ウルトラオマンマン ＶＳ 宇宙怪獣スペルマ－ !!

第一章 猿型怪獣サルモン星人！！

わたし、死んじゃったの？！

　あたしは気が付くと、真っ暗な空間にひとり立っていた。
　先ほどまで街を走っていた筈だ。街に怪獣が現れて、それで避難所指定されていた近くの公民館に向かっていた筈だった。その後のことが思い出せない。いや、怪獣なんて現実離れしたもの自体が夢で、今もあわせて夢なのだろう。
　しかし、いつまで経っても夜は明けず暗いままなのだった。
　すこし歩こう。
　手探りで歩こうとしても、手が触れるものは床だけで、辺り一帯なにもなかった。

「誰かいませんかー？」

　声を張り上げても、それが壁に反射して戻ってきたりはしなかった。
　そのうちに、光るものが見えた。そこには何かが落ちていた。

　なんだろう？人なのか？

　人型のものが倒れている。いや、人だ。わたしにはすぐにそれが死んでいるのがわかった。私でなくてもわかっただろう。お腹のあたりに穴が開いているのだ。これで生きていたらゾンビかなにかだろう。

　死体を見て、驚かない自分に驚いていた。わたしは冷たい人間なのね。どんな人だったんだろう？死体の反対に回って顔を覗き込む。

　そこにいたのは、わたし自身だった。
　それでは、今のわたしは一体なんなのだろうか。手も、足もある。ほっぺただってつねると痛い。悪い夢なんだろうか？痛いってことは遺体ではないってことなのかい？
　とりあえず鏡がみたい。そう思った。

「残念ながら、鏡はないよ」

「わたしだったもの」の上に光る球体から声がした。