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第四章 絢爛のスクールフェスタ
第308話 建国祭に向けて
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生徒会で作ったポスターへの反応は上々で、告知を行った日の放課後にはマリーが手配してくれたポストがいっぱいになるほどたくさんの申請用紙が新しい生徒会室に届いた。
「すごーい! もうこんなに集まっちゃった」
ポストの差し出し口からはみ出した申請用紙をそっと抜き取りながら、アルフェが嬉しそうに僕を振り返る。
「これはポストを増やさないとですわぁ~!」
新しい生徒会室の扉を開いたマリーは、ポストの中身がぱんぱんに詰まっているのを目の当たりにして嬉しい悲鳴を上げている。
「それにしても、みんな気が早いね。受付終了は週末なのに」
受付開始を見越して生徒たちが待っていたのだとしたら、僕たちが考えていた以上の期待と注目が集まっているということになる。これは、改めて気を引き締めて行く必要がありそうだ。
「まあ、予算も学校っちゅーかマリーが確保してくれてるわけだし、イグニスも謹慎中で邪魔は入んないから、今のうちっちゅーわけだよね」
「確かに私たちのクラスも各自が自由にアイディアを出し合って、既に出店計画をまとめていたな」
リゼルがメルアに同意を示し、グーテンブルク坊やもそれに頷く。
「まあ、俺たちもやるならこれがいいってのは持っていたしな」
グーテンブルク坊やはそう言うと、鞄から申請用紙を取り出した。
「ライルくんたちも何か出すの!? ワタシ、見たい!」
真っ先に反応したアルフェが、グーテンブルク坊やから申請用紙を受け取る。
「あっ! リーフ! 見てこれ!」
申請用紙に目を通すや否や、アルフェは嬉しそうに僕に身体を寄せ、そこに書いてある字を指先でなぞった。そこには、『トーチ・タウンで評判の綿飴屋』とある。
申請書を見る限り、グーテンブルク坊やとリゼルは、ジョストを接客係にしてトーチ・タウンから綿飴屋を呼ぶらしい。
「じゃあ、あのおじさんが来てくれるの!?」
「おじさんって、知り合いなのか?」
アルフェの反応にグーテンブルク坊やがやや驚いた様子で聞き返す。アルフェはただ頷いて、笑顔で僕の方を視線で示した。
やれやれ。これはアルフェが僕の功績を自慢したいってことなんだろうな。事実は事実として認めてはいるが、あまり自分の手柄のように話すのは苦手なのだけれど。
「知り合いっていうか……」
「あの綿飴屋は、マスターのアイディアを採用して大繁盛していると店の主人から聞き及んでおります」
僕が言いにくそうにしているのを察したのか、ホムが簡潔に説明する。その説明を目をぱちぱちとしながら聞いていたグーテンブルク坊やとリゼルは、顔を見合わせた後に声を揃えた。
「すごいな! リーフ!!」
まさかこの二人に揃って褒められるとは思ってもみなかったな。ここは変に僕の話が誇張されないように、予防線を張っておいたほうがいいのかも知れない。
「……いや、僕はこんなのがあったらいいだろうなってアルフェと話してたぐらいで。それを実現したのはあのおじさんだよ」
「いやいや、普通は思いつかないだろ」
予防線を張るつもりが逆効果だったらしく、グーテンブルク坊やにかなりの速さで否定されてしまった。
「だよね! ししょ~、昔からそんな感じだったんだ~。小さい頃のエピソードとかないの、ライルくん!」
「あ、あるにはあるけど……」
メルアに嬉しそうに問いかけられたグーテンブルク坊やは、途端に口ごもってしまった。多分、気まずそうに目を泳がせているところを見るに、フェアリーバトルのことを思い出したんだろうな。それについてはアルフェも許していることだし、今更蒸し返すこともないだろうから、話題を逸らしたいところだ。
「メルア。僕のことより、建国祭の出し物だよ」
「そうそう! これ今から全部整理しなきゃなんねーよな!」
僕が話を戻すと、ポストから申請書を取り出していたヴァナベルがここぞとばかりに畳みかけてくれる。生徒会副会長補佐として、目の前の仕事にやる気を見せてくれるのはなんとも有り難い。
「そーでした!! ちゅーても、結構な量だよね」
メルアがどうしたものかと首を傾げながら、ポストから申請書を取り出す手伝いを始める。
「ひとまず種類ごとに分けましょうか。食品関係は学園の保健部に申請して衛生検査をする必要があるし、食品関係とそれ以外でどう?」
「さんせ~~い」
エステアの提案にヌメリンがおっとりと応える。ファラが早速それに従って申請書を分類し始めた。
「さすがファラ様、お見事です」
「遅滞の魔眼はこういうときも便利なんですわねぇ~」
ああ、確かにこういう使い方もあるのだなと思うと妙に感心してしまう。ファラはその能力を遺憾なく発揮して、凄まじいスピードで申請書の分類を続けて行く。
「にゃはっ! けど、目に手が追いついてないからかなりざっくりだけどな」
それでもファラの分類の速さにはかなり助けられそうだ。僕は早速分類された書類の、食品以外の方にざっと目を通すことにした。
どうやら事前に相談をしていたらしく、1年F組の出し物が目立っている。
リリルルの占い小屋に、ギード発案の射的ゲーム、その景品にはアイザックとロメオが作った機兵の組み立てキットが目玉に据えられるらしい。機兵の詳細は省かれているが、武侠宴舞・カナルフォード杯で人気の機兵と書かれているところを考えると、もしかしたらエステアのセレーム・サリフなんかも組み込んで来そうだな。もし僕たちの機兵も組み立てキットにするのなら、店の近くに実物展示をお願いすると盛り上がりそうだ。
「お! やっぱリリルルは占い小屋だよな~」
分類が終わったらしく、ヴァナベルが僕の手許の申請書を覗き込んでくる。
「そうだね。アイザックとロメオの機兵組み立てキットというのも、面白そうだ」
僕が頷くと、ヴァナベルも誇らしげに頷いた。F組からは他にも、工学科の生徒たちのオリジナル魔導器や魔導具の販売、魔法科の生徒のお守り販売など、各自が得意とする分野での出店が目立つ。例年は飲食系が多いという話があったので、競争率が低そうなところを目指したのかもしれないな。
「F組は食べ物系はやらないのかな? アルダ・ミローネにしちゃうって案、すごく楽しそうだったし、ワタシたちもなにか出来たらいいんだけど」
「あ、ヌメたちはカオス焼きをつくるよ~」
アルフェの呟きに挙手して声を上げたのはヌメリンだ。
「カオス焼きって? なんか滅茶苦茶ギャンブルっぽい名前が出て来たんですけどぉ~!」
興味津々で反応したメルアが会話に飛びついてくる。
「にゃはははっ! カオス焼きってのはさ、中身が食べてのお楽しみっていうカナド人に伝わる料理だな。まあ、本格的な料理っていうよりは、軽食に近いかな」
ファラが笑顔で説明すると、エステアとマリーも近くに寄ってくる。
「カナド人と言えば、エステアの出身はカナド地方だったのでは?」
「ええ。聞いたことはあるけれど、食べたことはまだ……。かつては『たこ焼き』と呼ばれていたらしいわ」
ホムの問いかけにエステアが応える。
「げっ! タコってあの悪魔みたいなのか……うぅ……」
触手系の足が八本ある生物の見た目が苦手なのか、リゼルが言いかけてゆるゆると首を横に振る。
「味はいいらしいって聞いたし、食べてみたいな」
リゼルとは反対にグーテンブルク坊やはタコに興味を示している。
「まあ、そのタコがなんだかんだ手に入らねぇからその代わりに何でもかんでも入れたんだよ。だから、カオス焼きって名前なんだ。小麦粉にだし汁を溶かしたやつををこんくらいの丸い焼き型に入れて、具材と一緒に焼くから歩きながらでも食べやすいんだぜ」
以前に作ったことがあるらしいヴァナベルが、身振り手振りで説明する。ああ、そういう軽食系ならカナド人街にもありそうだな。
「で? カオスというからには真っ黒なんですの?」
話を興味深そうに聞いていたマリーが、ふとした疑問を口にする。
「にゃはっ! それいいな! イカスミ使って真っ黒にしたら、具もわかりにくくなるし、カオスらしくなりそう!」
「だったら~、真っ赤な激辛ソースのオプションなんてどうかな~?」
マリーの発言で創作意欲を刺激されたのか、ファラとヌメリンが活き活きとした様子で発言し、ヴァナベルが目を輝かせた。
「すげー! 絶対目立つな! じゃあ、いっちょ最高利益を狙うか! 大量に焼いてさ!」
「にゃははっ! あたしの魔眼が火を噴くな!」
あながちファラの魔眼を使えばそれが可能な気がするのが面白い。なんだかんだ、みんな楽しそうに考えてくれていることに、僕も段々刺激を受けてきた。
「だったら、私、リーフの焼き菓子もお願いしたいですわぁ~! 販売はどうにでも致しますし、食堂のおばさま方も参加されたいと仰っていましたから、みなさんで日持ちする焼き菓子なんていかがでしょう?」
「ワタシ、やりたい! リーフ、お願い!」
マリーの発案になにかしたそうにうずうずとしていたアルフェが飛びつく。やれやれ、僕もなにか……とは思っていたけれど、アルフェがこんなにやりたそうなら、断る理由はないな。ヴァナベルとリゼルたちが出店する以上、生徒会の仕事との両立が気懸かりだが、食堂のおばさんたちにも手伝ってもらえるのだとしたら、レシピを提供して任せてしまうのもいいかもしれない。
「そうだね。やろうか」
「うん!」
僕が同意を示したことで、アルフェが弾んだ声で大きく頷いた。お祭りといえば今まで参加する立場ばかりだったが、運営と出店に携わるのはいい経験になりそうだな。
「じゃあ、食品関連は種類ごとに更に分類しましょうか。ファラとヴァナベル、ヌメリン、頼める?」
「とりあえず、スイーツ系とがっつり食事、軽食で分けるか」
エステアの指示を受け、ファラが魔眼の能力を発揮してヴァナベルとヌメリンが差し出す申請書を華麗に捌いていく。
「すごーい! もうこんなに集まっちゃった」
ポストの差し出し口からはみ出した申請用紙をそっと抜き取りながら、アルフェが嬉しそうに僕を振り返る。
「これはポストを増やさないとですわぁ~!」
新しい生徒会室の扉を開いたマリーは、ポストの中身がぱんぱんに詰まっているのを目の当たりにして嬉しい悲鳴を上げている。
「それにしても、みんな気が早いね。受付終了は週末なのに」
受付開始を見越して生徒たちが待っていたのだとしたら、僕たちが考えていた以上の期待と注目が集まっているということになる。これは、改めて気を引き締めて行く必要がありそうだ。
「まあ、予算も学校っちゅーかマリーが確保してくれてるわけだし、イグニスも謹慎中で邪魔は入んないから、今のうちっちゅーわけだよね」
「確かに私たちのクラスも各自が自由にアイディアを出し合って、既に出店計画をまとめていたな」
リゼルがメルアに同意を示し、グーテンブルク坊やもそれに頷く。
「まあ、俺たちもやるならこれがいいってのは持っていたしな」
グーテンブルク坊やはそう言うと、鞄から申請用紙を取り出した。
「ライルくんたちも何か出すの!? ワタシ、見たい!」
真っ先に反応したアルフェが、グーテンブルク坊やから申請用紙を受け取る。
「あっ! リーフ! 見てこれ!」
申請用紙に目を通すや否や、アルフェは嬉しそうに僕に身体を寄せ、そこに書いてある字を指先でなぞった。そこには、『トーチ・タウンで評判の綿飴屋』とある。
申請書を見る限り、グーテンブルク坊やとリゼルは、ジョストを接客係にしてトーチ・タウンから綿飴屋を呼ぶらしい。
「じゃあ、あのおじさんが来てくれるの!?」
「おじさんって、知り合いなのか?」
アルフェの反応にグーテンブルク坊やがやや驚いた様子で聞き返す。アルフェはただ頷いて、笑顔で僕の方を視線で示した。
やれやれ。これはアルフェが僕の功績を自慢したいってことなんだろうな。事実は事実として認めてはいるが、あまり自分の手柄のように話すのは苦手なのだけれど。
「知り合いっていうか……」
「あの綿飴屋は、マスターのアイディアを採用して大繁盛していると店の主人から聞き及んでおります」
僕が言いにくそうにしているのを察したのか、ホムが簡潔に説明する。その説明を目をぱちぱちとしながら聞いていたグーテンブルク坊やとリゼルは、顔を見合わせた後に声を揃えた。
「すごいな! リーフ!!」
まさかこの二人に揃って褒められるとは思ってもみなかったな。ここは変に僕の話が誇張されないように、予防線を張っておいたほうがいいのかも知れない。
「……いや、僕はこんなのがあったらいいだろうなってアルフェと話してたぐらいで。それを実現したのはあのおじさんだよ」
「いやいや、普通は思いつかないだろ」
予防線を張るつもりが逆効果だったらしく、グーテンブルク坊やにかなりの速さで否定されてしまった。
「だよね! ししょ~、昔からそんな感じだったんだ~。小さい頃のエピソードとかないの、ライルくん!」
「あ、あるにはあるけど……」
メルアに嬉しそうに問いかけられたグーテンブルク坊やは、途端に口ごもってしまった。多分、気まずそうに目を泳がせているところを見るに、フェアリーバトルのことを思い出したんだろうな。それについてはアルフェも許していることだし、今更蒸し返すこともないだろうから、話題を逸らしたいところだ。
「メルア。僕のことより、建国祭の出し物だよ」
「そうそう! これ今から全部整理しなきゃなんねーよな!」
僕が話を戻すと、ポストから申請書を取り出していたヴァナベルがここぞとばかりに畳みかけてくれる。生徒会副会長補佐として、目の前の仕事にやる気を見せてくれるのはなんとも有り難い。
「そーでした!! ちゅーても、結構な量だよね」
メルアがどうしたものかと首を傾げながら、ポストから申請書を取り出す手伝いを始める。
「ひとまず種類ごとに分けましょうか。食品関係は学園の保健部に申請して衛生検査をする必要があるし、食品関係とそれ以外でどう?」
「さんせ~~い」
エステアの提案にヌメリンがおっとりと応える。ファラが早速それに従って申請書を分類し始めた。
「さすがファラ様、お見事です」
「遅滞の魔眼はこういうときも便利なんですわねぇ~」
ああ、確かにこういう使い方もあるのだなと思うと妙に感心してしまう。ファラはその能力を遺憾なく発揮して、凄まじいスピードで申請書の分類を続けて行く。
「にゃはっ! けど、目に手が追いついてないからかなりざっくりだけどな」
それでもファラの分類の速さにはかなり助けられそうだ。僕は早速分類された書類の、食品以外の方にざっと目を通すことにした。
どうやら事前に相談をしていたらしく、1年F組の出し物が目立っている。
リリルルの占い小屋に、ギード発案の射的ゲーム、その景品にはアイザックとロメオが作った機兵の組み立てキットが目玉に据えられるらしい。機兵の詳細は省かれているが、武侠宴舞・カナルフォード杯で人気の機兵と書かれているところを考えると、もしかしたらエステアのセレーム・サリフなんかも組み込んで来そうだな。もし僕たちの機兵も組み立てキットにするのなら、店の近くに実物展示をお願いすると盛り上がりそうだ。
「お! やっぱリリルルは占い小屋だよな~」
分類が終わったらしく、ヴァナベルが僕の手許の申請書を覗き込んでくる。
「そうだね。アイザックとロメオの機兵組み立てキットというのも、面白そうだ」
僕が頷くと、ヴァナベルも誇らしげに頷いた。F組からは他にも、工学科の生徒たちのオリジナル魔導器や魔導具の販売、魔法科の生徒のお守り販売など、各自が得意とする分野での出店が目立つ。例年は飲食系が多いという話があったので、競争率が低そうなところを目指したのかもしれないな。
「F組は食べ物系はやらないのかな? アルダ・ミローネにしちゃうって案、すごく楽しそうだったし、ワタシたちもなにか出来たらいいんだけど」
「あ、ヌメたちはカオス焼きをつくるよ~」
アルフェの呟きに挙手して声を上げたのはヌメリンだ。
「カオス焼きって? なんか滅茶苦茶ギャンブルっぽい名前が出て来たんですけどぉ~!」
興味津々で反応したメルアが会話に飛びついてくる。
「にゃはははっ! カオス焼きってのはさ、中身が食べてのお楽しみっていうカナド人に伝わる料理だな。まあ、本格的な料理っていうよりは、軽食に近いかな」
ファラが笑顔で説明すると、エステアとマリーも近くに寄ってくる。
「カナド人と言えば、エステアの出身はカナド地方だったのでは?」
「ええ。聞いたことはあるけれど、食べたことはまだ……。かつては『たこ焼き』と呼ばれていたらしいわ」
ホムの問いかけにエステアが応える。
「げっ! タコってあの悪魔みたいなのか……うぅ……」
触手系の足が八本ある生物の見た目が苦手なのか、リゼルが言いかけてゆるゆると首を横に振る。
「味はいいらしいって聞いたし、食べてみたいな」
リゼルとは反対にグーテンブルク坊やはタコに興味を示している。
「まあ、そのタコがなんだかんだ手に入らねぇからその代わりに何でもかんでも入れたんだよ。だから、カオス焼きって名前なんだ。小麦粉にだし汁を溶かしたやつををこんくらいの丸い焼き型に入れて、具材と一緒に焼くから歩きながらでも食べやすいんだぜ」
以前に作ったことがあるらしいヴァナベルが、身振り手振りで説明する。ああ、そういう軽食系ならカナド人街にもありそうだな。
「で? カオスというからには真っ黒なんですの?」
話を興味深そうに聞いていたマリーが、ふとした疑問を口にする。
「にゃはっ! それいいな! イカスミ使って真っ黒にしたら、具もわかりにくくなるし、カオスらしくなりそう!」
「だったら~、真っ赤な激辛ソースのオプションなんてどうかな~?」
マリーの発言で創作意欲を刺激されたのか、ファラとヌメリンが活き活きとした様子で発言し、ヴァナベルが目を輝かせた。
「すげー! 絶対目立つな! じゃあ、いっちょ最高利益を狙うか! 大量に焼いてさ!」
「にゃははっ! あたしの魔眼が火を噴くな!」
あながちファラの魔眼を使えばそれが可能な気がするのが面白い。なんだかんだ、みんな楽しそうに考えてくれていることに、僕も段々刺激を受けてきた。
「だったら、私、リーフの焼き菓子もお願いしたいですわぁ~! 販売はどうにでも致しますし、食堂のおばさま方も参加されたいと仰っていましたから、みなさんで日持ちする焼き菓子なんていかがでしょう?」
「ワタシ、やりたい! リーフ、お願い!」
マリーの発案になにかしたそうにうずうずとしていたアルフェが飛びつく。やれやれ、僕もなにか……とは思っていたけれど、アルフェがこんなにやりたそうなら、断る理由はないな。ヴァナベルとリゼルたちが出店する以上、生徒会の仕事との両立が気懸かりだが、食堂のおばさんたちにも手伝ってもらえるのだとしたら、レシピを提供して任せてしまうのもいいかもしれない。
「そうだね。やろうか」
「うん!」
僕が同意を示したことで、アルフェが弾んだ声で大きく頷いた。お祭りといえば今まで参加する立場ばかりだったが、運営と出店に携わるのはいい経験になりそうだな。
「じゃあ、食品関連は種類ごとに更に分類しましょうか。ファラとヴァナベル、ヌメリン、頼める?」
「とりあえず、スイーツ系とがっつり食事、軽食で分けるか」
エステアの指示を受け、ファラが魔眼の能力を発揮してヴァナベルとヌメリンが差し出す申請書を華麗に捌いていく。
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