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第三章 クローバーの国
セバルトの絵本
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僕は彼女を愛している。
だからこそ壊したいし、傷つけたい。
彼女が少しでも幸せそうな顔をしていれば、
それを奪って絶望させたい。
ああ、僕はあなたの、幸せな記憶が欲しいだけなのだ。
愛してるよ、ラミリ。
「これがセバルトの本か」
城の奥の部屋にて、セバルトの絵本はあった。
けれど今までとは違い、どこか違和感がある。
「おかしいですね……住人の反応がありません」
絵本の世界にいるはずの住人の反応がないことだ。
だとしたら、その本人はどこに消えたと言うのか……
「考えても仕方ねえ、さっさと行くぞ」
「待てズワルト、この絵本、
俺とアリスしか入れないみたいだ」
「住人指定は久しぶりだね
他は特に指定は無かったじゃないか」
「大丈夫か? レイス
この絵本、罠の可能性の方が高いぞ」
「だとしても行くしかねえだろ
おいぷち三月、念のため管理人を呼んでおいてくれ」
「分かったのです」
「さあ、行きましょう」
「ええ、そうね」
記憶の管理人セバルト。
彼の愛は行方を知らず。
今度は何もない空間にセバルトが一人、
だが、それは今までの管理人の空間とは違っていた。
「やあ、待ってたよ君達」
「お前、何でいるんだよ」
「本体はここにはいないからね
僕は……そうだね。分身のようなものだ」
「てことは、ぷち三月と同じようなものか
不思議の国の住人としては認識されず、
その空間に相応しい生物に見えるってことだな」
「ラミリはいないのか……
彼女が来なかったのは残念だなぁ」
「ラミリ? 何でそこでラミリが出てくるんだよ」
「決まってるじゃないか!
僕は彼女を愛している! 彼女は僕の全てなんだよ!」
「あっそう、お前のことは心底どうでもいいが、
何で俺らをわざわざ指定したんだよ」
レイスが言うように、ラミリを呼ぶのが目的ならば、
ラミリを指定すれば済む話なのだ。
それをわざわざレイスとアリスを指定して、
セバルトは一体何を企んでいるのだろうか。
レイスの問いかけに対し、
セバルトは不気味な笑顔を絶やさなかった。
「それなら教えてあげよう、全ては…この為だ」
その瞬間、アリスが身に付けていた
魔石のペンダントがパリンと砕け散る。
直後、足元から魔方陣が現れ、アリスは絵本の中に収まった。
「お嬢様!」
「レイス、君の存在は僕の邪魔になる
君も、絵本の中で眠っていてくれ」
魔法が効かないはずのレイスは、
セバルトの罠にはまり、
絵本の世界に閉じ込められたのだった。
「おやすみ、レイディアス・ジステリア」
セバルトの分身はアリスの絵本を手に取ると、
そのままどこかへと消えていった。
だからこそ壊したいし、傷つけたい。
彼女が少しでも幸せそうな顔をしていれば、
それを奪って絶望させたい。
ああ、僕はあなたの、幸せな記憶が欲しいだけなのだ。
愛してるよ、ラミリ。
「これがセバルトの本か」
城の奥の部屋にて、セバルトの絵本はあった。
けれど今までとは違い、どこか違和感がある。
「おかしいですね……住人の反応がありません」
絵本の世界にいるはずの住人の反応がないことだ。
だとしたら、その本人はどこに消えたと言うのか……
「考えても仕方ねえ、さっさと行くぞ」
「待てズワルト、この絵本、
俺とアリスしか入れないみたいだ」
「住人指定は久しぶりだね
他は特に指定は無かったじゃないか」
「大丈夫か? レイス
この絵本、罠の可能性の方が高いぞ」
「だとしても行くしかねえだろ
おいぷち三月、念のため管理人を呼んでおいてくれ」
「分かったのです」
「さあ、行きましょう」
「ええ、そうね」
記憶の管理人セバルト。
彼の愛は行方を知らず。
今度は何もない空間にセバルトが一人、
だが、それは今までの管理人の空間とは違っていた。
「やあ、待ってたよ君達」
「お前、何でいるんだよ」
「本体はここにはいないからね
僕は……そうだね。分身のようなものだ」
「てことは、ぷち三月と同じようなものか
不思議の国の住人としては認識されず、
その空間に相応しい生物に見えるってことだな」
「ラミリはいないのか……
彼女が来なかったのは残念だなぁ」
「ラミリ? 何でそこでラミリが出てくるんだよ」
「決まってるじゃないか!
僕は彼女を愛している! 彼女は僕の全てなんだよ!」
「あっそう、お前のことは心底どうでもいいが、
何で俺らをわざわざ指定したんだよ」
レイスが言うように、ラミリを呼ぶのが目的ならば、
ラミリを指定すれば済む話なのだ。
それをわざわざレイスとアリスを指定して、
セバルトは一体何を企んでいるのだろうか。
レイスの問いかけに対し、
セバルトは不気味な笑顔を絶やさなかった。
「それなら教えてあげよう、全ては…この為だ」
その瞬間、アリスが身に付けていた
魔石のペンダントがパリンと砕け散る。
直後、足元から魔方陣が現れ、アリスは絵本の中に収まった。
「お嬢様!」
「レイス、君の存在は僕の邪魔になる
君も、絵本の中で眠っていてくれ」
魔法が効かないはずのレイスは、
セバルトの罠にはまり、
絵本の世界に閉じ込められたのだった。
「おやすみ、レイディアス・ジステリア」
セバルトの分身はアリスの絵本を手に取ると、
そのままどこかへと消えていった。
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