18 / 39
変化③
しおりを挟む
授業中にふと笑顔の瑠衣ちゃんのことを思い浮かべると、なんだか顔がニヤけそうになる自分を抑えつつも、授業が終わって家に帰る途中なのだが、ふと思いついた。
瑠衣ちゃんはあれだけ寂しがるのなら、僕といつでも繋がれるように安いスマホでも持たせてあげようか。
格安SIMのスマホなら月額料金も安いし、あれくらいの負担増なら問題がない。
そして家にはWi-Fiがあるし、データ通信料は発生しない。
よし、そうと決まれば早速契約してこよう。
すぐに方向転換し歩き出す。
僕はキャリアショップに行くと三十分ほど契約の処理を済ませて、瑠衣ちゃんにあげる新品のスマホが入った手提げ紙袋を手に帰路を歩く。
何やら猫の鳴き声が聞こえてくる。
それも、ぎゃああああという叫び声にも似た鳴き方。
これは喧嘩している時の声にそっくりだった。
今は春だし、発情期の猫も居るだろうし、オス同士がメスを巡って決闘でもしてるのかなと、特に気にせずに曲がり角を曲がった時、何やら金属製の手袋をした男二人組が三毛猫を地面に押さえつけている光景に出くわした。
三毛猫は大声を上げて威嚇し暴れ、体を押さえつけられている手を引っ掻こうとしているが、金属製の手袋の前には猫の爪など歯が立たない。
僕はその異様な光景に思わず民家の塀の影に身を隠した。
そして半分だけ顔を出して覗き込む。
「猫又か?」
「いや、違う。ただの野良猫だ」
「ちっ、ただの人懐っこい猫か」
男は三毛猫の首に金色に塗られた首輪を取り付けて施錠し放す。
三毛猫は一目散に逃げ出し塀の上にジャンプし、民家の庭の中へ姿を消した。
「全く紛らわしいものを生み出しやがって。いい迷惑だ」
と忌々しく吐き捨てて、男二人組は近くに停めていた白いワゴン車に乗って去っていった。
……なんなんだあいつらは?
猫を調べていたぞ……?
しかも猫又とか言っていた。
もしかして瑠衣ちゃんが狙われているのか!?
嫌な予感がして僕は急いで家へ走った。
家の前につくと辺りを見渡す。
瑠衣ちゃんの姿は見当たらないので僕がお願いしたとおりに家の中に居るのだろう。
鍵を開けて中に入るといつも瑠衣ちゃんが待ち構えているのに今日は無反応。
慌てて靴を脱いで部屋を確認すると、ベッドの上で僕の枕を抱きしめて寝ている瑠衣ちゃんの姿が目に入る。
首には金メッキもどきのネックレスが光っている。
「よかった、無事だった……」
僕はホッと胸を撫で下ろして、眠っている彼女の顔をよく見ると、頬に涙の跡があることに気付いた。
どうやら僕の匂いがする枕を抱きしめながら泣き疲れて、そのまま寝てしまったようである。
僕は申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
僕はベッドに腰掛けて瑠衣ちゃんの頭を撫でながら謝るのだった。
「ごめんね、一人にして……寂しかったよね」
すると眠っていたはずの瑠衣ちゃんが目を開けて、僕の方を見てくれた。
「……っ! ヒナタ!」
瑠衣ちゃんは僕に抱きついてくる。
そして頬をペロッと舐めてきて、熱烈に顔を擦り付けてくる。
「……良かったのじゃ……帰ってきてくれたのじゃ……嬉しいのじゃ……」
と言って満面の笑みで頬に頬をくっつけてくる。
今朝学校へ行って夕方に帰ってきただけなのに、まるで僕が出て行って数ヶ月待った後のような感じになっている。
瑠衣ちゃんはあれだけ寂しがるのなら、僕といつでも繋がれるように安いスマホでも持たせてあげようか。
格安SIMのスマホなら月額料金も安いし、あれくらいの負担増なら問題がない。
そして家にはWi-Fiがあるし、データ通信料は発生しない。
よし、そうと決まれば早速契約してこよう。
すぐに方向転換し歩き出す。
僕はキャリアショップに行くと三十分ほど契約の処理を済ませて、瑠衣ちゃんにあげる新品のスマホが入った手提げ紙袋を手に帰路を歩く。
何やら猫の鳴き声が聞こえてくる。
それも、ぎゃああああという叫び声にも似た鳴き方。
これは喧嘩している時の声にそっくりだった。
今は春だし、発情期の猫も居るだろうし、オス同士がメスを巡って決闘でもしてるのかなと、特に気にせずに曲がり角を曲がった時、何やら金属製の手袋をした男二人組が三毛猫を地面に押さえつけている光景に出くわした。
三毛猫は大声を上げて威嚇し暴れ、体を押さえつけられている手を引っ掻こうとしているが、金属製の手袋の前には猫の爪など歯が立たない。
僕はその異様な光景に思わず民家の塀の影に身を隠した。
そして半分だけ顔を出して覗き込む。
「猫又か?」
「いや、違う。ただの野良猫だ」
「ちっ、ただの人懐っこい猫か」
男は三毛猫の首に金色に塗られた首輪を取り付けて施錠し放す。
三毛猫は一目散に逃げ出し塀の上にジャンプし、民家の庭の中へ姿を消した。
「全く紛らわしいものを生み出しやがって。いい迷惑だ」
と忌々しく吐き捨てて、男二人組は近くに停めていた白いワゴン車に乗って去っていった。
……なんなんだあいつらは?
猫を調べていたぞ……?
しかも猫又とか言っていた。
もしかして瑠衣ちゃんが狙われているのか!?
嫌な予感がして僕は急いで家へ走った。
家の前につくと辺りを見渡す。
瑠衣ちゃんの姿は見当たらないので僕がお願いしたとおりに家の中に居るのだろう。
鍵を開けて中に入るといつも瑠衣ちゃんが待ち構えているのに今日は無反応。
慌てて靴を脱いで部屋を確認すると、ベッドの上で僕の枕を抱きしめて寝ている瑠衣ちゃんの姿が目に入る。
首には金メッキもどきのネックレスが光っている。
「よかった、無事だった……」
僕はホッと胸を撫で下ろして、眠っている彼女の顔をよく見ると、頬に涙の跡があることに気付いた。
どうやら僕の匂いがする枕を抱きしめながら泣き疲れて、そのまま寝てしまったようである。
僕は申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
僕はベッドに腰掛けて瑠衣ちゃんの頭を撫でながら謝るのだった。
「ごめんね、一人にして……寂しかったよね」
すると眠っていたはずの瑠衣ちゃんが目を開けて、僕の方を見てくれた。
「……っ! ヒナタ!」
瑠衣ちゃんは僕に抱きついてくる。
そして頬をペロッと舐めてきて、熱烈に顔を擦り付けてくる。
「……良かったのじゃ……帰ってきてくれたのじゃ……嬉しいのじゃ……」
と言って満面の笑みで頬に頬をくっつけてくる。
今朝学校へ行って夕方に帰ってきただけなのに、まるで僕が出て行って数ヶ月待った後のような感じになっている。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説


ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる