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黒猫少女との出会い③
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人間になりたい……!
人間になってこの男子生徒にお礼を言いたい!
そう強く願うと、急に体が熱くなり、ボン! という音と共に目線が高くなった。
「……えっ!?」
男子生徒は目を丸くし驚愕の表情をしておる。
声を出してみると、「あー」と猫の鳴き声ではない人間の肉声が出る。
これならばお礼を言っても伝わるはずである。
「先程はわらわに飯を恵んでいただき、礼を申す」
わらわは深々と頭を下げた。
「あの! その、君、とりあえず裸だから服を着ようね!?」
すると彼は顔を真っ赤にして慌ててタンスの引き出しを引っ張り出し、中身を漁り大きなTシャツを1枚こちらに寄越す。
そうか、なんだか肌寒いと思っておったが、人間は服を着ないと寒いのじゃな。
わらわは遠慮なくそのTシャツに袖を通すと、彼は、
「君、さっきまで猫だったのに……どういうこと!? しかも女の子じゃん!」
「人間になりたいと思ったら、人間になれたのじゃ」
「そ、そんな簡単に猫から人間になれるものなの!?」
男子生徒は軽く引きながら疑問を口にする。
無理もない。わらわも何故人間になれたのかわからんのじゃ。
「おぬしの名前を教えてほしいのじゃ。わらわは瑠衣と申す」
と自己紹介をすると、男子生徒はまだ慌てた様子で、
「ぼ、僕は、ヒナタです」
と名乗った。ヒナタ……?
読みから推測するに、漢字はおそらく日向であろうか。
なかなか中性的な名前である。
おなごのような顔をしているだけあるのう。
「えぇっと……ごめん、まだ理解が追いついていないよ。君がさっきの黒猫だってことはわかったけど、どうして急に人間の姿になったんだい?」
と訊ねてきた。
「じゃから、おぬしにこのように親切に扱われて、お礼を言いたかったのじゃが、何を言っても通じないようじゃから、人間になってお礼を言いたいと思ったら人間になれたのじゃ」
そう説明をしてやると、ヒナタは目をぱちくりさせておった。
「とんでもない展開で頭が付いていかない……」
「それでじゃ、図々しいことを承知の上で頼みがあるのじゃが、聞いてもらえるかのぅ?」
「な、なんでしょう?」
「わらわを、ここに置いてほしいのじゃ。ヒナタは親切なのじゃ。わらわは気に入ったのじゃ」
とわらわは素直に頼むと、ヒナタは少し悩んだ後、
「わかったよ。好きなだけ居てくれて構わないよ」
と言ってくれた。
やはりヒナタは優しい。
本当に優しい男じゃのう。
「恩に着るのじゃ」
ともう一度頭を下げると、
「でも一つだけ条件があるんだ」
と申してくる。
「なんじゃ? 申してみよ」
「僕は、その、女の子を相手にすると、き、緊張しちゃってさ、たまに変なこと口走るかもしれないの」
「ふむ」
「そういうときは無視してくれていいからね? あとね、お風呂とかトイレとか覗かないでね? 恥ずかしいからさ」
と少し頬を赤らめてもじもじしながら言う。なんと可愛らしい男子なのか。
しかし覗きたいとは思わないし、覗くつもりもないのだが。
というか、さっきからヒナタはおなごのようなことを口走っておる。
「何が恥ずかしいのかは理解できぬが、ヒナタがダメと言うのならやらぬ」
「そ、そっか。よかったぁ。じゃあよろしくね、瑠衣ちゃん」
「うむ。こちらこそよろしくなのじゃ、ヒナタ」
こうしてわらわは、新しい住処と寝床、安寧の地を見つけたのであった。
人間になってこの男子生徒にお礼を言いたい!
そう強く願うと、急に体が熱くなり、ボン! という音と共に目線が高くなった。
「……えっ!?」
男子生徒は目を丸くし驚愕の表情をしておる。
声を出してみると、「あー」と猫の鳴き声ではない人間の肉声が出る。
これならばお礼を言っても伝わるはずである。
「先程はわらわに飯を恵んでいただき、礼を申す」
わらわは深々と頭を下げた。
「あの! その、君、とりあえず裸だから服を着ようね!?」
すると彼は顔を真っ赤にして慌ててタンスの引き出しを引っ張り出し、中身を漁り大きなTシャツを1枚こちらに寄越す。
そうか、なんだか肌寒いと思っておったが、人間は服を着ないと寒いのじゃな。
わらわは遠慮なくそのTシャツに袖を通すと、彼は、
「君、さっきまで猫だったのに……どういうこと!? しかも女の子じゃん!」
「人間になりたいと思ったら、人間になれたのじゃ」
「そ、そんな簡単に猫から人間になれるものなの!?」
男子生徒は軽く引きながら疑問を口にする。
無理もない。わらわも何故人間になれたのかわからんのじゃ。
「おぬしの名前を教えてほしいのじゃ。わらわは瑠衣と申す」
と自己紹介をすると、男子生徒はまだ慌てた様子で、
「ぼ、僕は、ヒナタです」
と名乗った。ヒナタ……?
読みから推測するに、漢字はおそらく日向であろうか。
なかなか中性的な名前である。
おなごのような顔をしているだけあるのう。
「えぇっと……ごめん、まだ理解が追いついていないよ。君がさっきの黒猫だってことはわかったけど、どうして急に人間の姿になったんだい?」
と訊ねてきた。
「じゃから、おぬしにこのように親切に扱われて、お礼を言いたかったのじゃが、何を言っても通じないようじゃから、人間になってお礼を言いたいと思ったら人間になれたのじゃ」
そう説明をしてやると、ヒナタは目をぱちくりさせておった。
「とんでもない展開で頭が付いていかない……」
「それでじゃ、図々しいことを承知の上で頼みがあるのじゃが、聞いてもらえるかのぅ?」
「な、なんでしょう?」
「わらわを、ここに置いてほしいのじゃ。ヒナタは親切なのじゃ。わらわは気に入ったのじゃ」
とわらわは素直に頼むと、ヒナタは少し悩んだ後、
「わかったよ。好きなだけ居てくれて構わないよ」
と言ってくれた。
やはりヒナタは優しい。
本当に優しい男じゃのう。
「恩に着るのじゃ」
ともう一度頭を下げると、
「でも一つだけ条件があるんだ」
と申してくる。
「なんじゃ? 申してみよ」
「僕は、その、女の子を相手にすると、き、緊張しちゃってさ、たまに変なこと口走るかもしれないの」
「ふむ」
「そういうときは無視してくれていいからね? あとね、お風呂とかトイレとか覗かないでね? 恥ずかしいからさ」
と少し頬を赤らめてもじもじしながら言う。なんと可愛らしい男子なのか。
しかし覗きたいとは思わないし、覗くつもりもないのだが。
というか、さっきからヒナタはおなごのようなことを口走っておる。
「何が恥ずかしいのかは理解できぬが、ヒナタがダメと言うのならやらぬ」
「そ、そっか。よかったぁ。じゃあよろしくね、瑠衣ちゃん」
「うむ。こちらこそよろしくなのじゃ、ヒナタ」
こうしてわらわは、新しい住処と寝床、安寧の地を見つけたのであった。
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