恋の始め方

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①両想いの始め方1

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今日も彼と目があった。






相川由那、高校1年生。今日も今日とて片想い続行中です。



私は知っています。ガン見すれば目は合わせることができることを。
 


でも私なんて近くにいける存在ではない。



私なんて目すらあってもおこがましい。
そんな雲の上の人。私がずっと好きな人。








中学からずっとずっと、好きだった。








ーーー

「おーい!ハンカチ落としたよ!」


え!?佐川悠君!?




一人でいる所なんて初めてみた……

女の子からの人気がすごく常に女の子が周りにへばりつい……隣にいるのが当たり前になっているのに。





「あ、ありがとうごさいます」



「大丈夫だよ!このハンカチのキャラ限定キャラでしょ?俺それ好きなんだ~」



「そ、そうなんだ!これ友達からの誕生日プレゼントで……」



佐川悠君ってこういうキャラ好きなんだ……でもこれって……



「ゆるおじが好きなの…?」



「ぷっ…ゆるおじって呼んでるの?そうだよ~この限定おじさん結構レアなやつ!」



彼はそう言ってニコニコ笑っていた。

何故か胸が「ドクンッ」とはねた気がした。

その時の彼の笑顔は眩しくて私には直視できなかった。私にもこんな風に笑ってくれるのかと驚いただけだとは思うけど。



「そうなんだ…じゃあ大事に使うね!」




彼からもらった訳でもないのに大事に使うってなんてこと言ってんだと思って訂正しようとしたが、彼の反応は優しいものだった。



「うん!他のキャラも調べてみたらいいと思うよ!みんな癒されるよ~」




ニコニコの笑顔でそう言ってくれた。おじさんに癒されるなんて少しお茶目な所もあるのだなぁ~と思った。




私はよく会話で言葉の選択をミスすることが多かったからこんな風に優しく受け止めてくれた彼にはびっくりした。



「うん!みてみる!」




「ありがとー?笑あ、部活行く時間だっ!じゃあまたね由那ちゃん!」



「あ、うん!頑張って!」



「ふっ、ありがとね!」




そういうと彼は颯爽と走り去っていった。









ーーー






というのは中学3年の時の記憶。
私はそれまで恋なんてしたことがなかった。だからあの時の笑顔に惚れていたとは気が付けなかった。




気がついたのは次彼をみた二週間後。


 
「愛ちゃん、こないだスポドリサンキューな!」

   



そう言って笑った彼がその愛ちゃんと言う美少女に私の時と同じような、それでいてまた少し違った優しい笑顔をしたのだ。お礼を言われた愛ちゃんとやらはものすごい顔を蒸気させ、照れていた。




…あの笑顔ってみんなにするんだ。その時に私は気がついた。私はあの笑顔を独り占めしたいと思っていたことに。




その日から自分が恋に落ちていたことに気がついた。





高校生になった今でも彼は私を覚えているだろうか。

でもあの時帰り際、彼は私に「由那ちゃん」と名前で呼んでくれていた。

私の存在自体はわかってくれている。私はそれだけで嬉しかった。私が勉強を頑張っていたからか、彼と同じで中学校に近い進学校に進学することができた。




 

高校に入っても彼の人気は変わらなかった。むしろファンが増えただけだろう。


中学の時と違いスマホを持っているので、SNSで彼の無断投稿が増えているということもあるくらいらしい。



彼はみんなの王子様だと誰かがいっていた。

確かに彼が誰かと付き合っているという噂は聞いたことがない。


でもそれで分かるのは彼が私を特別だと思うこともないだろう。  




あの愛ちゃんとやらは後で聞いた話だが中学で2番目に可愛いと言われていたらしい。

2番目とは失礼じゃないかとは思うが、皆納得の2番らしい。
 
一番はレベルが違うと。そんな2番目?の美少女の子でさ振られたのだ。

なら私なんて論外だろう。少しでも望みがあると思う方がバカだというのも彼に恋する女子の中では当たり前。



彼には好きな人とかはいないのかな。
もしかしてずっと付き合ってる人がいたりする……?
  


考えれば考えるほど私の胸を締め付ける。きっと佐川君が、誰かと付き合ったって私は彼を好きなままな気がする。





初めての恋ということもあるからそういう風に思ってしまうのかもしれないけど、きっとそれだけじゃない。



彼以上に素敵な人なんてきっと私には見つけられないと思うからだ。




いつかこの想いを伝えるだけでも出来たりしないかなぁ……





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