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第六章 土下座JD 涙の肛門性交
親友の彼氏
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親友の彼氏というのが、面白くないものだというのは聞いていた。それにしても、と春香は思う。
(こんな、つまらない気持ちになるものなのね‥‥‥)
9月上旬、大学の授業が再開する前にと思い、春香は実家から戻ってきていた。結衣の家にお土産を渡すために訪ねると、中には男が居る。結衣からは気まずそうに、付き合うことになりましたと羽原圭司を紹介された。
メールか何かでそういった近況を教えてくれたっていいではないかとも思うし、春香の気持ちがもう少し安定するまで一緒に居て欲しかったという春香の甘えもあった。
結衣の部屋に上がり込むと、微かに獣臭がする。する‥‥ような気がした。その感覚自体は錯覚だったのかもしれないが、春香はきっと二人はもう致してしまったんだろうと確信した。若い男性が女性の部屋に上がり込んでいるのだ。間違いはないだろう。
出されたお茶を啜りながら、もっと他にいい人がいたんじゃないかなんてことも考えていた。結衣が選んだのだから悪い人ではないんだろうけれど、ビジュアルも会話も十人並みだ。何よりも、羽原の隣に座る結衣の顔が、女のそれになっている、それが堪らなくつまらなかった。
(私と一緒にいる方が100億万倍楽しいと思うんだけどなぁ‥‥)
ローテーブルの向かいで、羽原が何か話をしている。確かに以前に話した時よりも、圭司は少し自分に自信を持っている印象を受けた。
(結衣を抱いたからかしら‥‥? )
羽原の話は、耳に入って来なかった。
「‥‥春香っ、春香?聞こえてる? 」
結衣からの声がして、ようやく我に返った。
「あー、ごめん、ごめん。考えごとしてた」
「ねぇ」
「うん? 」
「今日、結衣ん家泊ってもいい? 」
結衣が羽原の顔を見る。きっと羽原が泊まることになっていたのだろう。二人が無言のやり取りを重ねて、了解の返事を出した。
ことあるごとに、二人の関係性を意識させられる。お邪魔虫は自分なのだと自覚させられた。
結衣の部屋で夕飯をもらって、圭司が帰る。春香は「ごめんね」と言って、二人で彼を見送った。
(本当は帰った方がいいのは私なんだよね‥‥)
「‥ごめんね‥‥」
「なに言ってんのよ」
羽原が帰ると、結衣はまた春香と二人の時の振舞いを思い出すように、少し凛々しくなったような気がした。その微細な変化も、春香が結衣にそうさせているのだと思うと、胸の奥が苦しくなった。
久しぶりに結衣と二人で眠る。結衣は押入からタオルケットを出してはくれたけれど、ベッドからは結衣のものではない男の匂いがした。
「ねぇ」
「うん」
「羽原君とエッチしたでしょ」
「あー、お布団くさいよね‥‥」
電気を消していても、結衣が苦笑いしているのがわかった。
「顔みた時からわかったよ‥‥」
「きもち、よかった‥? 」
「‥うん、よかったよ」
「‥‥すっごい?」
「すっごい」
「何回したの?」
「えー、数えてない」
「‥‥わたしも彼氏つくった方がいいのかなー」
「‥‥そうかもしれないね。きっと春香にも彼氏が出来たら、前のこともう少し‥‥んー、やわらぐんじゃないかな」
結衣は少し言葉を選んで言う。春香には、少し余裕が感じられた。それが彼女の心をザラつかせる。
「わたし、まだ男の人って怖いわ」
「‥‥うん。‥時間、かけて慣れていこうよ」
「あのさ」
「うん」
「お願いなんだけど、いーい? 」
「なによー。なんでも言ってごらん」
「羽原君をさ、ちょっとだけ貸してよ。わたしのリハビリだと思ってさ」
「きっと獲ったりしないからぁー」
自分ばかりが辛い目をみているという気分が、意地悪な甘えになって口に出た。
結衣は、きっと断れない、自分への罪悪感があるのであれば。春香にはわかっていた。
「‥‥圭司に‥聞いてみる」
結衣の声の微かな震えを聞いて、春香は「ありがとっ!」と口角を上げた。明日からが楽しみになってきて、春香の眼が冴えわたる。結衣に羽原との話を夜通し質問する。
しばらくずっと暗い気持ちでいたものが、少しずつ上向いていくような予感が湧いてきていた。
(こんな、つまらない気持ちになるものなのね‥‥‥)
9月上旬、大学の授業が再開する前にと思い、春香は実家から戻ってきていた。結衣の家にお土産を渡すために訪ねると、中には男が居る。結衣からは気まずそうに、付き合うことになりましたと羽原圭司を紹介された。
メールか何かでそういった近況を教えてくれたっていいではないかとも思うし、春香の気持ちがもう少し安定するまで一緒に居て欲しかったという春香の甘えもあった。
結衣の部屋に上がり込むと、微かに獣臭がする。する‥‥ような気がした。その感覚自体は錯覚だったのかもしれないが、春香はきっと二人はもう致してしまったんだろうと確信した。若い男性が女性の部屋に上がり込んでいるのだ。間違いはないだろう。
出されたお茶を啜りながら、もっと他にいい人がいたんじゃないかなんてことも考えていた。結衣が選んだのだから悪い人ではないんだろうけれど、ビジュアルも会話も十人並みだ。何よりも、羽原の隣に座る結衣の顔が、女のそれになっている、それが堪らなくつまらなかった。
(私と一緒にいる方が100億万倍楽しいと思うんだけどなぁ‥‥)
ローテーブルの向かいで、羽原が何か話をしている。確かに以前に話した時よりも、圭司は少し自分に自信を持っている印象を受けた。
(結衣を抱いたからかしら‥‥? )
羽原の話は、耳に入って来なかった。
「‥‥春香っ、春香?聞こえてる? 」
結衣からの声がして、ようやく我に返った。
「あー、ごめん、ごめん。考えごとしてた」
「ねぇ」
「うん? 」
「今日、結衣ん家泊ってもいい? 」
結衣が羽原の顔を見る。きっと羽原が泊まることになっていたのだろう。二人が無言のやり取りを重ねて、了解の返事を出した。
ことあるごとに、二人の関係性を意識させられる。お邪魔虫は自分なのだと自覚させられた。
結衣の部屋で夕飯をもらって、圭司が帰る。春香は「ごめんね」と言って、二人で彼を見送った。
(本当は帰った方がいいのは私なんだよね‥‥)
「‥ごめんね‥‥」
「なに言ってんのよ」
羽原が帰ると、結衣はまた春香と二人の時の振舞いを思い出すように、少し凛々しくなったような気がした。その微細な変化も、春香が結衣にそうさせているのだと思うと、胸の奥が苦しくなった。
久しぶりに結衣と二人で眠る。結衣は押入からタオルケットを出してはくれたけれど、ベッドからは結衣のものではない男の匂いがした。
「ねぇ」
「うん」
「羽原君とエッチしたでしょ」
「あー、お布団くさいよね‥‥」
電気を消していても、結衣が苦笑いしているのがわかった。
「顔みた時からわかったよ‥‥」
「きもち、よかった‥? 」
「‥うん、よかったよ」
「‥‥すっごい?」
「すっごい」
「何回したの?」
「えー、数えてない」
「‥‥わたしも彼氏つくった方がいいのかなー」
「‥‥そうかもしれないね。きっと春香にも彼氏が出来たら、前のこともう少し‥‥んー、やわらぐんじゃないかな」
結衣は少し言葉を選んで言う。春香には、少し余裕が感じられた。それが彼女の心をザラつかせる。
「わたし、まだ男の人って怖いわ」
「‥‥うん。‥時間、かけて慣れていこうよ」
「あのさ」
「うん」
「お願いなんだけど、いーい? 」
「なによー。なんでも言ってごらん」
「羽原君をさ、ちょっとだけ貸してよ。わたしのリハビリだと思ってさ」
「きっと獲ったりしないからぁー」
自分ばかりが辛い目をみているという気分が、意地悪な甘えになって口に出た。
結衣は、きっと断れない、自分への罪悪感があるのであれば。春香にはわかっていた。
「‥‥圭司に‥聞いてみる」
結衣の声の微かな震えを聞いて、春香は「ありがとっ!」と口角を上げた。明日からが楽しみになってきて、春香の眼が冴えわたる。結衣に羽原との話を夜通し質問する。
しばらくずっと暗い気持ちでいたものが、少しずつ上向いていくような予感が湧いてきていた。
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https://novel18.syosetu.com/n1700im/なろうのリンクです。基本的には同じものなんですが、なろうは前書き後書きがかけるので、雑文をこちらで書いたりしています。あとは、修正をたまにするのを両方に反映させるのが面倒くさく感じて、なろうだけが直っていたりします。すみません
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