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第3話 管理番号089
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反論出来なくなった少女たちに満足した調教師は、捕らえた囚人情報の登録したパネルを眼前に表示し、淡々と業務をこなし始めた。
「これからは貴様らを番号で呼ぶ。一度しか言わない故、忘れないように。こちらの要求を拒否したり、歯向かった者には厳罰を与える」
調教師は指で宙に浮いたパネルをスライドさせながら、淡々と業務を進めていく。
「お前の番号は084だ」
左から順に少女に向かって指を指し、調教師の男は番号を告げた。
「お前は囚人番号087、お前は088……お前は089だ。忘れるな」
089のところで自分を指さされ、アルフは身体を震わせた。
「っ……」
「なんだ? 089、言いたいことがあるのか」
「……いえ」
首を振って視線を逸らしたアルフに、調教師は鼻を鳴らす。
「ふん、それなら良いがな」
男が番号を振り終わったところで、顔を隠した兵士が台車でガラガラと何かを運んでくる。
調教師はそれを横目で確認すると、装着していた金の首輪に手を当ててアルフらに命じた。
「『着替えろ』」
「っ!?」
男がそう言葉を発した途端、アルフの体は彼の支配下を離れてひとりでに動き出す。どうしてか勝手に、男に命じられたとおりに台車に置かれていた服を手に取り、着替え始めていた。
(何だ、体が勝手に……っ)
アルフは酷く戸惑う。止めようとしても肉体は自分の意思では動かず、命令には逆らえない。一切口ごたえ出来ずに、ただ用意された衣服に着替えることに身体は集中していた。
視線だけ何とか真横へと移せば、座り込んでいたはずの少女達も、立ち上がって男の命令通りにスーツに着替えている。
(あの首輪の仕掛け、捕虜を操ることが出来るのか!? そこまでアウライ帝国の技術は進歩していたのか……なんという事だ)
条件はあるのだろうが、捕虜の肉体から自我が離れて命令通りに動かせるという科学力に、アルフは動揺を禁じ得ない。
(不味いな…逃走経路を確保するだけでなく、どうやって命令を阻止できるか。何かからくりはあるはずなんだが)
想像以上に立場の悪い現状と、逃走の難しさに焦りを覚えそうになった。その間も自分の手はひとりでにスーツを来ており、やがて装着し終える。
用意されたスーツはラバー製のもので、ぴったりと隙間なく身体に張り付いてきた。あらかじめ肉体を採寸していたというよりは、ロタール人を少女にする際の体付きや身長が一律に定められているのだろう。見ればこの場にいる少女全員が、同じような背丈と体つきだ。
愛玩動物のようだな、とアルフは心の中で吐き捨てる。
「全員着替えたか。番号順に並んで歩け」
少女たちに視線を一巡させて全員が衣服を着衣したのを確認した調教師は、背を向けて歩き始める。少女らもどこか生気の無い様子で、調教師の後に続き始めた。
いきなり少女へと変えられ、説明を聞いてとても正気ではいられなかったのだろう。アルフはぼんやりとした彼女達の表情を見据えながら、硬く脱走することを誓った。
「これからは貴様らを番号で呼ぶ。一度しか言わない故、忘れないように。こちらの要求を拒否したり、歯向かった者には厳罰を与える」
調教師は指で宙に浮いたパネルをスライドさせながら、淡々と業務を進めていく。
「お前の番号は084だ」
左から順に少女に向かって指を指し、調教師の男は番号を告げた。
「お前は囚人番号087、お前は088……お前は089だ。忘れるな」
089のところで自分を指さされ、アルフは身体を震わせた。
「っ……」
「なんだ? 089、言いたいことがあるのか」
「……いえ」
首を振って視線を逸らしたアルフに、調教師は鼻を鳴らす。
「ふん、それなら良いがな」
男が番号を振り終わったところで、顔を隠した兵士が台車でガラガラと何かを運んでくる。
調教師はそれを横目で確認すると、装着していた金の首輪に手を当ててアルフらに命じた。
「『着替えろ』」
「っ!?」
男がそう言葉を発した途端、アルフの体は彼の支配下を離れてひとりでに動き出す。どうしてか勝手に、男に命じられたとおりに台車に置かれていた服を手に取り、着替え始めていた。
(何だ、体が勝手に……っ)
アルフは酷く戸惑う。止めようとしても肉体は自分の意思では動かず、命令には逆らえない。一切口ごたえ出来ずに、ただ用意された衣服に着替えることに身体は集中していた。
視線だけ何とか真横へと移せば、座り込んでいたはずの少女達も、立ち上がって男の命令通りにスーツに着替えている。
(あの首輪の仕掛け、捕虜を操ることが出来るのか!? そこまでアウライ帝国の技術は進歩していたのか……なんという事だ)
条件はあるのだろうが、捕虜の肉体から自我が離れて命令通りに動かせるという科学力に、アルフは動揺を禁じ得ない。
(不味いな…逃走経路を確保するだけでなく、どうやって命令を阻止できるか。何かからくりはあるはずなんだが)
想像以上に立場の悪い現状と、逃走の難しさに焦りを覚えそうになった。その間も自分の手はひとりでにスーツを来ており、やがて装着し終える。
用意されたスーツはラバー製のもので、ぴったりと隙間なく身体に張り付いてきた。あらかじめ肉体を採寸していたというよりは、ロタール人を少女にする際の体付きや身長が一律に定められているのだろう。見ればこの場にいる少女全員が、同じような背丈と体つきだ。
愛玩動物のようだな、とアルフは心の中で吐き捨てる。
「全員着替えたか。番号順に並んで歩け」
少女たちに視線を一巡させて全員が衣服を着衣したのを確認した調教師は、背を向けて歩き始める。少女らもどこか生気の無い様子で、調教師の後に続き始めた。
いきなり少女へと変えられ、説明を聞いてとても正気ではいられなかったのだろう。アルフはぼんやりとした彼女達の表情を見据えながら、硬く脱走することを誓った。
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