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最終章 ”ヒーロー”
エピローグ
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目を覚ますと、知らない天井だった。
鼻をツンと突く消毒液の香りと、ハッピーエンドを迎えたゼノスの世界のように真っ白なシーツが、病院だと教えてくれる。
――そうだ、僕……。
自分がどういう状況だったかを思い出した陽太は、右手が温かいことに気が付く。
温かさの主は、双葉奏音。
右手を握って、奏音が寝息を立てていた。
「奏音ちゃん……?」
声をかけると、奏音は目を覚ます。
「……ヨウくん!」
目を合わせると、奏音はまず満面の笑みを浮かべ、数秒後には大粒の涙を瞳に溜めていた。
「ヨウくん……お帰り」
「……ただいま」
◇◇◇
通い慣れているはずの部室なのだが、流石に数か月ぶりだとその緊張も一入だ。
陽太は深く深呼吸をしてから、部室のドアを開く。
すると、パンッ、パンッと銃声のような音が陽太を出迎えた。
「退院おめでと!」
「お疲れ様!」
「カッコ良かったよ!」
高牧、新田、鈴木の三人組がまず出迎える。
「随分辛気臭い顔してるじゃないか。もう少し入院したらどうだ?」と久保井が続き、「元気そうで何より」と翔が続いた。
「退院おめでと。ほら、コレ」とまゆりがさしだしたフルーツ盛り合わせには、シェンフゥより、というメッセージが添えてあった。
「ヨウくん! ようこそ、空想研究部へ!」
そして最後に、奏音が花束を持って出迎えた。
「みんなありがとう……って、え? 部? どういうこと?」
「実はね、ホラ、文化祭……あんなことになっちゃったじゃない? けれど、やっぱり順位付けはしたいなって言う声が大きかったの。それで、午前中の投票だけで取りあえず区切りになったんだ」
「午前中だけ?」
「ホラ、俺、渡しただろ? あの部室で見てくれったやつ」
「あ、あぁ」
「ホレ、これがその紙だ」
改めて翔から渡されたその紙を見る。
紙には、エクセルで作った簡単なグラフ。
順位付けがされていた。
順位ごとに、部活の名前が付いている。
三位は、吹奏楽。
二位が、料理部。
そして、一位が――空想研究会となっていた。
「……マジか!」
「てわけで、もちろん部活は存続! それで、せっかくだから会じゃなくて部にしようって話になったの」
「なるほどね。奏音ちゃん、本当にありがとう」
「ううん。私なんて……ヨウくんにしてもらったことに比べたら……」
二人だけの世界に入り込みそうになったところで、「……おーい、アタシらもいるんだぞー」とまゆりが茶々を入れてきてシャットアウトされる。
陽太と奏音は互いに顔を見合わせると、ボンッ、と顔が真っ赤になってしまった。
「園崎さん、あんまりイジメちゃかわいそうだ」
「ふふっ、それもそうだ。さて、それじゃ、邪魔者はこの辺で」
まゆりがそう言うと、祝いに来てくれた人たちが一斉に部室を後にした。
がらんとした部室に取り残された、陽太と奏音。
決まづい空気を切り出したのは、奏音だった。
「あのね、ヨウくん」
「は、はい」
「伝えたいことがあるんだ――」
鼻をツンと突く消毒液の香りと、ハッピーエンドを迎えたゼノスの世界のように真っ白なシーツが、病院だと教えてくれる。
――そうだ、僕……。
自分がどういう状況だったかを思い出した陽太は、右手が温かいことに気が付く。
温かさの主は、双葉奏音。
右手を握って、奏音が寝息を立てていた。
「奏音ちゃん……?」
声をかけると、奏音は目を覚ます。
「……ヨウくん!」
目を合わせると、奏音はまず満面の笑みを浮かべ、数秒後には大粒の涙を瞳に溜めていた。
「ヨウくん……お帰り」
「……ただいま」
◇◇◇
通い慣れているはずの部室なのだが、流石に数か月ぶりだとその緊張も一入だ。
陽太は深く深呼吸をしてから、部室のドアを開く。
すると、パンッ、パンッと銃声のような音が陽太を出迎えた。
「退院おめでと!」
「お疲れ様!」
「カッコ良かったよ!」
高牧、新田、鈴木の三人組がまず出迎える。
「随分辛気臭い顔してるじゃないか。もう少し入院したらどうだ?」と久保井が続き、「元気そうで何より」と翔が続いた。
「退院おめでと。ほら、コレ」とまゆりがさしだしたフルーツ盛り合わせには、シェンフゥより、というメッセージが添えてあった。
「ヨウくん! ようこそ、空想研究部へ!」
そして最後に、奏音が花束を持って出迎えた。
「みんなありがとう……って、え? 部? どういうこと?」
「実はね、ホラ、文化祭……あんなことになっちゃったじゃない? けれど、やっぱり順位付けはしたいなって言う声が大きかったの。それで、午前中の投票だけで取りあえず区切りになったんだ」
「午前中だけ?」
「ホラ、俺、渡しただろ? あの部室で見てくれったやつ」
「あ、あぁ」
「ホレ、これがその紙だ」
改めて翔から渡されたその紙を見る。
紙には、エクセルで作った簡単なグラフ。
順位付けがされていた。
順位ごとに、部活の名前が付いている。
三位は、吹奏楽。
二位が、料理部。
そして、一位が――空想研究会となっていた。
「……マジか!」
「てわけで、もちろん部活は存続! それで、せっかくだから会じゃなくて部にしようって話になったの」
「なるほどね。奏音ちゃん、本当にありがとう」
「ううん。私なんて……ヨウくんにしてもらったことに比べたら……」
二人だけの世界に入り込みそうになったところで、「……おーい、アタシらもいるんだぞー」とまゆりが茶々を入れてきてシャットアウトされる。
陽太と奏音は互いに顔を見合わせると、ボンッ、と顔が真っ赤になってしまった。
「園崎さん、あんまりイジメちゃかわいそうだ」
「ふふっ、それもそうだ。さて、それじゃ、邪魔者はこの辺で」
まゆりがそう言うと、祝いに来てくれた人たちが一斉に部室を後にした。
がらんとした部室に取り残された、陽太と奏音。
決まづい空気を切り出したのは、奏音だった。
「あのね、ヨウくん」
「は、はい」
「伝えたいことがあるんだ――」
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