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過去編2

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しらないこどもが、ふたりいた。


ヒビキくんと、レンくん。

ふたりはボクよりもちょっとだけとしうえで、カスミさんのこどもらしい。


スミレさんがおじいちゃんのところへいかなきゃいけなくなって、ボクはヒビキくんたちとあそんでまっててっていわれた。


ふたりはボクのことをふしぎそうなめでみていた。


ボクもふしぎで、やっぱりあんまりうまくしゃべれなかった。


「変なやつ」

「へ、へんじゃないよ」

「嘘だ。お前、スミレおじさんに変なことされてるんだろ」


レンくんにいわれて、ボクはかなしくなった。


スミレさんはいいひとだけど、へんなひとだった。


レンくんもスミレさんがへんなことをしっているみたいで、いじわるなかおをしていた。



「おい、ガキども、俺の車に傷をつけたのは誰だ!」



とつぜんドアがあいて、ボクはびっくりした。


ヒビキくんもレンくんのかたもびくってなっていた。


レンくんはさっきまでいじわるなかおをしていたのに、ブルブルふるえていた。


ドアをあけたのは、カスミさんだった。



「この子が、オモチャをぶつけてた」


ヒビキくんが、ぼくをゆびさしていった。


「ボ、ボクじゃないよ!」


「嘘つけ!すぐに謝れって言ったのに、逃げただろ!」


レンくんも、やっぱりボクをゆびさしていった。


ふたりのかおはあおかった。


カスミさんのかおはあかかった。


カスミさんはおにになったパパみたいで、ボクはこわくなって、スミレさんのとこにいこうとした。


でも、すぐにカスミさんにつかまった。


「逃げようとしたってことは、やっぱりお前が犯人なんだな。俺の前で嘘は許されねぇんだろ。この家の人間になったなら、しっかり教えてやらねぇとな」



ボクはカスミさんにおしりをたたかれた。


いっぱいないたけど、やめてくれなかった。



みとめて、あやまるまでやめないっていわれたから、みとめて、あやまったら、やっぱりって、こんどはかおをたたかれた。


「カスミ、なにやってんだ!」


ボクがなきながらふるえてると、パパがやってきた。


「あ?クソガキしつけてやってるんだよね」


「お前はどうしてそんなに暴力的なんだ。響や蓮にも同じことをやってるらしいな」


「約束を守らないやつらが悪い。しかし意外だな、このガキを助けようとするとは」


「今朝、息子が産まれたんだよ。杏奈は、こいつと会いたがっている。だけどお前がこいつの顔を叩いたせいで、今日は無理だな。今度から顔はやめろよ」


「顔はね」


おしりがいたい。かおがいたい。


パパはボクをたすけにきてくれたのかな?


だけど、すぐにどこかにいっちゃった。



ボクはしばらくうごけなかった。



すみっこでちいさくなっていると、スミレさんがこおりをもってきてくれた。



スミレさんはへんなひとだけど、ママのつぎにすきなひとになった。

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