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第三章 暴風のコロッセオ
第183話 設計図の共有
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完成した設計図は、学校の印刷魔導器で複写を取り、昼休みを待ってアイザックとロメオにそれぞれひとつずつ共有した。
「ひっ、一晩でこれを作ったでござるか~!?」
「時間がないし、魔導杖だけからね。まだまだやることは山積みだよ」
驚嘆の声を上げて目を白黒させているアイザックとロメオに、苦笑を浮かべて返す。本当はもっとペースを上げたいところだけれど、あまり最初から飛ばしても僕の本当の実力を怪しまれるかもしれない。このぐらいのことで、女神の禁忌に触れることはないだろうけれど、メルアのこともあるしあまり目立たないように気をつけないとな。
「まあ、抜けがあるかもしれないし、気がついたことがあれば頼むよ」
「うん。これで充分だと思うけれど、制作中になにか気づいたら相談する」
僕のお願いにロメオが頼もしく頷いてくれる。その目は、すっかり職人の目になっていた。実家が魔導器メーカーというのもあるけれど、こういう設計や製作をするのが本当に好きなんだろうな。
「午後は選択授業だし、作業場で早速作業に取りかかろうか」
「エーテライトの錬成には、自動錬成器が使えるでござるな」
アイザックとロメオは、設計図に描いた役割分担を把握しながら、僕が描いた設計図を熱心に読み込みながら教室を出て行った。あの様子だと、午後の授業時間前には、手順や流れをしっかりと把握してくれそうだ。
さて、僕は肝心の魔石の調達のためにメルアを訊ねないといけないな。
「リーフ。ワタシ、今日はちょっと別行動でもいい?」
アルフェにメルアの所在を相談しようと思っていたところで、教室に残っていたアルフェがそっと声をかけてきた。
「ああ、構わないよ。なにか用事かな?」
ホムは既に午後の軍事科の授業に備えて、ファラとヴァナベル、ヌメリンと四人で食堂で食いだめをすると言って教室を出ているので、今教室に残っているのは僕たちだけだ。
「アトリエにいるメルアさんを訊ねようと思って」
ああ、そういえばメルアは魔法科の授業を免除されているんだったな。
「それじゃあ、僕も行くよ。メルアにお願いがあるからね」
「うん、一緒に行こっ」
僕が付いてくるとは思っていなかったようで、アルフェが満面の笑みで僕の手を取った。
「嬉しいなぁ」
「そんなに?」
アルフェがぎゅっと僕の手を握りながら、顔を覗き込んでくる。
「うん。リーフがいると、あんまり緊張しなくていいから」
「成り行きだけど、メルアの師匠ということになったからだね」
まさか今世で弟子を取るなんて選択をすることになるとは、思いもよらなかったけれど、メルアほど優秀な人物なら、教え甲斐もあるだろうな。
今のところは、メルアが求める魔導具を提供したり、ほんの少しアドバイスするくらいだけれど、師匠と呼ぶのを許容している以上は、そのうちそれらしいこともしないとならないだろう。
さて、そうなった時にメルアが何を求めてくるのだろうか。前世の僕の魔導具に目を付けているのが、少々気になるところではあるけれど。
まあ、『煌めく星空の指輪』も『優しき一角獣の腕輪』も量産品ではあるし、そもそもの持ち主であるマチルダ先生は常闇の森の魔女だということを考えれば、どんな魔導具を所持していてもおかしくないわけだ。メルアが僕の装飾を喜んでいたところを見るに、ああいう装飾が好きなのかもしれないな。
「ひっ、一晩でこれを作ったでござるか~!?」
「時間がないし、魔導杖だけからね。まだまだやることは山積みだよ」
驚嘆の声を上げて目を白黒させているアイザックとロメオに、苦笑を浮かべて返す。本当はもっとペースを上げたいところだけれど、あまり最初から飛ばしても僕の本当の実力を怪しまれるかもしれない。このぐらいのことで、女神の禁忌に触れることはないだろうけれど、メルアのこともあるしあまり目立たないように気をつけないとな。
「まあ、抜けがあるかもしれないし、気がついたことがあれば頼むよ」
「うん。これで充分だと思うけれど、制作中になにか気づいたら相談する」
僕のお願いにロメオが頼もしく頷いてくれる。その目は、すっかり職人の目になっていた。実家が魔導器メーカーというのもあるけれど、こういう設計や製作をするのが本当に好きなんだろうな。
「午後は選択授業だし、作業場で早速作業に取りかかろうか」
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アイザックとロメオは、設計図に描いた役割分担を把握しながら、僕が描いた設計図を熱心に読み込みながら教室を出て行った。あの様子だと、午後の授業時間前には、手順や流れをしっかりと把握してくれそうだ。
さて、僕は肝心の魔石の調達のためにメルアを訊ねないといけないな。
「リーフ。ワタシ、今日はちょっと別行動でもいい?」
アルフェにメルアの所在を相談しようと思っていたところで、教室に残っていたアルフェがそっと声をかけてきた。
「ああ、構わないよ。なにか用事かな?」
ホムは既に午後の軍事科の授業に備えて、ファラとヴァナベル、ヌメリンと四人で食堂で食いだめをすると言って教室を出ているので、今教室に残っているのは僕たちだけだ。
「アトリエにいるメルアさんを訊ねようと思って」
ああ、そういえばメルアは魔法科の授業を免除されているんだったな。
「それじゃあ、僕も行くよ。メルアにお願いがあるからね」
「うん、一緒に行こっ」
僕が付いてくるとは思っていなかったようで、アルフェが満面の笑みで僕の手を取った。
「嬉しいなぁ」
「そんなに?」
アルフェがぎゅっと僕の手を握りながら、顔を覗き込んでくる。
「うん。リーフがいると、あんまり緊張しなくていいから」
「成り行きだけど、メルアの師匠ということになったからだね」
まさか今世で弟子を取るなんて選択をすることになるとは、思いもよらなかったけれど、メルアほど優秀な人物なら、教え甲斐もあるだろうな。
今のところは、メルアが求める魔導具を提供したり、ほんの少しアドバイスするくらいだけれど、師匠と呼ぶのを許容している以上は、そのうちそれらしいこともしないとならないだろう。
さて、そうなった時にメルアが何を求めてくるのだろうか。前世の僕の魔導具に目を付けているのが、少々気になるところではあるけれど。
まあ、『煌めく星空の指輪』も『優しき一角獣の腕輪』も量産品ではあるし、そもそもの持ち主であるマチルダ先生は常闇の森の魔女だということを考えれば、どんな魔導具を所持していてもおかしくないわけだ。メルアが僕の装飾を喜んでいたところを見るに、ああいう装飾が好きなのかもしれないな。
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