永遠の瑠衣

箱枝ゆづき

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瑠衣の看病②

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 本来なら誰かが看病してくれる、心配してくれる。
 それにより寂しさや心細さ、苦しみが緩和されるのであるが、両親が突然この世から消え、途中からそれを享受することができなくなった。
 過去の自分の心境と今の瑠衣ちゃんの気持ちが重なり合って、それが痛いほどよくわかってしまった。

 瑠衣ちゃんの隣に潜って添い寝し、瑠衣ちゃんの頭を腕枕して、背中に手を回し抱きしめてあげた。
 瑠衣ちゃんの手も背中に回ってくる。
 そのままゆっくりと背中を摩ってあげていると少しづつ落ち着いてきて、静かに寝息を立て始めた。

 瑠衣ちゃん早く治って、元気になってくれ……。
 瑠衣ちゃんの背中に手を当てていると、僕もいつの間にか眠りの淵に引き摺り込まれていった。
 日が落ちて目覚めると、少し熱が下がってきたのか瑠衣ちゃんは、

「お腹が空いたのじゃ……」

 と食欲が出てきたようなので、

「よし、すぐに作るからね」

 僕はキッチンへ向かう。
 少しでも塩分と栄養をとってもらうために、鍋にお米と水、出汁を入れ、卵とほうれん草も入れて煮込む。
 十分ほどで出来上がり、半身を起こした瑠衣ちゃんの布団まで卵ほうれん草粥を持っていく。
 レンゲで掬ってフーフーしたあと、

「瑠衣ちゃん、あーん」

 口元に持っていくと瑠衣ちゃんは素直に口を開けてきたので、そのまま食べさせてあげる。
 もぐもぐと食べている様子を微笑ましく眺めつつ、僕の分も自分の口に運んで食べた。
 うん、我ながらいい味だ。

「おいしい?」

 と僕が訊ねると、

「うむ、美味しいのじゃ」

 とにっこり笑ってくれた。
 瑠衣ちゃんはぱくぱくと食べていって、すぐにお皿は空になった。
 これだけ食べられればもう大丈夫だろう。

 お風呂のお湯をたらいに汲んできて、タオルを絞って、瑠衣ちゃんには上半身の服を脱いでもらい体を拭いてあげる。
 体は汗ばんでいて、大きな胸を見ないように拭くのは結構難しい作業ではあったが、病人に対してこんなことを考えたらダメだと自分を叱咤して頭を振る。

 拭き終わるとすごく気持ちいいみたいで瑠衣ちゃんは嬉しそうだった。
 そして新しいパジャマを着せてあげて、掛け布団を掛けてあげる。

「明日には治ってるといいね」

 と頭を撫でると、瑠衣ちゃんは、

「早く治して一緒に遊ぶのじゃ」

 と笑顔を向けてきて、僕はホッと一安心した。
 そして瑠衣ちゃんと添い寝して体を冷やさないように抱きしめると、瑠衣ちゃんも僕の背中に腕を回してきてギュッと抱きしめ合う形になった。
 お互いに相手の温もりを感じながら目を閉じると心地よい眠気がやってきて僕らは眠りに落ちていった。

 翌朝、朝の微睡みの中、何かが僕のお腹の上によじ登っていく感触がして目を開けると、猫のように丸くなった瑠衣ちゃんがこちらを見ていた。
 昨日までの弱々しさはどこへやらといった感じで、顔色も良くなりすっかり元気になっているようだ。

「ヒナタ、おはよう、腹減ったのじゃ」

 と、無邪気な笑顔を僕に向けてきて、起き抜けなのに笑みが溢れた。
 さらに瑠衣ちゃんは、

「ヒナタ、ありがとう。大好きなのじゃ」

 僕に顔と体を擦り付けながら、また喜びをほほに浮かべた。
 ああ、瑠衣ちゃんが喜んでくれている……それだけで胸がいっぱいになる。
 瑠衣ちゃんを見ていると、こちらも自然と嬉しくなってきてしまうのだ。

 お礼なんていい。彼女が苦しんでいる様を見て、放っておけるわけないんだから。すぐに熱が下がって本当に良かった。
 こんなことを考えていると、瑠衣ちゃんは僕にとってかけがえのない大切な存在だと改めて認識する。

「瑠衣ちゃん、大好きだよ」

 僕がそう返すと瑠衣ちゃんはニコニコと嬉しそうに顔を擦り付けてくる。

「来週はどこか遊びに行こうね」

「行くのじゃ!」

 こんな感じで、めでたしめでたしで終わるはずだったのだが、そうはいかないようで、
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