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黒猫少女との出会い②
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この男子生徒はなんという優しさじゃろうか。
まるで神のようである。
「おいしかった?」
うむ、と返事をする代わりに喉を鳴らして男子生徒の脚に顔を擦り付ける。
「こんなに人懐っこいし、君は捨てられたのかな。黒猫は可愛いのにな」
この男子生徒は『黒猫は縁起が悪い』という偏見を持っておらぬようである。
そして見ず知らずのわらわにここまで親切で優しい扱いをしてくれておる。
ここでこの男子生徒と別れたら二度と会えぬかもしれぬ。
そして、これからこのような優しい人間に巡り会える確率も少ない。
また食い物にありつけない日々が続き、野垂れ死ぬ可能性の方がはるかに高くなってしまう。
ならば、この男子生徒の家に連れ帰ってもらうしか生き残る道はない。
わらわはしゃがんでいる男子生徒の膝へしがみつくように乗って、胸に顔を擦り付けて喉を精一杯鳴らす。
「君はすごく積極的な性格してるなぁ」
と男子生徒は嫌がることもなくわらわを膝の上で撫でてくれる。
そして優しく両腕で包んでくれておる。
わらわの行動を受け入れてくれておる。
もうこの男子生徒が一縷の望みである。
わらわは必死に男子生徒の顔に顔を擦り付ける。
「ああぁ、こんな懐かれるとほっとけなくなるよ。家に来るかい?」
と、男子生徒はわらわを抱きかかえて立ち上がる。
そして歩き始める。
わらわが捨てられていた場所からだいぶ離れてしまったが、まぁよい。
男子生徒の腕に包まれておると、わらわの命は助かったと強烈な安堵感が押し寄せてくる。
それと同時に、この男子生徒の温もりを感じて安寧の地を得たような、幸せな気分になる。
抱きかかえられたまましばらくすると、男子生徒の家にたどり着いたのか、彼は注意深く周囲を見回し、無機質なフェンスに囲まれたアパートの階段を登り始める。
「声を出さないでね? 僕の家はペット禁止だから。内緒で連れて帰ってるからね?」
と申すので、わらわは声を出さないことにする。
玄関のドアを開けると、ワンルームの部屋が覗いた。
随分広く感じる。
それはわらわの体が小さいからであろうか。
「君は偉いね? 本当に声を出さなかった。不思議な猫だな」
と申すので、わらわは男子生徒にしか聞こえないようにゴロゴロと喉を軽く鳴らして顔を擦り付ける。
すると男子生徒はわらわを床に下ろしたので、わらわはとりあえずクッションの上に腰を落ち着けることにする。
なんとかこの男子生徒にお礼を言いたい。
ここまでわらわを優しく扱ってくれた人間は生きてきた中でこの男子生徒だけである。
だが、いくらこちらが何を言っても、この男子生徒には「にゃあ」としか聞こえないのである。
まるで神のようである。
「おいしかった?」
うむ、と返事をする代わりに喉を鳴らして男子生徒の脚に顔を擦り付ける。
「こんなに人懐っこいし、君は捨てられたのかな。黒猫は可愛いのにな」
この男子生徒は『黒猫は縁起が悪い』という偏見を持っておらぬようである。
そして見ず知らずのわらわにここまで親切で優しい扱いをしてくれておる。
ここでこの男子生徒と別れたら二度と会えぬかもしれぬ。
そして、これからこのような優しい人間に巡り会える確率も少ない。
また食い物にありつけない日々が続き、野垂れ死ぬ可能性の方がはるかに高くなってしまう。
ならば、この男子生徒の家に連れ帰ってもらうしか生き残る道はない。
わらわはしゃがんでいる男子生徒の膝へしがみつくように乗って、胸に顔を擦り付けて喉を精一杯鳴らす。
「君はすごく積極的な性格してるなぁ」
と男子生徒は嫌がることもなくわらわを膝の上で撫でてくれる。
そして優しく両腕で包んでくれておる。
わらわの行動を受け入れてくれておる。
もうこの男子生徒が一縷の望みである。
わらわは必死に男子生徒の顔に顔を擦り付ける。
「ああぁ、こんな懐かれるとほっとけなくなるよ。家に来るかい?」
と、男子生徒はわらわを抱きかかえて立ち上がる。
そして歩き始める。
わらわが捨てられていた場所からだいぶ離れてしまったが、まぁよい。
男子生徒の腕に包まれておると、わらわの命は助かったと強烈な安堵感が押し寄せてくる。
それと同時に、この男子生徒の温もりを感じて安寧の地を得たような、幸せな気分になる。
抱きかかえられたまましばらくすると、男子生徒の家にたどり着いたのか、彼は注意深く周囲を見回し、無機質なフェンスに囲まれたアパートの階段を登り始める。
「声を出さないでね? 僕の家はペット禁止だから。内緒で連れて帰ってるからね?」
と申すので、わらわは声を出さないことにする。
玄関のドアを開けると、ワンルームの部屋が覗いた。
随分広く感じる。
それはわらわの体が小さいからであろうか。
「君は偉いね? 本当に声を出さなかった。不思議な猫だな」
と申すので、わらわは男子生徒にしか聞こえないようにゴロゴロと喉を軽く鳴らして顔を擦り付ける。
すると男子生徒はわらわを床に下ろしたので、わらわはとりあえずクッションの上に腰を落ち着けることにする。
なんとかこの男子生徒にお礼を言いたい。
ここまでわらわを優しく扱ってくれた人間は生きてきた中でこの男子生徒だけである。
だが、いくらこちらが何を言っても、この男子生徒には「にゃあ」としか聞こえないのである。
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