をテーブルに叩き付ける。そこでふっと胸が視界に入り、目を見開いた。
「な、なんだこれは…!」
そっと胸に手を当てれば、確かに女性にされた時よりも少し大きくなっている。大きさからして、Cカップほどだろう。
気を失うまではなかったはずのそれに、アルフは愕然とする。幾度か現実を確かめるようにそれを揉み込むアルフだったが、確かに今朝よりもずっと胸は大きくなっている。
(あの男に、何かされたのか…いや、…ナノマシンの効果か……?)
侵食すればするほどに、女の快感に溺れていく。
精液でしか栄養を補給出来なくなる。
初日にされた説明を思い出し、今までにない危機感を持った。
(早く、なんとしてでもここから脱出せねば……)
最悪、男に戻らずとも、手遅れになる前に逃げ出す方法を見つけ出す方が良いのかもしれない。
そこまで考えたところで扉がシュッと開き、慌ててアルフは背筋を伸ばした。
「お前は……!」
部屋に入ってきたのは、例の調教師だ。アルフは途端に眉根を寄せ、不愉快を全面に押し出す。だが調教師は気にも留めずに一瞥した。
「貴様には例の反抗的な態度から、上からしばらくの謹慎命令が出た。三日間、この部屋で謹慎とのことだ」
「く……わかりました」
勝手に男に服従するかのような、丁寧な言葉を発した自分の口に歯噛みしたくなる。どうやら、未だに調教師の全肯定しろという命令が有効らしい。
「いい心がけだ」
腕を組んで頷く男に、アルフは心の中で悪態をついた。
(こ、この変態男がっ……)
男もアルフの内心をそれとなく察したらしく、無表情でつかつかと歩み寄り耳元で囁く。
「ん……!」
「良いか? もう二度と逃げようだなんて、愚かな考えは持たないことなだな。奴隷はここで男らに求められてこそ、存在価値があるんだ。これで懲りたなら良いんだけどなぁ」
ベッドに座ったアルフの傍らに腰を下ろし、悪意たっぷりに言いながら、調教師はアルフの太ももや首筋、ひいては脇下を指でいやらしげに撫で摩る。
「あ、は……」
支配された肉体は調教師に卑猥な意図を持って身体を撫で回されても、ゆったりと男に身を委ねていた。
太ももの部分を人差し指でなぞられているとくすぐったさと、形容しがたい快感が込み上げてくる。
(や、やめろ……触るな……)
言葉でも態度でも楯突くことの出来ない己が、狂おしい。
アルフの反応を目で楽しんだ男は、笑みを浮かべて立ち上がった。
踵を返したかと思うと、扉の外に置いていた何かを取ってまたアルフの元へと帰ってくる。
「謹慎用の食事を用意した。有難く受け取れ」
「あ、ありがとうございます。……っ!?」
渋々調教師に差し出された盆を受け取ったアルフだったが、それに乗った物を見てゾッとした。
初日の普通の食事とは違って普通の食事ではなく食料ですらなく、人間のペニスを模した悪趣味な形のディルドが盆いっぱいに乗せられている。
初日に説明された男の精液でしか栄養を補給出来なくなるという言葉を、形を伴って実感させられて、アルフは青くなる。
こんなものを受け取るのかと冷や汗をかくも、体はそれを勝手に受け取って傍らのテーブルへと置いていた。
(このままでは、男に戻っても本当におかしくなってしまう……!)
調教師が部屋を出ていくのを見届け、張り詰めさせていた神経の糸が切れたアルフはたまらずベッドに腰を下ろした。
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