3 / 5
第二章 魔女集会
しおりを挟む
先生の部屋に向かうと、
先生が誰かと言い争っている声が聞こえる。
僕は心配になって扉を開けた。
ドーデン「先生、どうし…」
紙人形「残るったら残るもん!」
その瞬間、僕の言葉を遮る程の大声で、紙人形が叫んだ。
先生「だからさっきから帰れと言ってるだろうが!
お前に残られてもこっちは困るんだよ!」
そして先生も紙人形に負けないくらいの怒鳴り声で
紙人形を部屋から追い出そうとしている。
なかなか紙人形が出ていかないので、
表情には怒りの感情が出ていた。
この時点で相当イライラしているのは間違いないだろう。
紙人形「帰らない!ずっとここにいる!」
紙人形はあくまで帰るつもりはないようだ。
まるで自分の家かのように先生の部屋でくつろぎ、
先生のベッドでゴロゴロしていた。
それを先生が許すはずはなく、
紙人形を自分のベッドから離そうとしていた。
先生「居座るな!私に手伝いなんかいらない。
人間は大人しくあるべき場所に帰れ!」
紙人形を無理矢理追い出そうとする先生と、
ベッドの布団を掴んで必死に抵抗する紙人形。
・・・僕は一体何を見せられてるんだろう…
紙人形「嫌だ!私ここにいるもん!
先生の意地悪!」
先生「このクソガキ…
私がいつお前の先生になった」
ドーデン「先生、一体どうしたんですか?」
先生「ああ、ドーデンか。
今少し困ったことになっていてね」
ドーデン「困ったことって、今の状況のことですか?」
先生「ああ、そうだ。
この人間は完治した途端、
私の手伝いをすると言って聞かなくてね」
ドーデン「良いことじゃないですか」
先生「全然良くない」
ドーデン「何故?」
先生「私はね、人間が嫌いなんだよ。
なるべく人間とは関わりたくない」
ドーデン「いつから、人が嫌いになったんですか?」
先生「人間とは、一度も上手くいった試しがないんだ。
偏見と残酷さを持つ生き物。そして…」
私の同胞を当たり前のように殺すんだ。
ドーデン「そして?」
先生「・・・いや、やっぱりやめよう。
この話は私が半永久的に封印するよ」
その言葉を聞いたドーデンは、
不思議そうな顔で私を見つめていた。
先生「いずれ分かるさ。今は言わなくても良い」
ドーデン「・・・そうですか…
先生が話したくないなら良いですけど」
先生「・・・ああ、今はまだ話せないんだ。
どうせ話すならしかるべき時に話したい」
私の正体を明かすには、君はまだ何も知らなすぎる。
もし自分の正体を知ったら、君はどう思うのだろうね。
◇◇◇
あれから数日が経ったが、
あの紙人形は変わらず先生の部屋に居座り続けた。
先生いわく、何度追い出しても
気づけばまた戻ってくるそうだ。
先生「おい、勝手に触るな!
私の私物の中には人間が触ると
命に関わる物が沢山あるんだぞ!」
紙人形「ねえ先生、それ何作ってるの?」
先生「もうすぐ戦争が始まる。
私が今作っているのは、
その戦争に使われる兵器だ」
紙人形「先生は、そんなもの作って楽しいの?」
先生「楽しくなんてないさ。
人間に良いように使われてるようで気分が悪いよ」
紙人形「じゃあ何で作ってるの?」
先生「それは…」
すると先生は僕を見て、悲しそうに笑う。
先生「人の命を奪いたくない心優しいあの子を、
人殺しの兵器にしたくないからさ」
ドーデン「先生?」
何故、僕を見て言うんです?
まるで、僕がその兵器だと言っているような…
ドーデン「僕は、人間なんですよね?」
先生は、ただ笑うだけで答えてはくれなかった。
◇◇◇
人というのは実に身勝手だ。
必要以上に群れを作り、
周りと違う者は大勢で攻撃することで追い出そうとする。
人は己と違う者を嫌うのだ。
故に悪口・悪意・暴力が生まれる。
人は誰しも鋭利なナイフを持っている。
そのナイフは振り上げただけでその者を傷つけ、
場合によっては殺す。
僕にはそれが理解できない。
ナイフは皆持っているが、全員が使うわけではない。
一見大人しそうに見えても、
中身はとても危険な者だっている。
彼(もしくは彼女)は、いくら攻撃しても
キリがないからナイフを使わないだけなのだから。
だって、一度ナイフを使ってしまったら、
全員殺らなきゃいけないだろう?
「その時改めて思ったんだ。
やっぱり人間は愚かで醜いんだって」
先生「・・・で?
まさか私にその話をする為だけに
魔女集会に呼ばれたんじゃないだろうな?」
「ああ失礼、君にはもう分かりきってることかな?
悪かったねヴェル」
ヴェル「くだらん話は飽きた。
もっと面白い話はないのかヒェスタルテ」
タルテ「えー、これ僕のとっておきだったのに…
この話ですらつまらないなんて、
ヴェルって変わってるよね」
ヴェル「お前の話が長いだけだよクソタルト」
タルテ「タルトじゃなくてタルテだもん!
ていうかそのいじりやめてよ!
何かあだ名的に甘ったるいじゃん!」
今私の目の前にいるのは、
この魔女集会に参加している時点で大体察しただろうが、
勿論私も彼も魔女の一人だ。
彼の名はヒェスタルテ。
魔女の中では珍しく市街地に住む魔女だ。
その影響なのか、やたらと長くてどうでもいい話をしてくる。
明るく陽気でお喋り好きな為、
他の魔女達は彼のテンションについていけず、
今の所私だけが唯一の話し相手のようだ。
呼び方は何でも良いと言っていたので、
私はタルトと呼んでいる。
当の本人はあまり気に入ってないようだが…
ヴェル「お前が無駄に菓子のような名前をしてるからだ。
恨むなら名付け親を恨むんだな」
タルテ「くっ!名付け親僕じゃん!
自分にぴったりだって思ってたのに、
まさかタルトいじりされるなんて…」
ヴェル「確かお前の名前の意味は、
姿・形という意味だったよな?」
タルテ「うん、そうだよ」
そう言いながらタルテは自分の腕を変化させ、
黒い触手のような物体に変えた。
タルテ「僕は変幻自在の魔女。
僕に決まった形なんてないし、
どんな姿にだってなれる。
勿論形を変えることもね」
ヴェル「ああ、だがお前の触手はざらざらしてて、
触り心地はあまり良くないがな」
タルテ「気にする所そこ?」
ヴェル「何だ、何か不満か?」
タルテ「・・・そういえば、
ヴェルの名前の由来は、
確か毒からだったよね?」
ヴェル「分かりやすく話題を逸らしたな」
タルテ「良いから答えて」
ヴェル「・・・ああ、確かに私は
毒を作り出せる魔女だ」
私には、対象者が毒だと認識するモノを
作り出すことが出来る能力を持つ。
それは普通の毒だったり、
精神的なものだったり、
無慈悲に命を奪う兵器だったりと様々だ。
そう、私の毒は確実に命を蝕む。
だから人間とは仲良くやれた試しがない。
今だって、私は戦争に使う兵器を
作る為の道具に過ぎないのだ。
そして、もっと沢山の命が散っていくのだろう。
タルテ「おい、どうしたヴェル
そんな怖い顔して何か考え事か?」
ヴェル「うるさい洋梨タルト。
少しくだらんことを考えていただけだ」
タルテ「フルーツまでトッピングされた!?」
そう、くだらんことだ。
私には関係ないことじゃないか。
たかが人間、善意しか無い者などいない。
彼らが私の領域入ってこない限りは、
人間の事情など私の管轄外だ。
タルテ「僕タルトじゃないし!
さっきからタルテだって言ってるじゃん!
ねえ!聞いてる!?」
外野のタルトがうるさいがガン無視しよう。
タルテ「つーか何で他の魔女達
ヴェル以外は僕を避けるの!?
もっとお話しよーよ!」
それはお前の話がいちいち長すぎるからだろ。
後、何か知らんがウザい。
タルテ「魔女集会も呼ばれなかったから勝手に来たのにさ。
皆僕に話しかけてくれないんだもん!」
お前勝手に参加してたのかよ。
流石に私の所にも招待状きたぞ。
タルテ「ねえヴェーーール!
暇暇暇~~~!話し相手になってよお」
うるせえ。
あと、体揺するな酔うだろ。
あーー!うぜえうぜえ。
これだからクソタルトは面倒なんだ。
本当にタルトになんねえかな?
タルテ「ねえ、ヴェル。
もしかして、僕が本当にタルトになんないかな?
とか思ってないよね?」
ヴェル「エスパーなの?
良い機会だしうるさい魔女から
本当のタルトに転生しねえか?」
タルテ「絶対にやだ」
ヴェル「チッやっぱ断るか」
タルテ「何か舌打ち聞こえたんだけど?」
ヴェル「聞き間違いだろ。
それともタルテは今ここで
聞き間違いじゃないと証明出来るのか?」
タルテ「また始まったよ。
ヴェルの面倒な性格が」
タルテはまた悪い癖が出てきたヴェルを見ながら、
やれやれと言いたげな顔をしていた。
ヴェル「元からこの性格なのでな」
タルテ「ねえ聞いてよ皆!
ヴェルが僕に意地悪してくるんだよ!」
私とタルテの周りにいた魔女達は、
急に話を振られて巻き込まれたくなかったのか、
次々とどこかに消えてしまった。
ヴェル「おいタルト、
話に関係ない他の魔女まで巻き込むな」
ヴェルはそんなタルテを冷たい目で一瞥しながら、
予め魔女集会で用意されていた紅茶を飲んでいた。
タルテ「ヴェルが僕の話を聞いてくれないからじゃん」
ヴェル「今まで充分過ぎるくらい、
お前のクソ長い話を聞いてやっただろ」
それを聞いたタルトがまた騒ぎ始めたが、
どうせ大した内容じゃないだろう。
タルテ「じゃあさ、一つだけ聞いて良い?」
ヴェル「何だ」
ヴェルはお茶請けのお菓子を食べながらタルテを見つめた。
タルテ「今、何回目?」
その言葉でヴェルの手が止まった。
しかしタルテはそれを気にせず話を続ける。
タルテ「今、何回繰り返してるの?」
ヴェル「・・・何回目だと思うんだ?」
ヴェルは答えようとはしない。
黙ったままこちらを睨み付けている。
しかし、タルテには大体の予想がついたようだ。
タルテ「・・・そう、まだか」
ヴェル「・・・悪かったな…」
小さくヴェルがそう呟いた。
タルテ「悪くなんてないさ。
この問題は彼自身しか解決出来ないからね。
で?今度は上手くいきそう?」
ヴェル「・・・せっかく忠告したのに、
また人間が関わってきた。今回も無理だろう」
タルテ「そっか、また繰り返すんだね」
ヴェル「何度も言うが、
この事実を知っているのは私とお前だけだ。
くれぐれも他の者に漏らすなよ」
タルテ「分かっているよ。
流石に僕もそこまで薄情じゃないからね」
ヴェル「今度こそ、私が彼を止めなければ…」
タルテ「さて、今ドーデンくんはどうしてるだろう。
犠牲者が出なければ良いけど」
先生が誰かと言い争っている声が聞こえる。
僕は心配になって扉を開けた。
ドーデン「先生、どうし…」
紙人形「残るったら残るもん!」
その瞬間、僕の言葉を遮る程の大声で、紙人形が叫んだ。
先生「だからさっきから帰れと言ってるだろうが!
お前に残られてもこっちは困るんだよ!」
そして先生も紙人形に負けないくらいの怒鳴り声で
紙人形を部屋から追い出そうとしている。
なかなか紙人形が出ていかないので、
表情には怒りの感情が出ていた。
この時点で相当イライラしているのは間違いないだろう。
紙人形「帰らない!ずっとここにいる!」
紙人形はあくまで帰るつもりはないようだ。
まるで自分の家かのように先生の部屋でくつろぎ、
先生のベッドでゴロゴロしていた。
それを先生が許すはずはなく、
紙人形を自分のベッドから離そうとしていた。
先生「居座るな!私に手伝いなんかいらない。
人間は大人しくあるべき場所に帰れ!」
紙人形を無理矢理追い出そうとする先生と、
ベッドの布団を掴んで必死に抵抗する紙人形。
・・・僕は一体何を見せられてるんだろう…
紙人形「嫌だ!私ここにいるもん!
先生の意地悪!」
先生「このクソガキ…
私がいつお前の先生になった」
ドーデン「先生、一体どうしたんですか?」
先生「ああ、ドーデンか。
今少し困ったことになっていてね」
ドーデン「困ったことって、今の状況のことですか?」
先生「ああ、そうだ。
この人間は完治した途端、
私の手伝いをすると言って聞かなくてね」
ドーデン「良いことじゃないですか」
先生「全然良くない」
ドーデン「何故?」
先生「私はね、人間が嫌いなんだよ。
なるべく人間とは関わりたくない」
ドーデン「いつから、人が嫌いになったんですか?」
先生「人間とは、一度も上手くいった試しがないんだ。
偏見と残酷さを持つ生き物。そして…」
私の同胞を当たり前のように殺すんだ。
ドーデン「そして?」
先生「・・・いや、やっぱりやめよう。
この話は私が半永久的に封印するよ」
その言葉を聞いたドーデンは、
不思議そうな顔で私を見つめていた。
先生「いずれ分かるさ。今は言わなくても良い」
ドーデン「・・・そうですか…
先生が話したくないなら良いですけど」
先生「・・・ああ、今はまだ話せないんだ。
どうせ話すならしかるべき時に話したい」
私の正体を明かすには、君はまだ何も知らなすぎる。
もし自分の正体を知ったら、君はどう思うのだろうね。
◇◇◇
あれから数日が経ったが、
あの紙人形は変わらず先生の部屋に居座り続けた。
先生いわく、何度追い出しても
気づけばまた戻ってくるそうだ。
先生「おい、勝手に触るな!
私の私物の中には人間が触ると
命に関わる物が沢山あるんだぞ!」
紙人形「ねえ先生、それ何作ってるの?」
先生「もうすぐ戦争が始まる。
私が今作っているのは、
その戦争に使われる兵器だ」
紙人形「先生は、そんなもの作って楽しいの?」
先生「楽しくなんてないさ。
人間に良いように使われてるようで気分が悪いよ」
紙人形「じゃあ何で作ってるの?」
先生「それは…」
すると先生は僕を見て、悲しそうに笑う。
先生「人の命を奪いたくない心優しいあの子を、
人殺しの兵器にしたくないからさ」
ドーデン「先生?」
何故、僕を見て言うんです?
まるで、僕がその兵器だと言っているような…
ドーデン「僕は、人間なんですよね?」
先生は、ただ笑うだけで答えてはくれなかった。
◇◇◇
人というのは実に身勝手だ。
必要以上に群れを作り、
周りと違う者は大勢で攻撃することで追い出そうとする。
人は己と違う者を嫌うのだ。
故に悪口・悪意・暴力が生まれる。
人は誰しも鋭利なナイフを持っている。
そのナイフは振り上げただけでその者を傷つけ、
場合によっては殺す。
僕にはそれが理解できない。
ナイフは皆持っているが、全員が使うわけではない。
一見大人しそうに見えても、
中身はとても危険な者だっている。
彼(もしくは彼女)は、いくら攻撃しても
キリがないからナイフを使わないだけなのだから。
だって、一度ナイフを使ってしまったら、
全員殺らなきゃいけないだろう?
「その時改めて思ったんだ。
やっぱり人間は愚かで醜いんだって」
先生「・・・で?
まさか私にその話をする為だけに
魔女集会に呼ばれたんじゃないだろうな?」
「ああ失礼、君にはもう分かりきってることかな?
悪かったねヴェル」
ヴェル「くだらん話は飽きた。
もっと面白い話はないのかヒェスタルテ」
タルテ「えー、これ僕のとっておきだったのに…
この話ですらつまらないなんて、
ヴェルって変わってるよね」
ヴェル「お前の話が長いだけだよクソタルト」
タルテ「タルトじゃなくてタルテだもん!
ていうかそのいじりやめてよ!
何かあだ名的に甘ったるいじゃん!」
今私の目の前にいるのは、
この魔女集会に参加している時点で大体察しただろうが、
勿論私も彼も魔女の一人だ。
彼の名はヒェスタルテ。
魔女の中では珍しく市街地に住む魔女だ。
その影響なのか、やたらと長くてどうでもいい話をしてくる。
明るく陽気でお喋り好きな為、
他の魔女達は彼のテンションについていけず、
今の所私だけが唯一の話し相手のようだ。
呼び方は何でも良いと言っていたので、
私はタルトと呼んでいる。
当の本人はあまり気に入ってないようだが…
ヴェル「お前が無駄に菓子のような名前をしてるからだ。
恨むなら名付け親を恨むんだな」
タルテ「くっ!名付け親僕じゃん!
自分にぴったりだって思ってたのに、
まさかタルトいじりされるなんて…」
ヴェル「確かお前の名前の意味は、
姿・形という意味だったよな?」
タルテ「うん、そうだよ」
そう言いながらタルテは自分の腕を変化させ、
黒い触手のような物体に変えた。
タルテ「僕は変幻自在の魔女。
僕に決まった形なんてないし、
どんな姿にだってなれる。
勿論形を変えることもね」
ヴェル「ああ、だがお前の触手はざらざらしてて、
触り心地はあまり良くないがな」
タルテ「気にする所そこ?」
ヴェル「何だ、何か不満か?」
タルテ「・・・そういえば、
ヴェルの名前の由来は、
確か毒からだったよね?」
ヴェル「分かりやすく話題を逸らしたな」
タルテ「良いから答えて」
ヴェル「・・・ああ、確かに私は
毒を作り出せる魔女だ」
私には、対象者が毒だと認識するモノを
作り出すことが出来る能力を持つ。
それは普通の毒だったり、
精神的なものだったり、
無慈悲に命を奪う兵器だったりと様々だ。
そう、私の毒は確実に命を蝕む。
だから人間とは仲良くやれた試しがない。
今だって、私は戦争に使う兵器を
作る為の道具に過ぎないのだ。
そして、もっと沢山の命が散っていくのだろう。
タルテ「おい、どうしたヴェル
そんな怖い顔して何か考え事か?」
ヴェル「うるさい洋梨タルト。
少しくだらんことを考えていただけだ」
タルテ「フルーツまでトッピングされた!?」
そう、くだらんことだ。
私には関係ないことじゃないか。
たかが人間、善意しか無い者などいない。
彼らが私の領域入ってこない限りは、
人間の事情など私の管轄外だ。
タルテ「僕タルトじゃないし!
さっきからタルテだって言ってるじゃん!
ねえ!聞いてる!?」
外野のタルトがうるさいがガン無視しよう。
タルテ「つーか何で他の魔女達
ヴェル以外は僕を避けるの!?
もっとお話しよーよ!」
それはお前の話がいちいち長すぎるからだろ。
後、何か知らんがウザい。
タルテ「魔女集会も呼ばれなかったから勝手に来たのにさ。
皆僕に話しかけてくれないんだもん!」
お前勝手に参加してたのかよ。
流石に私の所にも招待状きたぞ。
タルテ「ねえヴェーーール!
暇暇暇~~~!話し相手になってよお」
うるせえ。
あと、体揺するな酔うだろ。
あーー!うぜえうぜえ。
これだからクソタルトは面倒なんだ。
本当にタルトになんねえかな?
タルテ「ねえ、ヴェル。
もしかして、僕が本当にタルトになんないかな?
とか思ってないよね?」
ヴェル「エスパーなの?
良い機会だしうるさい魔女から
本当のタルトに転生しねえか?」
タルテ「絶対にやだ」
ヴェル「チッやっぱ断るか」
タルテ「何か舌打ち聞こえたんだけど?」
ヴェル「聞き間違いだろ。
それともタルテは今ここで
聞き間違いじゃないと証明出来るのか?」
タルテ「また始まったよ。
ヴェルの面倒な性格が」
タルテはまた悪い癖が出てきたヴェルを見ながら、
やれやれと言いたげな顔をしていた。
ヴェル「元からこの性格なのでな」
タルテ「ねえ聞いてよ皆!
ヴェルが僕に意地悪してくるんだよ!」
私とタルテの周りにいた魔女達は、
急に話を振られて巻き込まれたくなかったのか、
次々とどこかに消えてしまった。
ヴェル「おいタルト、
話に関係ない他の魔女まで巻き込むな」
ヴェルはそんなタルテを冷たい目で一瞥しながら、
予め魔女集会で用意されていた紅茶を飲んでいた。
タルテ「ヴェルが僕の話を聞いてくれないからじゃん」
ヴェル「今まで充分過ぎるくらい、
お前のクソ長い話を聞いてやっただろ」
それを聞いたタルトがまた騒ぎ始めたが、
どうせ大した内容じゃないだろう。
タルテ「じゃあさ、一つだけ聞いて良い?」
ヴェル「何だ」
ヴェルはお茶請けのお菓子を食べながらタルテを見つめた。
タルテ「今、何回目?」
その言葉でヴェルの手が止まった。
しかしタルテはそれを気にせず話を続ける。
タルテ「今、何回繰り返してるの?」
ヴェル「・・・何回目だと思うんだ?」
ヴェルは答えようとはしない。
黙ったままこちらを睨み付けている。
しかし、タルテには大体の予想がついたようだ。
タルテ「・・・そう、まだか」
ヴェル「・・・悪かったな…」
小さくヴェルがそう呟いた。
タルテ「悪くなんてないさ。
この問題は彼自身しか解決出来ないからね。
で?今度は上手くいきそう?」
ヴェル「・・・せっかく忠告したのに、
また人間が関わってきた。今回も無理だろう」
タルテ「そっか、また繰り返すんだね」
ヴェル「何度も言うが、
この事実を知っているのは私とお前だけだ。
くれぐれも他の者に漏らすなよ」
タルテ「分かっているよ。
流石に僕もそこまで薄情じゃないからね」
ヴェル「今度こそ、私が彼を止めなければ…」
タルテ「さて、今ドーデンくんはどうしてるだろう。
犠牲者が出なければ良いけど」
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
【完結】雨上がり、後悔を抱く
私雨
ライト文芸
夏休みの最終週、海外から日本へ帰国した田仲雄己(たなか ゆうき)。彼は雨之島(あまのじま)という離島に住んでいる。
雄己を真っ先に出迎えてくれたのは彼の幼馴染、山口夏海(やまぐち なつみ)だった。彼女が確実におかしくなっていることに、誰も気づいていない。
雨之島では、とある迷信が昔から吹聴されている。それは、雨に濡れたら狂ってしまうということ。
『信じる』彼と『信じない』彼女――
果たして、誰が正しいのだろうか……?
これは、『しなかったこと』を後悔する人たちの切ない物語。
ワイルド・ソルジャー
アサシン工房
SF
時は199X年。世界各地で戦争が行われ、終戦を迎えようとしていた。
世界は荒廃し、辺りは無法者で溢れかえっていた。
主人公のマティアス・マッカーサーは、かつては裕福な家庭で育ったが、戦争に巻き込まれて両親と弟を失い、その後傭兵となって生きてきた。
旅の途中、人間離れした強さを持つ大柄な軍人ハンニバル・クルーガーにスカウトされ、マティアスは軍人として活動することになる。
ハンニバルと共に任務をこなしていくうちに、冷徹で利己主義だったマティアスは利害を超えた友情を覚えていく。
世紀末の荒廃したアメリカを舞台にしたバトルファンタジー。
他の小説サイトにも投稿しています。
無記名戦旗 - no named warbanner -
重土 浄
SF
世界全てと重なり合うようにして存在する電子空間メタアース内では、今日も仮想通貨の覇権戦争が行われている
そこで戦うのは全ての市民、インセンティブにつられて戦うギグソルジャー(臨時雇い傭兵)たちだ
オンラインARゲームが戦争の手段となったこの時代で、いまだ純粋なプロゲーマーを目指す少年、一色空是はその卓越した技能ゆえに戦火に巻き込まれていく…
オンラインと現実の境界線上で起こる新しい世界戦争。それを制するのは、ゲームの強さだけだ!
(他サイトでも連載中)
INNER NAUTS(インナーノーツ) 〜精神と異界の航海者〜
SunYoh
SF
ーー22世紀半ばーー
魂の源とされる精神世界「インナースペース」……その次元から無尽蔵のエネルギーを得ることを可能にした代償に、さまざまな災害や心身への未知の脅威が発生していた。
「インナーノーツ」は、時空を超越する船<アマテラス>を駆り、脅威の解消に「インナースペース」へ挑む。
<第一章 「誘い」>
粗筋
余剰次元活動艇<アマテラス>の最終試験となった有人起動試験は、原因不明のトラブルに見舞われ、中断を余儀なくされたが、同じ頃、「インナーノーツ」が所属する研究機関で保護していた少女「亜夢」にもまた異変が起こっていた……5年もの間、眠り続けていた彼女の深層無意識の中で何かが目覚めようとしている。
「インナースペース」のエネルギーを解放する特異な能力を秘めた亜夢の目覚めは、即ち、「インナースペース」のみならず、物質世界である「現象界(この世)」にも甚大な被害をもたらす可能性がある。
ーー亜夢が目覚める前に、この脅威を解消するーー
「インナーノーツ」は、この使命を胸に<アマテラス>を駆り、未知なる世界「インナースペース」へと旅立つ!
そこで彼らを待ち受けていたものとは……
※この物語はフィクションです。実際の国や団体などとは関係ありません。
※SFジャンルですが殆ど空想科学です。
※セルフレイティングに関して、若干抵触する可能性がある表現が含まれます。
※「小説家になろう」、「ノベルアップ+」でも連載中
※スピリチュアル系の内容を含みますが、特定の宗教団体等とは一切関係無く、布教、勧誘等を目的とした作品ではありません。
地獄の住人は科学力で神に抵抗する
僧侶A
SF
つい先日、主人公の工藤遥は死に地獄に落ちた。
その地獄は現世で想像されているものとは違い、現代社会よりも技術が発展し、住みやすい場所だった。
何故そこが地獄なのか。神の意思に反し科学技術を発展させ、生き物としてのありのままの姿を損なったから。
そんな傲慢な神を倒すために地獄の民は立ち上がった。
もうダメだ。俺の人生詰んでいる。
静馬⭐︎GTR
SF
『私小説』と、『機動兵士』的小説がゴッチャになっている小説です。百話完結だけは、約束できます。
(アメブロ「なつかしゲームブック館」にて投稿されております)
「メジャー・インフラトン」序章4/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節JUMP! JUMP! JUMP! No1)
あおっち
SF
港に立ち上がる敵AXISの巨大ロボHARMOR。
遂に、AXIS本隊が北海道に攻めて来たのだ。
その第1次上陸先が苫小牧市だった。
これは、現実なのだ!
その発見者の苫小牧市民たちは、戦渦から脱出できるのか。
それを助ける千歳シーラスワンの御舩たち。
同時進行で圧力をかけるAXISの陽動作戦。
台湾金門県の侵略に対し、真向から立ち向かうシーラス・台湾、そしてきよしの師範のゾフィアとヴィクトリアの機動艦隊。
新たに戦いに加わった衛星シーラス2ボーチャン。
目の離せない戦略・戦術ストーリーなのだ。
昨年、椎葉きよしと共に戦かった女子高生グループ「エイモス5」からも目が離せない。
そして、遂に最強の敵「エキドナ」が目を覚ましたのだ……。
SF大河小説の前章譚、第4部作。
是非ご覧ください。
※加筆や修正が予告なしにあります。
「何でも屋ジャック~宇宙海賊王の秘宝~」
愛山雄町
SF
銀河帝国歴GC1032年。
銀河系オリオン腕の外縁部近くの辺境で、“何でも屋”のジャック・トレードは仲間のジョニー、ヘネシー、シェリーとともに、輸送や護衛、調査などあらゆる仕事を受けていた。
今回の依頼はいわゆる“高跳び”。
マフィアに追われる美女と美少女を、帝国軍基地まで無事に運ぶという仕事で、彼にとってはそれほど難しい仕事ではないはずだった。
しかし、辺境のマフィアとは思えぬ執拗さに、ジャックたちは徐々に追い詰められていく。
150メートル級の偵察(スループ)艦を改造した愛艦「ドランカード(酔っ払い)号」を駆り、銀河の辺境を縦横無尽に駆け巡る。
そして、数百年前の伝説の海賊王、バルバンクール。その隠された秘宝が彼らの運命を変える。
昭和の時代の宇宙冒険活劇(スペースオペラ)を目指しています。
古き良き時代?の“スペオペ”の香りを感じてもらえたら幸いです。
本作品はクリフエッジシリーズと世界観を共有しています。
時代的にはクリフォードのいる時代、宇宙暦4500年頃、帝国歴に直すと3700年頃から2700年ほど前に当たり、人類の文明が最高潮に達した時代という設定です。
小説家になろうにも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる