雌汁  ― お股つたうは嬉し涙か はたまた尿か ―

余次元

文字の大きさ
上 下
55 / 56
閑話3

呵責

しおりを挟む
 浴室から上がって着替えようと思ったら、圭司の服は洗濯機の中に入ったままだった。
 春香が寝間着に使っているという大きめのTシャツと圭司には短いジャージを借りて、部屋を出た。
 部屋を出れば外は既に日が落ちかけている。通りの向こうの山の端から赤い光が申し訳程度に覗いていた。夏至も過ぎて二カ月も経てば随分と日が暮れるのも早くなっていることを気付かせた。秋の兆しが、圭司の不安を煽っているように感じていた。

 圭司はまた、春香と会う約束をしてしまっていた。
 春香の気が変わって、その話がなくなれば良いようにも思うけれど、彼女はきっと一度した約束を反故にはしないだろう。
 しかし、圭司は手遅れになる前に誰かに止めてもらいたい気持ちがあった。万が一、一度で終わらずに関係が続いてしまえば、いずれは結衣にばれるだろうし、結衣が大切だという気持ちは本当のことだった。
 不安、というのはこの持続不可能に思える関係がどんなふうに変化していくのかということだ。
 それでも、女性から求められるというこれまでにない状況に、圭司は抗えない魅力を感じていたし、もう一度春香を抱きたい気持ちがあるのは間違いがないことだった。
 女性から求められてしまえば、強く断ることはできないものだ。それが男性一般に言えるものなのか、自身の軟派な性格によるものなのかは圭司にはわからなかった。

(クズだなぁ)

 我ながら、と圭司は思う。
 春香からの連絡があった時には、なんとなく期待はしていたのだし、行った自分が悪いのだろう。春香の困っているところをみて、嗜虐芯に火がついたのは本当に良くなかった。それでも、先ほどの春香の泣き顔をみれば、また色々と無理を言いたい気持ちが湧いてくるのだった。

 もうすぐ家までというところでジャージのポケット内のスマートフォンが振動する。
 結衣からのお誘いだった。着替えて向かうことも考えて、やめにする。身体から春香と同じ匂いがするのではないか、そんな気がして、断りのメールを入れた。結衣からの誘いを断るのは初めてのことだった。
 そのことが、再び圭司の理性を引き戻す。

(無理しても行った方がいいんだろうか‥‥)

 家に着く頃にはすっかり辺りは暗くなっていた。結衣からは悲しい気持ちを伝えるスタンプが送られてくる。
 まだ本番はしていないからな、浮気はしていないからな、圭司はそう念じていた。
しおりを挟む
https://novel18.syosetu.com/n1700im/なろうのリンクです。基本的には同じものなんですが、なろうは前書き後書きがかけるので、雑文をこちらで書いたりしています。あとは、修正をたまにするのを両方に反映させるのが面倒くさく感じて、なろうだけが直っていたりします。すみません
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...