41 / 48
40 再来の黒塗り事件
しおりを挟む
朝の陽の光が、アーカンシェルの長閑な街並を照らしている。
街が明るくなるにつれ、早朝から働く人々の姿が疎らに見え始めるようになった。各戸に新聞を届ける新聞配達人の蒸気バイクが、商業区域の大通りを曲がっていく。いつもと変わらない朝の日常だった。だが、その日常を破る新聞配達人の悲鳴が、静かな街に響き渡った。
「あ……、あ……」
悲鳴を聞きつけて駆けつけたエドガーらに、新聞配達人が震える手で示す。彼が指差すまでもなく、目の前に広がっている異様な光景にエドガーは目を瞠った。
「そんな、まさか……」
リーリエの絵を守るため、夜を徹して街の巡回を行っていた――にもかかわらず、街の大通りのスプレーアートが全て真っ黒に塗り潰されていたのだ。
「……どういうことなんだ? 一体いつ……」
集まったエドガーの仲間や、美大生らが無残に塗り潰された看板の前で険しく顔を歪めている。
決して少なくない人数で、順路と時間を決めて行われた巡回の際にはなにも異常はなかった。だが、それでも『黒塗り事件』は起きてしまったのだ。
「巡回は完璧だったっていうのに――」
「完璧じゃないから、こうなってるんだろ」
誰かの呟きを、別の誰かが苛立った口調で遮る。
「……誰かが巡回を怠ったか? それとも……」
途中で切られた言葉の先には、恐らく仲間を疑う言葉が続く。それを察知した美大生の青年が芝居がかった仕草で手を広げ、肩を竦めた。
「おいおい。俺たちは仲間だぜ」
「そうだよ。なんで、そんなことをしなきゃならないんだよ」
「けど、他に出歩いてるヤツなんていなかっただろ! うちの看板が台無しにされたんだぞ!」
年配のシモンが感情的に声を荒らげる。他の仲間とは違い、被害者でもある彼の発言に、薄笑いを浮かべていた美大生らは俯いた。
しんと水を打ったような沈黙が流れる。高速道路を走る蒸気車両のエンジン音が過ぎ、彼らの頭上で鳥の囀りが響いた。
いつもと変わらないアーカンシェルの朝。だが、目に入る街の景色は、陰鬱に黒く歪められてしまっている。
「……落ち着いてくれ。それこそ犯人の思惑通りになるぞ」
沈黙を破ったのは、沈痛なまでのエドガーの静かな声だった。
「自分たちがすべきことは絵を守ることであり、そうでなければ巡回に加わることはないはずだ。少なくとも俺はそう信じてる。……怒りは尤もだ。気持ちはわかる。けど、有志が集まった仲間であるからこそ、疑念を抱くような不用意な発言は避けた方がいい」
怒りを押し殺しながら淡々と諭すような言葉を紡ぐエドガーに、一同は静まり返り、お互いの顔を見合わすように視線を彷徨わせた。だが、それぞれの頭に浮かんだ疑念は拭うことができず、彼らは仲間の顔を直視出来ずに目を伏せた。
「……昨晩、二時に俺が見たときはなんともなかった。なにかあったのは、その後だ」
次の沈黙を破ったのは、仲間の一人の報告だった。
「四時の巡回でも、異常はなかったぜ」
「新聞配達人が、黒塗りのスプレーアートに気づいたのは、今朝――六時……」
別の仲間が報告に加わり、犯行時間の分析が始まる。エドガーは顎に手を当てて呻くように呟き、仲間たちの肩越しに黒塗りにされた看板を見渡した。
「……つまり、犯行は巡回の間ってことだな」
約二時間の空白の時間。それだけの時間があれば、これだけの犯行は可能だろう。
「……なあ、巡回時間とルートを知っている人間の犯行ってことにはならないか?」
「なにが言いたいんだよ、シモン」
シモンの発言に、彼の隣にいた青年が訝しく声を上げる。
「可能性は否定できない。だが、巡回を始めてもう二週間だ。ルートや時間の規則性なんてもんは、注意してればすぐにわかる」
代わりに答えたのはエドガーだった。
「……あの……」
その言葉に触発されたように重い空気の中で、まだあどけない少年の面影の残る顔の美大生が手を上げる。
「関係あるかどうかはわからないんですが、昨日は貴族を普段よりも多く見かけました」
「同じ街に住んでるんだ。そんなの証拠にもなんねぇよ」
誰ともなく苛立った声が上がり、最年少美大生は怯えたように視線を足許に落とした。
「いえ、犯人がどうとか、そういうことを言いたいのではなくて……」
「続けてくれ」
消え入りそうな声を支えるように、エドガーが声をかける。目を合わせ、その先を促された美大生は、首を巡らせ、大通りから伸びる細い路地の方を指差した。
「皆、蒸気車両で移動をしていたのです。大通りではなく、細い路地の方を」
蒸気車両は、基本的に大通りを走る。路地の通行が許可されていないわけではないが、細い路地では歩行者と擦れ違うのも精一杯ということもあり、そこをわざわざ通行しようという者は余程の理由がない限りいない。路地に用があれば、大通りに車を停め、徒歩で向かうのだ。
「……それは、妙だな……」
美大生の証言に、エドガーが口許に手を当てて低く呻く。美大生は頷き、自身が抱えていた疑念を更に口にした。
「関係があるかどうか、これで決めることはできないと思います。……ただ、もし僕が犯人ならば、路地に停めた蒸気車両からスプレーを出して犯行に及び、すぐに路地に戻ると思います」
街灯がない路地は人通りも少なく、目撃されるリスクは極端に低くなる。蒸気車両が出て来たところで、乗車している人間を割り出すことも困難だろう。まして、そこに大量の塗料が積まれていたとしても。
「……可能性はあるな。わかった」
エドガーが静かに溜息を吐き、貴族街の方を見遣る。街の西側、やや高台に続く貴族街の街並は、まだ薄暗く、朝と夜の境界にある。
「どうするんだ? まさか抗議に行くんじゃないよな?」
沈黙に耐えかねたように、シモンが不安を口にする。エドガーはそれに穏やかに微笑むと、努めて明るい声で告げた。
「まさか。『黒塗り事件』の捜査を嘆願するだけさ」
街が明るくなるにつれ、早朝から働く人々の姿が疎らに見え始めるようになった。各戸に新聞を届ける新聞配達人の蒸気バイクが、商業区域の大通りを曲がっていく。いつもと変わらない朝の日常だった。だが、その日常を破る新聞配達人の悲鳴が、静かな街に響き渡った。
「あ……、あ……」
悲鳴を聞きつけて駆けつけたエドガーらに、新聞配達人が震える手で示す。彼が指差すまでもなく、目の前に広がっている異様な光景にエドガーは目を瞠った。
「そんな、まさか……」
リーリエの絵を守るため、夜を徹して街の巡回を行っていた――にもかかわらず、街の大通りのスプレーアートが全て真っ黒に塗り潰されていたのだ。
「……どういうことなんだ? 一体いつ……」
集まったエドガーの仲間や、美大生らが無残に塗り潰された看板の前で険しく顔を歪めている。
決して少なくない人数で、順路と時間を決めて行われた巡回の際にはなにも異常はなかった。だが、それでも『黒塗り事件』は起きてしまったのだ。
「巡回は完璧だったっていうのに――」
「完璧じゃないから、こうなってるんだろ」
誰かの呟きを、別の誰かが苛立った口調で遮る。
「……誰かが巡回を怠ったか? それとも……」
途中で切られた言葉の先には、恐らく仲間を疑う言葉が続く。それを察知した美大生の青年が芝居がかった仕草で手を広げ、肩を竦めた。
「おいおい。俺たちは仲間だぜ」
「そうだよ。なんで、そんなことをしなきゃならないんだよ」
「けど、他に出歩いてるヤツなんていなかっただろ! うちの看板が台無しにされたんだぞ!」
年配のシモンが感情的に声を荒らげる。他の仲間とは違い、被害者でもある彼の発言に、薄笑いを浮かべていた美大生らは俯いた。
しんと水を打ったような沈黙が流れる。高速道路を走る蒸気車両のエンジン音が過ぎ、彼らの頭上で鳥の囀りが響いた。
いつもと変わらないアーカンシェルの朝。だが、目に入る街の景色は、陰鬱に黒く歪められてしまっている。
「……落ち着いてくれ。それこそ犯人の思惑通りになるぞ」
沈黙を破ったのは、沈痛なまでのエドガーの静かな声だった。
「自分たちがすべきことは絵を守ることであり、そうでなければ巡回に加わることはないはずだ。少なくとも俺はそう信じてる。……怒りは尤もだ。気持ちはわかる。けど、有志が集まった仲間であるからこそ、疑念を抱くような不用意な発言は避けた方がいい」
怒りを押し殺しながら淡々と諭すような言葉を紡ぐエドガーに、一同は静まり返り、お互いの顔を見合わすように視線を彷徨わせた。だが、それぞれの頭に浮かんだ疑念は拭うことができず、彼らは仲間の顔を直視出来ずに目を伏せた。
「……昨晩、二時に俺が見たときはなんともなかった。なにかあったのは、その後だ」
次の沈黙を破ったのは、仲間の一人の報告だった。
「四時の巡回でも、異常はなかったぜ」
「新聞配達人が、黒塗りのスプレーアートに気づいたのは、今朝――六時……」
別の仲間が報告に加わり、犯行時間の分析が始まる。エドガーは顎に手を当てて呻くように呟き、仲間たちの肩越しに黒塗りにされた看板を見渡した。
「……つまり、犯行は巡回の間ってことだな」
約二時間の空白の時間。それだけの時間があれば、これだけの犯行は可能だろう。
「……なあ、巡回時間とルートを知っている人間の犯行ってことにはならないか?」
「なにが言いたいんだよ、シモン」
シモンの発言に、彼の隣にいた青年が訝しく声を上げる。
「可能性は否定できない。だが、巡回を始めてもう二週間だ。ルートや時間の規則性なんてもんは、注意してればすぐにわかる」
代わりに答えたのはエドガーだった。
「……あの……」
その言葉に触発されたように重い空気の中で、まだあどけない少年の面影の残る顔の美大生が手を上げる。
「関係あるかどうかはわからないんですが、昨日は貴族を普段よりも多く見かけました」
「同じ街に住んでるんだ。そんなの証拠にもなんねぇよ」
誰ともなく苛立った声が上がり、最年少美大生は怯えたように視線を足許に落とした。
「いえ、犯人がどうとか、そういうことを言いたいのではなくて……」
「続けてくれ」
消え入りそうな声を支えるように、エドガーが声をかける。目を合わせ、その先を促された美大生は、首を巡らせ、大通りから伸びる細い路地の方を指差した。
「皆、蒸気車両で移動をしていたのです。大通りではなく、細い路地の方を」
蒸気車両は、基本的に大通りを走る。路地の通行が許可されていないわけではないが、細い路地では歩行者と擦れ違うのも精一杯ということもあり、そこをわざわざ通行しようという者は余程の理由がない限りいない。路地に用があれば、大通りに車を停め、徒歩で向かうのだ。
「……それは、妙だな……」
美大生の証言に、エドガーが口許に手を当てて低く呻く。美大生は頷き、自身が抱えていた疑念を更に口にした。
「関係があるかどうか、これで決めることはできないと思います。……ただ、もし僕が犯人ならば、路地に停めた蒸気車両からスプレーを出して犯行に及び、すぐに路地に戻ると思います」
街灯がない路地は人通りも少なく、目撃されるリスクは極端に低くなる。蒸気車両が出て来たところで、乗車している人間を割り出すことも困難だろう。まして、そこに大量の塗料が積まれていたとしても。
「……可能性はあるな。わかった」
エドガーが静かに溜息を吐き、貴族街の方を見遣る。街の西側、やや高台に続く貴族街の街並は、まだ薄暗く、朝と夜の境界にある。
「どうするんだ? まさか抗議に行くんじゃないよな?」
沈黙に耐えかねたように、シモンが不安を口にする。エドガーはそれに穏やかに微笑むと、努めて明るい声で告げた。
「まさか。『黒塗り事件』の捜査を嘆願するだけさ」
0
お気に入りに追加
476
あなたにおすすめの小説
【完結】魔力がないと見下されていた私は仮面で素顔を隠した伯爵と結婚することになりました〜さらに魔力石まで作り出せなんて、冗談じゃない〜
光城 朱純
ファンタジー
魔力が強いはずの見た目に生まれた王女リーゼロッテ。
それにも拘わらず、魔力の片鱗すらみえないリーゼロッテは家族中から疎まれ、ある日辺境伯との結婚を決められる。
自分のあざを隠す為に仮面をつけて生活する辺境伯は、龍を操ることができると噂の伯爵。
隣に魔獣の出る森を持ち、雪深い辺境地での冷たい辺境伯との新婚生活は、身も心も凍えそう。
それでも国の端でひっそり生きていくから、もう放っておいて下さい。
私のことは私で何とかします。
ですから、国のことは国王が何とかすればいいのです。
魔力が使えない私に、魔力石を作り出せだなんて、そんなの無茶です。
もし作り出すことができたとしても、やすやすと渡したりしませんよ?
これまで虐げられた分、ちゃんと返して下さいね。
表紙はPhoto AC様よりお借りしております。
拝啓、愛しの侯爵様~行き遅れ令嬢ですが、運命の人は案外近くにいたようです~
藤原ライラ
ファンタジー
心を奪われた手紙の先には、運命の人が待っていた――
子爵令嬢のキャロラインは、両親を早くに亡くし、年の離れた弟の面倒を見ているうちにすっかり婚期を逃しつつあった。夜会でも誰からも相手にされない彼女は、新しい出会いを求めて文通を始めることに。届いた美しい字で洗練された内容の手紙に、相手はきっとうんと年上の素敵なおじ様のはずだとキャロラインは予想する。
彼とのやり取りにときめく毎日だがそれに難癖をつける者がいた。幼馴染で侯爵家の嫡男、クリストファーである。
「理想の相手なんかに巡り合えるわけないだろう。現実を見た方がいい」
四つ年下の彼はいつも辛辣で彼女には冷たい。
そんな時キャロラインは、夜会で想像した文通相手とそっくりな人物に出会ってしまう……。
文通相手の正体は一体誰なのか。そしてキャロラインの恋の行方は!?
じれじれ両片思いです。
※他サイトでも掲載しています。
イラスト:ひろ様(https://xfolio.jp/portfolio/hiro_foxtail)
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

【完結】特別な力で国を守っていた〈防国姫〉の私、愚王と愚妹に王宮追放されたのでスパダリ従者と旅に出ます。一方で愚王と愚妹は破滅する模様
岡崎 剛柔
ファンタジー
◎第17回ファンタジー小説大賞に応募しています。投票していただけると嬉しいです
【あらすじ】
カスケード王国には魔力水晶石と呼ばれる特殊な鉱物が国中に存在しており、その魔力水晶石に特別な魔力を流すことで〈魔素〉による疫病などを防いでいた特別な聖女がいた。
聖女の名前はアメリア・フィンドラル。
国民から〈防国姫〉と呼ばれて尊敬されていた、フィンドラル男爵家の長女としてこの世に生を受けた凛々しい女性だった。
「アメリア・フィンドラル、ちょうどいい機会だからここでお前との婚約を破棄する! いいか、これは現国王である僕ことアントン・カスケードがずっと前から決めていたことだ! だから異議は認めない!」
そんなアメリアは婚約者だった若き国王――アントン・カスケードに公衆の面前で一方的に婚約破棄されてしまう。
婚約破棄された理由は、アメリアの妹であったミーシャの策略だった。
ミーシャはアメリアと同じ〈防国姫〉になれる特別な魔力を発現させたことで、アントンを口説き落としてアメリアとの婚約を破棄させてしまう。
そしてミーシャに骨抜きにされたアントンは、アメリアに王宮からの追放処分を言い渡した。
これにはアメリアもすっかり呆れ、無駄な言い訳をせずに大人しく王宮から出て行った。
やがてアメリアは天才騎士と呼ばれていたリヒト・ジークウォルトを連れて〈放浪医師〉となることを決意する。
〈防国姫〉の任を解かれても、国民たちを守るために自分が持つ医術の知識を活かそうと考えたのだ。
一方、本物の知識と実力を持っていたアメリアを王宮から追放したことで、主核の魔力水晶石が致命的な誤作動を起こしてカスケード王国は未曽有の大災害に陥ってしまう。
普通の女性ならば「私と婚約破棄して王宮から追放した報いよ。ざまあ」と喜ぶだろう。
だが、誰よりも優しい心と気高い信念を持っていたアメリアは違った。
カスケード王国全土を襲った未曽有の大災害を鎮めるべく、すべての原因だったミーシャとアントンのいる王宮に、アメリアはリヒトを始めとして旅先で出会った弟子の少女や伝説の魔獣フェンリルと向かう。
些細な恨みよりも、〈防国姫〉と呼ばれた聖女の力で国を救うために――。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

「悪女」だそうなので、婚約破棄されましたが、ありがとう!第二の人生をはじめたいと思います!
あなはにす
恋愛
なんでも、わがままな伯爵令息の婚約者に合わせて過ごしていた男爵令嬢、ティア。ある日、学園で公衆の面前で、した覚えのない悪行を糾弾されて、婚約破棄を叫ばれる。しかし、なんでも、婚約者に合わせていたティアはこれからは、好きにしたい!と、思うが、両親から言われたことは、ただ、次の婚約を取り付けるということだけだった。
学校では、醜聞が広まり、ひとけのないところにいたティアの前に現れた、この国の第一王子は、なぜか自分のことを知っていて……?
婚約破棄から始まるシンデレラストーリー!
この度、猛獣公爵の嫁になりまして~厄介払いされた令嬢は旦那様に溺愛されながら、もふもふ達と楽しくモノづくりライフを送っています~
柚木崎 史乃
ファンタジー
名門伯爵家の次女であるコーデリアは、魔力に恵まれなかったせいで双子の姉であるビクトリアと比較されて育った。
家族から疎まれ虐げられる日々に、コーデリアの心は疲弊し限界を迎えていた。
そんな時、どういうわけか縁談を持ちかけてきた貴族がいた。彼の名はジェイド。社交界では、「猛獣公爵」と呼ばれ恐れられている存在だ。
というのも、ある日を境に文字通り猛獣の姿へと変わってしまったらしいのだ。
けれど、いざ顔を合わせてみると全く怖くないどころか寧ろ優しく紳士で、その姿も動物が好きなコーデリアからすれば思わず触りたくなるほど毛並みの良い愛らしい白熊であった。
そんな彼は月に数回、人の姿に戻る。しかも、本来の姿は類まれな美青年なものだから、コーデリアはその度にたじたじになってしまう。
ジェイド曰くここ数年、公爵領では鉱山から流れてくる瘴気が原因で獣の姿になってしまう奇病が流行っているらしい。
それを知ったコーデリアは、瘴気の影響で不便な生活を強いられている領民たちのために鉱石を使って次々と便利な魔導具を発明していく。
そして、ジェイドからその才能を評価され知らず知らずのうちに溺愛されていくのであった。
一方、コーデリアを厄介払いした家族は悪事が白日のもとに晒された挙句、王家からも見放され窮地に追い込まれていくが……。
これは、虐げられていた才女が嫁ぎ先でその才能を発揮し、周囲の人々に無自覚に愛され幸せになるまでを描いた物語。
他サイトでも掲載中。
毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。
克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる