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宇宙へやってきた
太陽の星天師現る②
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「ええと、余暉さん。こちらこそ、よろしくお願いします」
私は深々と頭を下げた。
余暉さんは私のお辞儀を見ると、慌てて「やめて」と言った。
「俺は、そんな頭を下げられるような人じゃないカラ!」
「え?けれど最高位星天師なのでは?」
余暉さんは困ったように笑った。
その顔がアポロンのそれとよく似ていて、流石部下だなぁと微かに感じた。
「そうなんだケド、俺、言葉オカシイね」
そうなのだ。
先程から余暉さんのイントネーションが気になっていた。
どこかカタコトと言うか、敬語が使えてないと言うか、とにかく流暢に喋れていない。
突っ込んだら失礼かと思って避けてはいたけどね。
「まあ、確かにそうですね」
「俺、小さい時に教育を受けていなくて今は割と勉強したのだけど、それでも読み書きするのが精一杯なんだヨ」
「ええ…それでも書類整理などをお仕事にされているんですよね?」
「そうだヨ!だから時間かかっちゃうネ!」
シンプルに謎だった。
最高位星天師って言うからもっと厳しい人かと思えばおっとりした優しそうな人だし、まして読み書きで精一杯だとは。
こんな人が最高位星天師なのか…?
私の心情が顔に透けていたのだろうか。
余暉さんは申し訳なさそうに言う。
「ごめんネ。俺みたいな人が太陽の星天師でびっくりデショ?」
「まあ、はい」
あ、しまった。
また悪い癖。正直に言い過ぎてしまう。
でも余暉さんは怒るどころかむしろヘラヘラと笑った。
「その通り。俺は特に凄い能力も何もないんダ」
凄い能力どころか、おそらく一般人の方がこの人より優れているのではないか。
今のところこの人に関して凄い、と思えるところはスタイルとご尊顔と…あと、先程も感じた貫禄だ。
ヘラヘラしてるのに、馬鹿そうなのに(失礼)、どこか人を惹きつける魅力があるのだ。
カリスマ性と言ったらいいか?
これが、この人が最高位星天師になれた所以だろうか。
「まあでも太陽の星天師に相応しい素質があるんじゃないですか?」
「えーそうカナ?」
この人は優しくておっとりしているし、人としてはとても良いのだろう。
しかし、せっかちな私とは合わないようだ。
ヘラヘラ笑って温厚でぬるくって。
この人が上の立場の人間なら敬うよ?
けれどそれ以上の関わりは持ちたくない。
なんだかそう感じた。
「はい。挨拶はこんなもんでいいですかね?アポロン」
私の無愛想な話の切り方に、アポロンは少しだけ驚いていた。
「いや、まだいけない。星天師になるにはまずやってもらいたいことがある」
「やってもらいたいこと?試験とか?」
「いや、試験なんぞお前なら余裕なのだろうからな。
ガッツを見せろ、千鶴」
ガッツて…。神様がいきなりカタカナ文字を言うと動揺する。
「で、一体私は何を…?」
アポロンは得意げに鼻を鳴らした。
な、なんですかその悪戯っ子みたいな笑顔は。
「明日行われる神々の集まりに参加しなさい」
………………………………………………………………
カツン…カツン…。
進んでいる。
事故時の服装が制服のため、私はローファーをカツカツカツカツ鳴らしながら廊下を進んでいる。
音を鳴らしながら歩くのは下品かもしれないけれど、
そんなの構っていられない。
私の意識はある一点に注がれていた。
「コッチが水場であれが食堂…って、チヅル、大丈夫?」
「えっ?」
「やっぱり、ぼーっとしてた?」
いかんいかん。余暉さんに対して失礼だったね。
「あ、いえ!すみません」
余暉さんは相変わらず怒らない。
自分が例えば上司で、部下が自分の話を聞かないなんて状況なら、私は怒るな。口に出さなくとも、気分は悪くなるだろう。
だけど余暉さんはそんな顔色なんて少しもなくて。
なんだか悲しそうな顔をしていた。
「…それ、気になるよネ」
「…ですね」
それとは。
私の腕に黄色く光っている太陽の印だ。
デザインは至って単純で、丸の中に太陽の絵が描かれている。ぶっちゃけ、絵心皆無な私でも描けそう。
神様の印がこんなんでいいのか、デザイナー誰なんだろうと思ったがお口チャック。こういうこと言っちゃうから自分は嫌われるのだ。
先程のアポロンの顔が浮かんでくる。
『いいか?千鶴。その印は非常に重要なものだ。それは私の加護の印。取れてしまうとお前は私の力を失い、瀕死の体へと戻ってしまう。お前が明日の集まりで他の神に認められればお前は晴れて星天師に。認められなければその印が消え、お前も死ぬこととなる。あ、認められたあとは他の神々からも加護をもらえるから私の印は自動的に消えるが問題はないぞ』
問題はないぞ、じゃないわよ。
…ってこんなやりとり先ほどもした気がする。
明日、何をさせられるかわからない。
この印が消えないかヒヤヒヤして、私は余暉さんの声が何も入ってこない。
明日認められなければ、どうしよう。
私は死ぬのだろう。そしたら由梨とも会えない!
それだけは避けたかった。
「今日は取り敢えず太陽王宮のお部屋貸すカラ、ゆっくり休んでネ!」
先ほどの白い空間(太陽の宮というらしい。太陽王宮の外側に備えられている空間だそう)を出て、今は太陽王宮と呼ばれる太陽の宮殿へと来ている。
太陽は熱すぎて住めないカラ、太陽の近くに宮殿を建てて住んでるんダ!と余暉さんは言っていた。
太陽などもそうだが、木星や土星などのガス星の人々は何処に住んでいるのだろうか。
足を地表につけられないから当然星そのものに住んでいるわけではなかろう。
余暉さんの説明によると、惑星神や星天師、その民は惑星近くに宮殿や家々を作って住むのが一般的なんだそうで。
水星金星火星は惑星そのものに住んでいるのだそうだが、それは例外的とのこと。
ていうか水星とかものすごく暑そうだけど人住んでいるのだな。星天師は地球人と言っていたけれど大丈夫なのだろうか。
ま、例外的っていっても管轄下の惑星の数がそもそも8つしかないのだから決してマイノリティではなさそうだが。
「わぁ!すごい!」
薄暗い煤けた煉瓦でできた廊下からして心配はしていたが、部屋は相当綺麗だった。
白を基調とした壁や大理石の床、芸術を介さない私には価値のわからないが凄そうな絵、真っ赤なカーペットや天蓋付きの金色ベッド!白いフカフカしてそうなソファが2つ真ん中に置いてあって。
テレビでよくやってる一泊300万くらいしそうなホテルをイメージしてもらえれば良いと思われる。
広さはさほどはないけれど、私1人ならば十分に広い。
「本当は、もっと大きなお部屋に案内してあげたいんだケド…まだチヅルは正式な星天師じゃなあカラって
アポロン様が…」
「いえいえ!こんな素敵なお部屋全然十分ですよ!」
全然十分などと変な日本語を使用してしまったが、それほど興奮がすごかった。
これが太陽の権威というやつか!
余暉さんはクスッと微笑んで部屋のドアを閉めた。
「何かあったら呼び鈴すれバ人来るからネ!」
「はーい!」
ひねくれた私がここまで上機嫌になるのは久しぶりだ。
様々ことがあったのに豪華な部屋1つでこんなにリフレッシュできる自分がなんだか、単純な人間のように思える。
「さてト…」
ソファに余暉さんが座る。
彼はもう1つのソファを指差して、私に座るように催促した。
「さ、座ってチヅル。いろいろ疑問があるデショ?俺は全部は答えられないケド、1つくらいなら時間大丈夫ダカラ!」
私は深々と頭を下げた。
余暉さんは私のお辞儀を見ると、慌てて「やめて」と言った。
「俺は、そんな頭を下げられるような人じゃないカラ!」
「え?けれど最高位星天師なのでは?」
余暉さんは困ったように笑った。
その顔がアポロンのそれとよく似ていて、流石部下だなぁと微かに感じた。
「そうなんだケド、俺、言葉オカシイね」
そうなのだ。
先程から余暉さんのイントネーションが気になっていた。
どこかカタコトと言うか、敬語が使えてないと言うか、とにかく流暢に喋れていない。
突っ込んだら失礼かと思って避けてはいたけどね。
「まあ、確かにそうですね」
「俺、小さい時に教育を受けていなくて今は割と勉強したのだけど、それでも読み書きするのが精一杯なんだヨ」
「ええ…それでも書類整理などをお仕事にされているんですよね?」
「そうだヨ!だから時間かかっちゃうネ!」
シンプルに謎だった。
最高位星天師って言うからもっと厳しい人かと思えばおっとりした優しそうな人だし、まして読み書きで精一杯だとは。
こんな人が最高位星天師なのか…?
私の心情が顔に透けていたのだろうか。
余暉さんは申し訳なさそうに言う。
「ごめんネ。俺みたいな人が太陽の星天師でびっくりデショ?」
「まあ、はい」
あ、しまった。
また悪い癖。正直に言い過ぎてしまう。
でも余暉さんは怒るどころかむしろヘラヘラと笑った。
「その通り。俺は特に凄い能力も何もないんダ」
凄い能力どころか、おそらく一般人の方がこの人より優れているのではないか。
今のところこの人に関して凄い、と思えるところはスタイルとご尊顔と…あと、先程も感じた貫禄だ。
ヘラヘラしてるのに、馬鹿そうなのに(失礼)、どこか人を惹きつける魅力があるのだ。
カリスマ性と言ったらいいか?
これが、この人が最高位星天師になれた所以だろうか。
「まあでも太陽の星天師に相応しい素質があるんじゃないですか?」
「えーそうカナ?」
この人は優しくておっとりしているし、人としてはとても良いのだろう。
しかし、せっかちな私とは合わないようだ。
ヘラヘラ笑って温厚でぬるくって。
この人が上の立場の人間なら敬うよ?
けれどそれ以上の関わりは持ちたくない。
なんだかそう感じた。
「はい。挨拶はこんなもんでいいですかね?アポロン」
私の無愛想な話の切り方に、アポロンは少しだけ驚いていた。
「いや、まだいけない。星天師になるにはまずやってもらいたいことがある」
「やってもらいたいこと?試験とか?」
「いや、試験なんぞお前なら余裕なのだろうからな。
ガッツを見せろ、千鶴」
ガッツて…。神様がいきなりカタカナ文字を言うと動揺する。
「で、一体私は何を…?」
アポロンは得意げに鼻を鳴らした。
な、なんですかその悪戯っ子みたいな笑顔は。
「明日行われる神々の集まりに参加しなさい」
………………………………………………………………
カツン…カツン…。
進んでいる。
事故時の服装が制服のため、私はローファーをカツカツカツカツ鳴らしながら廊下を進んでいる。
音を鳴らしながら歩くのは下品かもしれないけれど、
そんなの構っていられない。
私の意識はある一点に注がれていた。
「コッチが水場であれが食堂…って、チヅル、大丈夫?」
「えっ?」
「やっぱり、ぼーっとしてた?」
いかんいかん。余暉さんに対して失礼だったね。
「あ、いえ!すみません」
余暉さんは相変わらず怒らない。
自分が例えば上司で、部下が自分の話を聞かないなんて状況なら、私は怒るな。口に出さなくとも、気分は悪くなるだろう。
だけど余暉さんはそんな顔色なんて少しもなくて。
なんだか悲しそうな顔をしていた。
「…それ、気になるよネ」
「…ですね」
それとは。
私の腕に黄色く光っている太陽の印だ。
デザインは至って単純で、丸の中に太陽の絵が描かれている。ぶっちゃけ、絵心皆無な私でも描けそう。
神様の印がこんなんでいいのか、デザイナー誰なんだろうと思ったがお口チャック。こういうこと言っちゃうから自分は嫌われるのだ。
先程のアポロンの顔が浮かんでくる。
『いいか?千鶴。その印は非常に重要なものだ。それは私の加護の印。取れてしまうとお前は私の力を失い、瀕死の体へと戻ってしまう。お前が明日の集まりで他の神に認められればお前は晴れて星天師に。認められなければその印が消え、お前も死ぬこととなる。あ、認められたあとは他の神々からも加護をもらえるから私の印は自動的に消えるが問題はないぞ』
問題はないぞ、じゃないわよ。
…ってこんなやりとり先ほどもした気がする。
明日、何をさせられるかわからない。
この印が消えないかヒヤヒヤして、私は余暉さんの声が何も入ってこない。
明日認められなければ、どうしよう。
私は死ぬのだろう。そしたら由梨とも会えない!
それだけは避けたかった。
「今日は取り敢えず太陽王宮のお部屋貸すカラ、ゆっくり休んでネ!」
先ほどの白い空間(太陽の宮というらしい。太陽王宮の外側に備えられている空間だそう)を出て、今は太陽王宮と呼ばれる太陽の宮殿へと来ている。
太陽は熱すぎて住めないカラ、太陽の近くに宮殿を建てて住んでるんダ!と余暉さんは言っていた。
太陽などもそうだが、木星や土星などのガス星の人々は何処に住んでいるのだろうか。
足を地表につけられないから当然星そのものに住んでいるわけではなかろう。
余暉さんの説明によると、惑星神や星天師、その民は惑星近くに宮殿や家々を作って住むのが一般的なんだそうで。
水星金星火星は惑星そのものに住んでいるのだそうだが、それは例外的とのこと。
ていうか水星とかものすごく暑そうだけど人住んでいるのだな。星天師は地球人と言っていたけれど大丈夫なのだろうか。
ま、例外的っていっても管轄下の惑星の数がそもそも8つしかないのだから決してマイノリティではなさそうだが。
「わぁ!すごい!」
薄暗い煤けた煉瓦でできた廊下からして心配はしていたが、部屋は相当綺麗だった。
白を基調とした壁や大理石の床、芸術を介さない私には価値のわからないが凄そうな絵、真っ赤なカーペットや天蓋付きの金色ベッド!白いフカフカしてそうなソファが2つ真ん中に置いてあって。
テレビでよくやってる一泊300万くらいしそうなホテルをイメージしてもらえれば良いと思われる。
広さはさほどはないけれど、私1人ならば十分に広い。
「本当は、もっと大きなお部屋に案内してあげたいんだケド…まだチヅルは正式な星天師じゃなあカラって
アポロン様が…」
「いえいえ!こんな素敵なお部屋全然十分ですよ!」
全然十分などと変な日本語を使用してしまったが、それほど興奮がすごかった。
これが太陽の権威というやつか!
余暉さんはクスッと微笑んで部屋のドアを閉めた。
「何かあったら呼び鈴すれバ人来るからネ!」
「はーい!」
ひねくれた私がここまで上機嫌になるのは久しぶりだ。
様々ことがあったのに豪華な部屋1つでこんなにリフレッシュできる自分がなんだか、単純な人間のように思える。
「さてト…」
ソファに余暉さんが座る。
彼はもう1つのソファを指差して、私に座るように催促した。
「さ、座ってチヅル。いろいろ疑問があるデショ?俺は全部は答えられないケド、1つくらいなら時間大丈夫ダカラ!」
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