永遠の瑠衣

箱枝ゆづき

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瑠衣の看病③

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 二日後、
 その日は朝から体が重かった。
 瑠衣ちゃんが風邪をひいてしまった教訓で、上に薄い布団を一枚追加したにもかかわらず、昨夜は寝ている間がなんだか寒くて、瑠衣ちゃんと一緒に寝てるはずなのに体の震えが止まらなかったのだ。

 瑠衣ちゃんの方はというと風邪も快方に向かって全く問題なくすやすやと寝ていたようで安心した。
 引き出しから体温計を取り出して熱を測る。
 すると38.5℃もあるではないか。

 これでは学校に行っても頭痛や気分の悪さでまともに授業を受けることができない。
 きっと教師の話を聞いている余裕なんて無いだろう。
 クラスメイトにも風邪を伝染させることになるし、無理して登校したところで、余計にひどくなって治るのが遅くなる可能性も高い。

 そうなるとさらに学校を長期間休まなければならなくなるし、僕の風邪をただばら撒きに学校へ行ったことになって迷惑がかかる。
 欠席しよう……。
 僕は学校に連絡を入れると、スマホを充電器に繋ぎ枕元に置いて、布団の中に入った。

「ヒナタ? どうしたのじゃ?」

 起床したのにまた布団に入って、いつまでも起きようとしない僕に異変を察したのか、瑠衣ちゃんが顔を覗き込んでくる。

「ヒナタ、顔色が青白いのじゃ。大丈夫か?」

 と瑠衣ちゃんは心配そうに僕を見て、おでこをくっつけてくる。

「熱いのじゃ、高熱なのじゃ……、わらわが伝染してしまったのじゃ……」

 どうやら僕が瑠衣ちゃんを看病したことによって伝染したと、うしろめたさを感じているようだ。

「気にしなくていいよ」

 瑠衣ちゃんの風邪ならもらっても構わないし、後悔もしていない。
 本当に気にしなくても良いのだ。

「大変なのじゃ、ヒナタが死んでしまうのじゃ……」

「ただの風邪だから、寝てたら治るから、心配しなくていいよ」

 と、頭痛と喉の奥の痛みを堪えつつ優しく語りかけるが、瑠衣ちゃんはそのまましばらくくっついていたかと思えば今度は頬擦りをしてきており、ちょっと可愛いなと思ったりもする。
 しばらく僕の顔を見て眉毛をハの字にしたかと思えば、何かを思いついたかのように立ち上がって、スマホで何やら検索し始めた。
 操作方法を教えてからというもの、気付けば瑠衣ちゃんのスマホ活用率はどんどん上がっていく。

 すると、何やらスマホを持ったままキッチンに行き、スマホの画面を見つつ無洗米と水を計量カップで計りながら鍋に入れて、火をかけている。
 これってまさか……と思っていると、瑠衣ちゃんが菜箸を片手にガスコンロの前で鍋の番をし始めた。
 やっぱり……僕のためにお粥を作ってくれている。
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