神妖恋物語

月蛍縁

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弍.妖の住処と四人の男

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「図書館が住処じゃの」
私の言葉に天音が頷く
そして、歩き出した
天音が後ろから着いて来る
四人の男の音も聞こえてきた
「お主らは来てはならない」
私は四人を見る
四人は目を逸らし、でもたしかに歩いてはいた
(………ほぉ)
天音が怒りに震える
確かにの
その気持ちは痛いほどわかる
「好きにするのじゃ、死んでも悔いを残すでないぞ」
私は顔を前に向け、図書館へと向かった
「!?………時雨!いいのですか!?」
天音は私にそう言うが
「あやつらの好きにさせようぞ」
私はそう返した
天音も何か考えた後、溜息をつきながら隣に並ぶ
「天音も中々に甘いよの」
「だまらっしゃい」
グリグリと頭を撫でられる
だが
其処まで力は篭ってない
図書館に着くと禍々しいものが漂っている
天音と私はギロリと図書館を睨んだ
図書館がざわりと動く
………………………居る
「入りますよ」
「あい、分かった」
図書館の扉を開けようとしてーーーー
「な!?」
何かに捕まった
私は黒炎を纏う
すると
何かから離れる
「天音!四人を守るのじゃ!」
私の声が言霊になり、天音に届く
「貴方は如何するのです!?」
天音の声さえもまた言霊として返ってくる
「私は、此奴と対等に闘り合う」
怒りのオーラを出す
「「「「「!?」」」」」
五人は固まっていた
私は妖を見る
私が許せない
何故この妖は人を喰ろうた!!
血の匂いがする
まるで鬼の様で異なるのだ
きっと
此奴は悪鬼だ!
「天音!」
「あぁもぅ!分かりましたよ!」
私と妖が戦っている間は天音に四人を任せる
ーーーー天音
「仕方ありませんね」
くるりと俺は振り返る
四人と目を合わせた
怯えている
まさにそれが合う
「弱虫が」
俺は溜息を吐いた
そして
俺も力を使う
「鈴よ鳴れ、蝶よ舞え!結界箱!」
名前の通り
大きな結界の箱に四人を入れる
俺にしか解けない
まぁ、時雨なら解いてしまうが
「暫くは其処にいてください、弱虫さん」
ーーーー天音完
「くっ、ならほどの」
あらかた戦って分かったこと
一つ
光に弱いこと
二つ
女にしか興味がないことじゃ
「ならば、黒炎槍炎舞」
六本の黒炎の纏った槍を浮かす
それを妖は怯む
その隙を見て突き刺した
炎の燃える音と妖の悲鳴で昼間だと言うのに煩い
「さて、お疲れ様?かの」
「なーにがお疲れ様?ですか!」
私が天音の所へ行くと頬をつねられる
「いひゃいいひゃいほひゃ!」訳 痛い痛いのじゃ!
「痛くしてますからね!」
天音が結界を解く
四人はポカンとしていた
「お主らは視えていたのかの?」
「あぁ」
四人のうちの一人が答える
天音は目を見開いていた
どうして気がつかなかったのだろうか、其処は気にしないどこう
「天音よ」
「はぁ、分かってますよ」
天音は力を使って四人分の袋を作る
四人に行き渡ったのを見て、私は安心した
「それは魔除じゃ」
「俺特製のですからあげない様に」
「「「「はい」」」」
そう言えば
「お主らの名を聞いとらんかった、名を何と言うのじゃ?」
赤髪は上原陽介
ツートンカラーは伊藤陣
茶髪は飯島凪
紫髪は水戸部裕也と名乗った
「私は上社時雨じゃ」
「………天音空です」
私達はお互いの名前を知ったところでその場を去った
家に帰るとずっと天音に抱き込められている
「天音よ」
私は天音の頭を撫でた
「何ですか」
天音が顔を上げる
「離してはくれんか?」
「お断りです」
ずっとこの調子だ
私は困った様に笑いつつも天音の疲れを癒す
「よしよし?じゃな」
「子供ですか………あぁ、今は子供でしたね」
その言葉に笑いながらも
入学初日を終えたのだった
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