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第1章 止まった世界の生き方
14話 お台場道中
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波型の影に乗りゆっくりながらも確実に進んでいく二人、冬馬は常に周りを見渡しているせいか若干不安定な操作をしている。喧嘩の影響か、あるいは万夏が追ってきていないか確認しているのか、その真意は定かではなくともすずはそれに関し聞くことはなかった。
「万夏くんだいじょぶかな…?」
「気にすることないよ」
すずの呟きに対し冬馬は冷たく切り捨てるように答えた。
「そんなわけにも行かないでしょ!だいたいトーマがあんなに…」
「すずが怪我するかもしれなかったんだ。許すわけ無いでしょ」
「自意識過剰みたいに聞こえるけどトーマは私のこと考え過ぎ。カホゴだよ!」
「好きな人には無傷でいてほしいでしょ。それにすずのこと以外で考える必要のあるものなんて僕にはないよ」
恥ずかしげもなく冬馬が言うと返ってすずの顔が赤らむ。嬉しくも恥ずかしい気持ちがぶつかりすずは黙り込んでしまう。
「……にしても遅くない?」
すずは恥ずかしさをごまかすのも兼ねて今まで思いつつも言わなかったことを口にする。何しろ二人が乗っている波型の影は自転車ほどの、それもママチャリを立ち漕ぎした程度のスピードしかないのだ。
「いやぁ…これくらいのスピードじゃないと安全に行けないんだよね~」
「ちょっと危険な方が楽しいんだって」
「“ちょっと”危険ねぇ…今が一番ちょっと危険なんだよ。車ほどのスピードになると後ろに吹っ飛んでっちゃうよ」
「ひぇ~」
すずは冬馬の発言に対し棒読みのように怯えた。
「まぁ僕の能力が足りなくてって言うが大きいけどね。車みたいな形や中にそれらしい穴を開けられたら良いんだけどそこまでの精度は流石に…」
冬馬は苦笑しながら言う。今の冬馬の能力では大きな塊を作るので精一杯、電車型や車型にすることもできないため自転車以上のスピードを出すことはできないのだ。
「まーそれならしょーがないんだけどさー」
それからも他愛のない話を続け、久しぶりにゆっくり二人の時間が出来ていた。思えば、あの時が止まってから二人でゆっくり雑談をする時間などなかった。異常事態に正しく安全な対策を練ることに一杯で気付けば三人、四人と人が増えていき二人になる機会も減っていった。そんなことを思い返しながら進んでいきスローペースながら確実に目的地へと進んでいったのだった。
そうして落ち着いた時間を過ごしているうちに
「おお~!フ〇テレビ~!」
お台場に到着していたのだった。
「さすがお台場、人も多いね」
雷門と同様、観光客などが多く時間が止まっていてもその賑やかさが伝わってきた。
「見て見てトーマ!自由の女神だ!」
「そうだね~すごいねぇ」
「むぅ!トーマてきとーでしょ」
「バレたか」
適当にあしらった冬馬にすずはジトッとした目で見つめながら言う。それに対しはにかみながら答える。自然と二人は笑顔になっていた。
「近くに海もあるし行こっか」
「うん!!」
そういうと二人は徒歩で海浜公園まで行く。そこに着いたとき、対岸が見えていたこともあり冬馬の想像していた海とは違っていて少し拍子抜けた感じがしていた。
「わーい!海だ―」
すずは別として。大はしゃぎでためらうことなく海水へ足を入れるその姿に愛らしさを覚え元気をもらえた気がした。
「えいっ!」
「うわっ。やったねすず…えいっ」
「わあ!」
絵にも書いたような水の掛け合いをしながら幸せな気持ちに続きどこか幼い子を相手にしている気がして不思議な愛おしさが冬馬をいっぱいにした。
「そろそろ別の場所に行こっか。ここに居続けてもしょうがないし」
「そうだね。行こっか!」
そう言うと二人は先程までいた海浜公園をでて歩き出す。
「具体的にどこに行くとかも考えてないからやっぱり地図は必須だね。無計画なのは良くなかったなぁ」
「まー勘で歩くのも楽しいけどね!」
どこか自虐的で反省するばかりの冬馬とその時を楽しみ前向きな捉え方をするすず、二人が対立した考えで話しながら歩いてると
「おー!トーマ、ガン〇ム!!」
「大きいね~」
大きな機動兵器がずっしりと構えていていたのだった。
「乗れるのかな~?」
「まさか~。乗れたらいいけどまぁ無理だろうねぇ」
わかりやすくはしゃぐすずに微笑みながら見ている冬馬。大きな機械だからか心なしかすずは冬馬のテンションも上がっているように見えた。
「ねね、ここってショッピングモール?」
「んー多分そうだと思うけど…。ライブステージもあるみたい」
「へぇ~!トーマ、入ってみよ!」
「おっとと…すず、落ち着いて…!」
すずは冬馬の手を引き半ば強引に店内に入っていった。
「わぁ~色々あるね!」
「おしゃれですずに似合いそうな服もいっぱい」
「もーおじょうずなんだから♪」
すずは冬馬のつぶやきにわかりやすく上機嫌になる。
それからは服を見たり、アクセサリーを見たりしながら回って楽しい時間を過ごしていた。
「あ、本屋さん」
「ちょっと見てみたいな。すず…」
「もちろんいいに決まってるじゃん!行こう!」
本屋を前にして気になる冬馬はすずの同意を経て店内へと入っていった。
「私は絵本読んでるね」
「うんあんまりここから離れないでね」
「はーい!」
女児と離しているかと錯覚してしまいそうになるような会話するとすずは小さい子向けの本を手に取っていた。
冬馬は迷わず時間に関わる哲学書、文献などを探しに向かう。
んー『時は止まらない』か……止まってんだよなぁ…『時計と生きる』…これも違うな…
うまく見つからず困惑するも諦めることなく哲学書コーナーから時間に関するものを探す。
お、『時間の操り方』…これなら…!
冬馬はその本を手に取り軽く流し読みをする。パラパラとめくっていき要所要所をかいつまんで適当に読みやがて─
論文だ…。別に時間を守る方法が知りたいわけじゃないんだよな~
─目当ての本が見つかることはなかった。仕方なく諦めてすずの下へ戻ろうと歩きだす。
ん?『魔王と四人の最強兵士 ~無双の旅~』?…あぁライトノベルか…
ライトノベルコーナーから偶然目に入ったその作品に冬馬は興味本位で軽く読む。普段あまり読まないジャンルだが不思議と吸い込まれるように読んでいた。より興味深く細かい描写に想像もしやすく、冬馬の脳内で的確に構成できる。
「トーマぁ。そろそろ行こーよ―」
冬馬はすずの呼ぶ声で目が覚めるように意識を本屋に戻す。気付けば二巻、三巻と手を取っていたことに驚きつつもその本の面白さにタイトルをなぞりながら覚えようとしていた。
「今行く~」
そうすずに答えると絵本コーナーへ歩き出す。途中で車の構造について書かれていた本もあり立ち読みしながらすずを迎えに行っていた。
「ごめんごめん。面白い本見つけて読みふけってた」
「へぇ~トーマがそんなに!どんな本なの?」
「なんかね~…」
そう本の内容を話しながら二人は建物を出ていったのだった。
「万夏くんだいじょぶかな…?」
「気にすることないよ」
すずの呟きに対し冬馬は冷たく切り捨てるように答えた。
「そんなわけにも行かないでしょ!だいたいトーマがあんなに…」
「すずが怪我するかもしれなかったんだ。許すわけ無いでしょ」
「自意識過剰みたいに聞こえるけどトーマは私のこと考え過ぎ。カホゴだよ!」
「好きな人には無傷でいてほしいでしょ。それにすずのこと以外で考える必要のあるものなんて僕にはないよ」
恥ずかしげもなく冬馬が言うと返ってすずの顔が赤らむ。嬉しくも恥ずかしい気持ちがぶつかりすずは黙り込んでしまう。
「……にしても遅くない?」
すずは恥ずかしさをごまかすのも兼ねて今まで思いつつも言わなかったことを口にする。何しろ二人が乗っている波型の影は自転車ほどの、それもママチャリを立ち漕ぎした程度のスピードしかないのだ。
「いやぁ…これくらいのスピードじゃないと安全に行けないんだよね~」
「ちょっと危険な方が楽しいんだって」
「“ちょっと”危険ねぇ…今が一番ちょっと危険なんだよ。車ほどのスピードになると後ろに吹っ飛んでっちゃうよ」
「ひぇ~」
すずは冬馬の発言に対し棒読みのように怯えた。
「まぁ僕の能力が足りなくてって言うが大きいけどね。車みたいな形や中にそれらしい穴を開けられたら良いんだけどそこまでの精度は流石に…」
冬馬は苦笑しながら言う。今の冬馬の能力では大きな塊を作るので精一杯、電車型や車型にすることもできないため自転車以上のスピードを出すことはできないのだ。
「まーそれならしょーがないんだけどさー」
それからも他愛のない話を続け、久しぶりにゆっくり二人の時間が出来ていた。思えば、あの時が止まってから二人でゆっくり雑談をする時間などなかった。異常事態に正しく安全な対策を練ることに一杯で気付けば三人、四人と人が増えていき二人になる機会も減っていった。そんなことを思い返しながら進んでいきスローペースながら確実に目的地へと進んでいったのだった。
そうして落ち着いた時間を過ごしているうちに
「おお~!フ〇テレビ~!」
お台場に到着していたのだった。
「さすがお台場、人も多いね」
雷門と同様、観光客などが多く時間が止まっていてもその賑やかさが伝わってきた。
「見て見てトーマ!自由の女神だ!」
「そうだね~すごいねぇ」
「むぅ!トーマてきとーでしょ」
「バレたか」
適当にあしらった冬馬にすずはジトッとした目で見つめながら言う。それに対しはにかみながら答える。自然と二人は笑顔になっていた。
「近くに海もあるし行こっか」
「うん!!」
そういうと二人は徒歩で海浜公園まで行く。そこに着いたとき、対岸が見えていたこともあり冬馬の想像していた海とは違っていて少し拍子抜けた感じがしていた。
「わーい!海だ―」
すずは別として。大はしゃぎでためらうことなく海水へ足を入れるその姿に愛らしさを覚え元気をもらえた気がした。
「えいっ!」
「うわっ。やったねすず…えいっ」
「わあ!」
絵にも書いたような水の掛け合いをしながら幸せな気持ちに続きどこか幼い子を相手にしている気がして不思議な愛おしさが冬馬をいっぱいにした。
「そろそろ別の場所に行こっか。ここに居続けてもしょうがないし」
「そうだね。行こっか!」
そう言うと二人は先程までいた海浜公園をでて歩き出す。
「具体的にどこに行くとかも考えてないからやっぱり地図は必須だね。無計画なのは良くなかったなぁ」
「まー勘で歩くのも楽しいけどね!」
どこか自虐的で反省するばかりの冬馬とその時を楽しみ前向きな捉え方をするすず、二人が対立した考えで話しながら歩いてると
「おー!トーマ、ガン〇ム!!」
「大きいね~」
大きな機動兵器がずっしりと構えていていたのだった。
「乗れるのかな~?」
「まさか~。乗れたらいいけどまぁ無理だろうねぇ」
わかりやすくはしゃぐすずに微笑みながら見ている冬馬。大きな機械だからか心なしかすずは冬馬のテンションも上がっているように見えた。
「ねね、ここってショッピングモール?」
「んー多分そうだと思うけど…。ライブステージもあるみたい」
「へぇ~!トーマ、入ってみよ!」
「おっとと…すず、落ち着いて…!」
すずは冬馬の手を引き半ば強引に店内に入っていった。
「わぁ~色々あるね!」
「おしゃれですずに似合いそうな服もいっぱい」
「もーおじょうずなんだから♪」
すずは冬馬のつぶやきにわかりやすく上機嫌になる。
それからは服を見たり、アクセサリーを見たりしながら回って楽しい時間を過ごしていた。
「あ、本屋さん」
「ちょっと見てみたいな。すず…」
「もちろんいいに決まってるじゃん!行こう!」
本屋を前にして気になる冬馬はすずの同意を経て店内へと入っていった。
「私は絵本読んでるね」
「うんあんまりここから離れないでね」
「はーい!」
女児と離しているかと錯覚してしまいそうになるような会話するとすずは小さい子向けの本を手に取っていた。
冬馬は迷わず時間に関わる哲学書、文献などを探しに向かう。
んー『時は止まらない』か……止まってんだよなぁ…『時計と生きる』…これも違うな…
うまく見つからず困惑するも諦めることなく哲学書コーナーから時間に関するものを探す。
お、『時間の操り方』…これなら…!
冬馬はその本を手に取り軽く流し読みをする。パラパラとめくっていき要所要所をかいつまんで適当に読みやがて─
論文だ…。別に時間を守る方法が知りたいわけじゃないんだよな~
─目当ての本が見つかることはなかった。仕方なく諦めてすずの下へ戻ろうと歩きだす。
ん?『魔王と四人の最強兵士 ~無双の旅~』?…あぁライトノベルか…
ライトノベルコーナーから偶然目に入ったその作品に冬馬は興味本位で軽く読む。普段あまり読まないジャンルだが不思議と吸い込まれるように読んでいた。より興味深く細かい描写に想像もしやすく、冬馬の脳内で的確に構成できる。
「トーマぁ。そろそろ行こーよ―」
冬馬はすずの呼ぶ声で目が覚めるように意識を本屋に戻す。気付けば二巻、三巻と手を取っていたことに驚きつつもその本の面白さにタイトルをなぞりながら覚えようとしていた。
「今行く~」
そうすずに答えると絵本コーナーへ歩き出す。途中で車の構造について書かれていた本もあり立ち読みしながらすずを迎えに行っていた。
「ごめんごめん。面白い本見つけて読みふけってた」
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「なんかね~…」
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