星天師〜星空の湊〜

下村美世

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宇宙へやってきた

太陽の宮③

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「目覚めたのか?」

不意に声がかかった。

私は誰かいることを知って安心した反面、足がすくんだ。
恐怖で、足がすくんだのだ。

“目覚めたのか?”

そのたった一言。

なのに言葉の圧がすごかった。
声だって、今まで聞いたことのない声。

男だか女だか、はたまた若いのか老いているのか。

何故か声音から判断できないのだ。
全て当てはまっているような声。
全ての人間の声を混ぜたような声。

足が震えだした。


うまく言い表せないんだけど、本能がこの人を畏怖しているのだ。
怖い。怖い。
声のした方へ振り返らない。

一体…何者なの?

(振り返ってはダメだ。)

本能が訴えてくる。

(お前の後ろにいるのは、人間なんぞ太刀打ちできない相手だ。関わってはダメだ。関わるな、千鶴。)

そうもう1人の私が、私を制止しようとする。
  


…しかし好奇心もあった。
本能に遅れて、私の心がついてきた。
私は困ったことにバリッバリの理系女だ。

研究心が強くて強くて、不思議なことがあればなんでも調べていた。

そう、私の後天的な“本能”と、種としての勘のような先天的な“本能”が拮抗していた。

(こんな声出す人、気にならない?この空間の説明もしてくれるかもよ?)

後天的な本能が言う。

(関わってはダメ。千鶴じゃ太刀打ちできないよ。)

人間としての本能が言う。


決断する前に、後ろで舌打ちが聞こえた。


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