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黒猫少女との日々②
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ひと通り話終えるが、こんな重い話にもかかわらず瑠衣ちゃんは、
「ふむ、つまりヒナタは一人だから寂しいと、そう思っておるのか」
当たらずも遠からずなんだけど、まあ似たようなもんかと僕が思っていると、瑠衣ちゃんは僕をくりくりとした目で見て、
「ならば、わらわがおるから寂しくないのじゃ!」
と笑顔で猫のように無邪気に顔を擦り付けてくる。
その行動に僕は呆気にとられたが、しばらくするとなんだか涙が込み上げてきた。
「……」
ああ、この子はなんて優しいんだろうか、こんな歪んだ家庭で育った、歪んだ僕にこんなに明るく慰めてくれるなんて。
「ヒナタ、何故泣くんじゃ?」
と、瑠衣ちゃんの眉毛がハの字に変わってしまったので、僕は慌てて涙を拭いて、
「こ、これは嬉しくて泣いてるだけだから!」
と口にすると、
「そうか! なら、わらわはヒナタとずっと一緒におるぞ!」
と、笑顔でまた体を擦り付けてきた。
そんなことをされると涙が止まらなくなっちゃうよ。
◇ ◇ ◇
僕が瑠衣ちゃんと出会ってから一ヶ月が経った。
瑠衣ちゃんは人間の姿になってくれているから、ペット禁止の僕のアパートでも問題なく居候することができた。
瑠衣ちゃん自身はあんな古風な言葉遣いであるものの素直で純真無垢なため裏表がなく、ちょうど良い距離感で過ごすことができるという。なんだか良い関係だった。
ただ、猫じゃなく人間の姿なのに僕に体を擦り付けてくるのである。
おそらく猫の姿の癖なのだろう。
しかし人間の姿でそれをされると大きな胸まで僕に擦り付けられてしまうのである。
その時は僕も思春期真っ盛りなわけで、どうしても意識してしまうし変な気持ちになってしまうためやめていただきたいところである。
とはいえ瑠衣ちゃんにそのことを直接言えるはずもなく、おそらくこれは癖というか習性だろうから言っても治らない可能性の方が非常に高い。
なので僕は毎回我慢してるというか別に嫌というわけではなく嬉しいんだけど、あんまりやられるとムラムラしてくるからそれを我慢というか。
猫の姿だったらいくらでも甘えさせてあげるんだけどなぁ。
黒猫の姿の瑠衣ちゃんを抱えて冷蔵庫の近くまで来ると、突然、ボン! と人間に変身し、質量が増加して僕は瑠衣ちゃんをお姫様抱っこする形になって慌てて床を踏ん張る。
そしてもちろん猫→人間に変身すると瑠衣ちゃんは裸になってしまうので、僕は近くにあったエプロンを慌ててかぶせる。
「瑠衣ちゃんいきなり変身されるとびっくりするんだけどっ」
床に下ろすと瑠衣ちゃんは恥ずかしがる様子もなくかぶせたエプロンを付ける。
しまった……これでは裸エプロンじゃないか。
などという考えは振り払う。
瑠衣ちゃんは気にも留めず冷蔵庫を開けると、
「ヒナタ。わらわは腹が減っておる。冷蔵庫にはもう食材が残り少ないゆえ、買い物に行った方がよいのではないか?」
と瑠衣ちゃんは体を擦り付けながら僕に提案してくる。
「……」
胸が……大きな胸が思いっきり僕の腕に擦り付けられていった……。
「ヒナタ、聞いておるのか?」
と、顔を覗き込んでくる瑠衣ちゃん。近い! 距離が近いよっ!
「……っあ、う、うん。そうだね。買いに行こっか」
と平静を装って返事をすると、
「うむ。わらわも付いて行っても良いか?」
と瑠衣ちゃんは訊いてくる。
あぁ、これは一人で留守番するのが寂しいのだろう。瑠衣ちゃんが来るまで一人暮らしだったからその気持ちはよく分かるぞ!
「……その前に服を着よっか?」
「うむ」
「ふむ、つまりヒナタは一人だから寂しいと、そう思っておるのか」
当たらずも遠からずなんだけど、まあ似たようなもんかと僕が思っていると、瑠衣ちゃんは僕をくりくりとした目で見て、
「ならば、わらわがおるから寂しくないのじゃ!」
と笑顔で猫のように無邪気に顔を擦り付けてくる。
その行動に僕は呆気にとられたが、しばらくするとなんだか涙が込み上げてきた。
「……」
ああ、この子はなんて優しいんだろうか、こんな歪んだ家庭で育った、歪んだ僕にこんなに明るく慰めてくれるなんて。
「ヒナタ、何故泣くんじゃ?」
と、瑠衣ちゃんの眉毛がハの字に変わってしまったので、僕は慌てて涙を拭いて、
「こ、これは嬉しくて泣いてるだけだから!」
と口にすると、
「そうか! なら、わらわはヒナタとずっと一緒におるぞ!」
と、笑顔でまた体を擦り付けてきた。
そんなことをされると涙が止まらなくなっちゃうよ。
◇ ◇ ◇
僕が瑠衣ちゃんと出会ってから一ヶ月が経った。
瑠衣ちゃんは人間の姿になってくれているから、ペット禁止の僕のアパートでも問題なく居候することができた。
瑠衣ちゃん自身はあんな古風な言葉遣いであるものの素直で純真無垢なため裏表がなく、ちょうど良い距離感で過ごすことができるという。なんだか良い関係だった。
ただ、猫じゃなく人間の姿なのに僕に体を擦り付けてくるのである。
おそらく猫の姿の癖なのだろう。
しかし人間の姿でそれをされると大きな胸まで僕に擦り付けられてしまうのである。
その時は僕も思春期真っ盛りなわけで、どうしても意識してしまうし変な気持ちになってしまうためやめていただきたいところである。
とはいえ瑠衣ちゃんにそのことを直接言えるはずもなく、おそらくこれは癖というか習性だろうから言っても治らない可能性の方が非常に高い。
なので僕は毎回我慢してるというか別に嫌というわけではなく嬉しいんだけど、あんまりやられるとムラムラしてくるからそれを我慢というか。
猫の姿だったらいくらでも甘えさせてあげるんだけどなぁ。
黒猫の姿の瑠衣ちゃんを抱えて冷蔵庫の近くまで来ると、突然、ボン! と人間に変身し、質量が増加して僕は瑠衣ちゃんをお姫様抱っこする形になって慌てて床を踏ん張る。
そしてもちろん猫→人間に変身すると瑠衣ちゃんは裸になってしまうので、僕は近くにあったエプロンを慌ててかぶせる。
「瑠衣ちゃんいきなり変身されるとびっくりするんだけどっ」
床に下ろすと瑠衣ちゃんは恥ずかしがる様子もなくかぶせたエプロンを付ける。
しまった……これでは裸エプロンじゃないか。
などという考えは振り払う。
瑠衣ちゃんは気にも留めず冷蔵庫を開けると、
「ヒナタ。わらわは腹が減っておる。冷蔵庫にはもう食材が残り少ないゆえ、買い物に行った方がよいのではないか?」
と瑠衣ちゃんは体を擦り付けながら僕に提案してくる。
「……」
胸が……大きな胸が思いっきり僕の腕に擦り付けられていった……。
「ヒナタ、聞いておるのか?」
と、顔を覗き込んでくる瑠衣ちゃん。近い! 距離が近いよっ!
「……っあ、う、うん。そうだね。買いに行こっか」
と平静を装って返事をすると、
「うむ。わらわも付いて行っても良いか?」
と瑠衣ちゃんは訊いてくる。
あぁ、これは一人で留守番するのが寂しいのだろう。瑠衣ちゃんが来るまで一人暮らしだったからその気持ちはよく分かるぞ!
「……その前に服を着よっか?」
「うむ」
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