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第五章:“星”の欠片
幕間27:湧き上がる羨望
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ったく、なんで俺がガキのお守りなんざやってんだ。リオの掌の上で見事に踊らされた。腹が立つ……というより、敵わないと思う。
出会ったときもそうだった。俺の意志を無視して、思うがままに振り回す。それが心地良い、と思ってしまうのは俺の弱さか。
いまはランドルフ邸に向かっている。先にアーサーを送った方が危険が少ないと判断したからだ。それに、城からはそっちの方が近い。一刻も早く、アレンとアーサーを離したかった。
前を歩く二人は、お互いに反対側を向いている。不安は拭えない。
こいつら、会話がねぇな……仲が良いんだか、悪いんだか。いや、良くはない。それは間違いない。こいつらの問題は、お互いが踏み込まないことだ。心を明かさずに相手の様子を窺うだけ。だからすれ違うし、通じない。
どっちかが踏み込めば変わる。どれだけ頑なに拒んでも、諦めの悪い奴には勝てない。巨大な壁も、頑丈な檻も、殴り続けりゃいつかは壊れる。俺はそれを知っている。
「……お前らに聞きたいことがある」
二人が振り返る。アレンは仏頂面だし、アーサーはどこか不安そうだった。さて、この質問にお前らはどう答える?
「夢はあるか」
まあ、そうなるわな。ぽかーん、だ。この状況でお互い語れるとは思ってない。素直になれないのはガキの特権。だが、どこかでそれを捨てなけりゃ、一生後悔することにもなる。
「なにがやりたいとか、どうなりたいとか。そういうの、ないのか」
「……オレの夢は、人前で歌うことです。オレの歌が誰かを勇気づけられるなら、って、ずっと思ってたから……」
アレンは答えられる、か。考えてみりゃ、現状確定してるアイドルの中でこいつが一番明確に目的を持ってる。答えられないはずがない。問題はアーサーだ。一瞥すれば、俯いてる。
「お前はどうなんだ」
「僕は……」
アーサーは言い淀む。アイドルなんて得体の知れない仕事に取り組むことに思うところがあるんだろう。伯爵子息である自分が見世物になることを選んだんだ。
恥じらい、不安、それだけじゃない。伯爵への負い目が最も大きいはずだ。特にランドルフ家は国民からの信頼も厚い。他の貴族と比べて国への貢献に熱心だ。そんな家に生まれておきながら、自身を見世物として売り出すことは罪悪感を刺激するだろう。
答えを待つつもりだった。だが、隣のガキがそれを許さなかった。
「言えないのか?」
「そ、そんなことはない」
「なら言えよ、あの手紙は嘘だったっていうのか?」
「嘘じゃない! 本心だ!」
「なら、言えって。なに恥ずかしがってんだよ」
「恥ずかしがってなんか……!」
「じゃあ言え。お前の夢は?」
アレンの詰め方がえげつない。恐ろしさすら感じる。アーサーが言えない理由はなんなんだ? こいつはそれを知っている。だから言わせようとしてる。傷つけようって腹じゃないとは思うが……仮にそうだとしたら、リオに報告する必要があるか。
今後についてある種の不安を覚えてしまう。そこでようやく観念したのか、アーサーは深いため息を吐いた。
「……僕の夢は、アレンが望む道を歩くことです。たくさんの人の前で歌い、喝采を浴びること。その光景を傍で見ていたい。だから僕は、アイドルに志願しました」
「なんだよ、ちゃんと言えるじゃん。恥ずかしかったのか?」
「当たり前だろう、言葉にしなくたってわかっていると思ったから……」
「イアンさんはわからないだろ。ですよね?」
「あ? おう、そりゃそうだ」
急に話を振られたもんだから頷くしかない。事実として知らないんだから間違っていない。
アーサーは困ったような顔をしていたが、すぐに表情が変わる。まんざらでもなさそうな苦笑だった。アレンもアレンで、嬉しいような照れ臭いような、思春期みたいな顔をしてる。いや、思春期なんだが。
しかしこいつらの関係……本当によくわからねぇな。険悪そうに見えるが、お互いに悪意も敵意もない。素直になれないガキってこんなに扱いにくいもんなのか? ギルとオルフェもそうだったが、リオに舵取れるのか? 俺なら胃に穴空いてるぞ……。
なんにせよ、こいつらには夢がある。それは喜ばしいことだ。リオが主導になるんだろうが、俺に出来ることはしてやりたい。
「そういうイアンさんは、夢ってありますか?」
「あ……? 俺の夢?」
「オレたちは言いましたよ」
アレンは無邪気な笑顔を向けてくる。その顔に、その言葉に、胸が痛んだ。小僧の顔に少女の顔が重なる。忘れていた、忘れようとしていた顔。つい、表情が歪む。
俺の異変にもすぐに気付く。アレンの眉が困ったように下がった。その顔も、あいつを彷彿とさせる。
「……? オレ、変なこと聞いちゃいましたか?」
「……ああいや、大丈夫だ。夢を見るのはもう辞めちまったから……なんて言やぁいいのかわからなくてよ、それだけだ」
「それならいいんですけど……」
納得はしていない。だが、踏み込んでこない。こいつは優しい。人の気持ちを汲み取るだけの度量がある。
年齢を考えれば似つかわしくないとも思った。たかが十七のガキのくせに、人を気遣うことが当たり前になってる。背伸びしていることにも気づいていないのだろう。
――危うい、とも言えるか。
年相応に振る舞えない。無意識の背伸びはいずれ膝をつく。そうなったら立ち上がることは困難だ。俺がそうだった。肩を貸してくれる存在が必要なんだ。
「まあ、なんだ。お前らは同じ夢を見てるってことだろ? 小競り合いしても仕方ねぇんだ、支え合える仲になれ。あんまりリオを困らせんなよ」
「だってよ、アーサー」
「僕にだけ言ったわけじゃないだろう。まあ、そうだな。お前が倒れたら、助けてやる」
「上から言ってら。じゃあオレも、お前が倒れたら助けてやるよ。それは貸しだからな」
「わかったわかった。まったく……」
年頃の男ってみんなこうなのか……? 想像してもいなかった。俺にはそういう相手はいなかった。そんな関係が築ける最低限すら、持ち合わせていなかったから。
――少しだけ、羨ましく思う。
「あ……父上……」
不意にアーサーが声を上げる。視線の先には、ランドルフ伯爵がいた。この状況、まずい。どう説明すればいい?
戸惑う俺のことなど露知らず、伯爵は目を細める。
「これはこれは宰相閣下。ああ、いまは宰相ではないのでしたね」
「ご無沙汰しております。仰る通り、いまは文化開発庁の長官です」
「文化開発庁……はて、どのような機関で?」
「帝国に新たな風を吹かせるための機関です。現在は準備のために動いています」
伯爵の声音は鋭い。アーサーがいるからだろう。得体の知れないプロジェクトに跡継ぎが関わらないか、不安視するのは仕方がない。遅かれ早かれ発覚することだ。ここで宣言していいのか? いや
絶対に良くない。
アーサーとアレンに目をやる。こいつらが余計な動きを見せなきゃいいが……。
「ほら、行けよ」
突き放すようなアレンの声。戸惑うアーサーを他所に、アレンはそっぽを向いた。
「オレはイアンさんに送ってもらうからいい。伯爵がいるならちょうどいいだろ」
「……そう、だな。わかった。イアンさん、僕はこれで……」
妙に素直だな。感情の制御は利く……というより、わかっているのだろう。余計なことをしてはいけないと。直感が告げたんだと思う。青臭い子供かと思っていたが、変なところだけ大人びてるんだな。
「ああ。それでは伯爵、ご子息共々お気をつけて」
「うむ。帰るぞ、アーサー」
「はい。……アレン」
「ん?」
振り向くアーサー。アレンと一瞬視線を交わし――笑う。
「……また会おう」
「……うん、またな」
力なく手を振って見送るアレン。こいつらの関係は、一口に説明ができない。いがみ合っているように見えて、嫌っているわけでもない。素直になれないだけで、根っこはお互いを信頼しているんだ。
「なあ、アレン」
「はい?」
「お前は、アーサーとどうなりたい?」
「どう? どうって……」
アレンは考え込む。すぐには出てこない、というよりは確かな言葉に出来ないというのが本音だろう。こればかりは聞いておきたい。
だから待った。やがて、アレンは弱々しく口を開く。
「……オレ、昔に戻りたいです。アーサーと、なんのしがらみもない、ただの友達に戻りたいです」
「そうか。なら、素直になりな。つっけんどんな態度取ったって、それは叶わねぇぞ」
相手が相手だ。素直に手を引かれるような性格でもない。面倒臭いと言っちまえば身も蓋もないが、お互いが我を通すだけで関係が改善するものでもない。
どちらも歩み寄る必要があるし、こいつらにはそれができるはずなんだ。俺と違って。アレンは俯き、掠れた声で笑う。
「そうですね……いろいろあったから、難しいけど……頑張ってみます」
「そうしな。若いうちに後悔なんてするもんじゃねぇから」
「イアンさんだって、若い方でしょう……?」
「はっはっは、そうだな。じゃ、そろそろ行くぞ。またお前の母ちゃんに怒られたら堪ったもんじゃねぇ」
アレンの頭を雑に撫でて歩き出す。内心、苦笑しながら。
俺には夢なんてない。あったけど、捨てた。夢を見るには、いろいろ足りねぇから。
昔に戻りたいと願うこいつが羨ましい。過去なんて、俺にとっちゃ投げ捨てたいものだ。俺から夢を見る資格を奪った、忌々しい記憶。
夢を見られるのは、選べる奴らだけ。未来を見る資格がある奴らだけなんだ。
――俺は、夢を見ちゃいけない。いまを生きるのに精一杯だから。
出会ったときもそうだった。俺の意志を無視して、思うがままに振り回す。それが心地良い、と思ってしまうのは俺の弱さか。
いまはランドルフ邸に向かっている。先にアーサーを送った方が危険が少ないと判断したからだ。それに、城からはそっちの方が近い。一刻も早く、アレンとアーサーを離したかった。
前を歩く二人は、お互いに反対側を向いている。不安は拭えない。
こいつら、会話がねぇな……仲が良いんだか、悪いんだか。いや、良くはない。それは間違いない。こいつらの問題は、お互いが踏み込まないことだ。心を明かさずに相手の様子を窺うだけ。だからすれ違うし、通じない。
どっちかが踏み込めば変わる。どれだけ頑なに拒んでも、諦めの悪い奴には勝てない。巨大な壁も、頑丈な檻も、殴り続けりゃいつかは壊れる。俺はそれを知っている。
「……お前らに聞きたいことがある」
二人が振り返る。アレンは仏頂面だし、アーサーはどこか不安そうだった。さて、この質問にお前らはどう答える?
「夢はあるか」
まあ、そうなるわな。ぽかーん、だ。この状況でお互い語れるとは思ってない。素直になれないのはガキの特権。だが、どこかでそれを捨てなけりゃ、一生後悔することにもなる。
「なにがやりたいとか、どうなりたいとか。そういうの、ないのか」
「……オレの夢は、人前で歌うことです。オレの歌が誰かを勇気づけられるなら、って、ずっと思ってたから……」
アレンは答えられる、か。考えてみりゃ、現状確定してるアイドルの中でこいつが一番明確に目的を持ってる。答えられないはずがない。問題はアーサーだ。一瞥すれば、俯いてる。
「お前はどうなんだ」
「僕は……」
アーサーは言い淀む。アイドルなんて得体の知れない仕事に取り組むことに思うところがあるんだろう。伯爵子息である自分が見世物になることを選んだんだ。
恥じらい、不安、それだけじゃない。伯爵への負い目が最も大きいはずだ。特にランドルフ家は国民からの信頼も厚い。他の貴族と比べて国への貢献に熱心だ。そんな家に生まれておきながら、自身を見世物として売り出すことは罪悪感を刺激するだろう。
答えを待つつもりだった。だが、隣のガキがそれを許さなかった。
「言えないのか?」
「そ、そんなことはない」
「なら言えよ、あの手紙は嘘だったっていうのか?」
「嘘じゃない! 本心だ!」
「なら、言えって。なに恥ずかしがってんだよ」
「恥ずかしがってなんか……!」
「じゃあ言え。お前の夢は?」
アレンの詰め方がえげつない。恐ろしさすら感じる。アーサーが言えない理由はなんなんだ? こいつはそれを知っている。だから言わせようとしてる。傷つけようって腹じゃないとは思うが……仮にそうだとしたら、リオに報告する必要があるか。
今後についてある種の不安を覚えてしまう。そこでようやく観念したのか、アーサーは深いため息を吐いた。
「……僕の夢は、アレンが望む道を歩くことです。たくさんの人の前で歌い、喝采を浴びること。その光景を傍で見ていたい。だから僕は、アイドルに志願しました」
「なんだよ、ちゃんと言えるじゃん。恥ずかしかったのか?」
「当たり前だろう、言葉にしなくたってわかっていると思ったから……」
「イアンさんはわからないだろ。ですよね?」
「あ? おう、そりゃそうだ」
急に話を振られたもんだから頷くしかない。事実として知らないんだから間違っていない。
アーサーは困ったような顔をしていたが、すぐに表情が変わる。まんざらでもなさそうな苦笑だった。アレンもアレンで、嬉しいような照れ臭いような、思春期みたいな顔をしてる。いや、思春期なんだが。
しかしこいつらの関係……本当によくわからねぇな。険悪そうに見えるが、お互いに悪意も敵意もない。素直になれないガキってこんなに扱いにくいもんなのか? ギルとオルフェもそうだったが、リオに舵取れるのか? 俺なら胃に穴空いてるぞ……。
なんにせよ、こいつらには夢がある。それは喜ばしいことだ。リオが主導になるんだろうが、俺に出来ることはしてやりたい。
「そういうイアンさんは、夢ってありますか?」
「あ……? 俺の夢?」
「オレたちは言いましたよ」
アレンは無邪気な笑顔を向けてくる。その顔に、その言葉に、胸が痛んだ。小僧の顔に少女の顔が重なる。忘れていた、忘れようとしていた顔。つい、表情が歪む。
俺の異変にもすぐに気付く。アレンの眉が困ったように下がった。その顔も、あいつを彷彿とさせる。
「……? オレ、変なこと聞いちゃいましたか?」
「……ああいや、大丈夫だ。夢を見るのはもう辞めちまったから……なんて言やぁいいのかわからなくてよ、それだけだ」
「それならいいんですけど……」
納得はしていない。だが、踏み込んでこない。こいつは優しい。人の気持ちを汲み取るだけの度量がある。
年齢を考えれば似つかわしくないとも思った。たかが十七のガキのくせに、人を気遣うことが当たり前になってる。背伸びしていることにも気づいていないのだろう。
――危うい、とも言えるか。
年相応に振る舞えない。無意識の背伸びはいずれ膝をつく。そうなったら立ち上がることは困難だ。俺がそうだった。肩を貸してくれる存在が必要なんだ。
「まあ、なんだ。お前らは同じ夢を見てるってことだろ? 小競り合いしても仕方ねぇんだ、支え合える仲になれ。あんまりリオを困らせんなよ」
「だってよ、アーサー」
「僕にだけ言ったわけじゃないだろう。まあ、そうだな。お前が倒れたら、助けてやる」
「上から言ってら。じゃあオレも、お前が倒れたら助けてやるよ。それは貸しだからな」
「わかったわかった。まったく……」
年頃の男ってみんなこうなのか……? 想像してもいなかった。俺にはそういう相手はいなかった。そんな関係が築ける最低限すら、持ち合わせていなかったから。
――少しだけ、羨ましく思う。
「あ……父上……」
不意にアーサーが声を上げる。視線の先には、ランドルフ伯爵がいた。この状況、まずい。どう説明すればいい?
戸惑う俺のことなど露知らず、伯爵は目を細める。
「これはこれは宰相閣下。ああ、いまは宰相ではないのでしたね」
「ご無沙汰しております。仰る通り、いまは文化開発庁の長官です」
「文化開発庁……はて、どのような機関で?」
「帝国に新たな風を吹かせるための機関です。現在は準備のために動いています」
伯爵の声音は鋭い。アーサーがいるからだろう。得体の知れないプロジェクトに跡継ぎが関わらないか、不安視するのは仕方がない。遅かれ早かれ発覚することだ。ここで宣言していいのか? いや
絶対に良くない。
アーサーとアレンに目をやる。こいつらが余計な動きを見せなきゃいいが……。
「ほら、行けよ」
突き放すようなアレンの声。戸惑うアーサーを他所に、アレンはそっぽを向いた。
「オレはイアンさんに送ってもらうからいい。伯爵がいるならちょうどいいだろ」
「……そう、だな。わかった。イアンさん、僕はこれで……」
妙に素直だな。感情の制御は利く……というより、わかっているのだろう。余計なことをしてはいけないと。直感が告げたんだと思う。青臭い子供かと思っていたが、変なところだけ大人びてるんだな。
「ああ。それでは伯爵、ご子息共々お気をつけて」
「うむ。帰るぞ、アーサー」
「はい。……アレン」
「ん?」
振り向くアーサー。アレンと一瞬視線を交わし――笑う。
「……また会おう」
「……うん、またな」
力なく手を振って見送るアレン。こいつらの関係は、一口に説明ができない。いがみ合っているように見えて、嫌っているわけでもない。素直になれないだけで、根っこはお互いを信頼しているんだ。
「なあ、アレン」
「はい?」
「お前は、アーサーとどうなりたい?」
「どう? どうって……」
アレンは考え込む。すぐには出てこない、というよりは確かな言葉に出来ないというのが本音だろう。こればかりは聞いておきたい。
だから待った。やがて、アレンは弱々しく口を開く。
「……オレ、昔に戻りたいです。アーサーと、なんのしがらみもない、ただの友達に戻りたいです」
「そうか。なら、素直になりな。つっけんどんな態度取ったって、それは叶わねぇぞ」
相手が相手だ。素直に手を引かれるような性格でもない。面倒臭いと言っちまえば身も蓋もないが、お互いが我を通すだけで関係が改善するものでもない。
どちらも歩み寄る必要があるし、こいつらにはそれができるはずなんだ。俺と違って。アレンは俯き、掠れた声で笑う。
「そうですね……いろいろあったから、難しいけど……頑張ってみます」
「そうしな。若いうちに後悔なんてするもんじゃねぇから」
「イアンさんだって、若い方でしょう……?」
「はっはっは、そうだな。じゃ、そろそろ行くぞ。またお前の母ちゃんに怒られたら堪ったもんじゃねぇ」
アレンの頭を雑に撫でて歩き出す。内心、苦笑しながら。
俺には夢なんてない。あったけど、捨てた。夢を見るには、いろいろ足りねぇから。
昔に戻りたいと願うこいつが羨ましい。過去なんて、俺にとっちゃ投げ捨てたいものだ。俺から夢を見る資格を奪った、忌々しい記憶。
夢を見られるのは、選べる奴らだけ。未来を見る資格がある奴らだけなんだ。
――俺は、夢を見ちゃいけない。いまを生きるのに精一杯だから。
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