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暗雲
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「あなたの家に、猫又が居るって情報があったの」
いきなり訪ねてきた女性は僕にこう言ってきた。
……猫又ってなんだ?
もしかして猫から人間に変わった瑠衣ちゃんのことか?
なんでこの人は瑠衣ちゃんのことを知ってる?
その前に情報があったってなんだ?
誰かに見られたといっても、猫の姿の瑠衣ちゃんが見られたことは無いはずだ。
猫の瑠衣ちゃんを外から見られるタイミングといえば、一番最初に路上で瑠衣ちゃんに出会って、腕に抱えて内緒でアパートへ連れてくる間だけ。
それからは人間に変わっている。
たまに猫の姿になることはあったけどそれは全て部屋の中での出来事である。
誰かに見られることは考えにくい。
瑠衣ちゃんは親戚の従妹が居候したということにして大家さんに報告している。
なのに、この人は猫又が居るなどとまるで猫の姿の瑠衣ちゃんを知っているかのような発言をしてくる。
わからないことだらけだが、とりあえずなんとか切り抜けなければならない。
「えーと、あなたは誰ですか?」
と聞いてみると、
「わたしは桜守彩芽と言います。この近所にある稲荷神社の巫女です」
と答えたあと続けて彼女は言った。
「単刀直入に言いますが、あなたが飼っているその黒猫は猫又ですよね?」
と言ったあと僕の後ろの方に視線をやったため振り返ると、いつの間にか目を覚ましていた瑠衣ちゃんがこちらを見ていた。
「なんじゃ?」
と顔を出すので、僕は慌てて『来ちゃダメだ』とアイコンタクトを取る。
なんで瑠衣ちゃんの猫の姿が黒猫だと知ってるんだ?
と疑問が浮かぶが、それを顔に出したらダメだ。
「僕は猫なんて飼ってませんよ。居るのは従妹の瑠衣ちゃんです。この物件はペット禁止なので」
と内心焦りながら平静を装って答える。
「嘘ね」
即座に否定されたうえに断言されてしまったため思わず言葉に詰まってしまう僕。その様子を見たからか更に追い討ちをかけるように質問してくる彼女。
「その子からは邪気を感じるわ。普通の人間じゃないわね。それに、部屋の中に黒い毛がいっぱい落ちてるわね」
と彩芽という女性が言ってくるので、これは間違いなく誘導尋問だと即座に判断して、
「黒い毛? どこに落ちてるんですか?」
と僕はただ本当に毛は落ちていませんよとアピールする。
実際瑠衣ちゃんは抜け毛を出さないので部屋は汚れていないのである。
すると彼女はニヤッと笑って、
「猫又は猫の姿で居ても毛が抜けないの。人間の姿に変身してる時もそう、髪の毛や体毛が抜けないの。抜け毛には邪気がこもるから、毛が落ちてるとわたしのような退魔師に存在を悟られてしまうからね。髪の長い女の子が一人部屋に居るのに、髪の毛一本も落ちてないのは不自然すぎるわ」
いきなり訪ねてきた女性は僕にこう言ってきた。
……猫又ってなんだ?
もしかして猫から人間に変わった瑠衣ちゃんのことか?
なんでこの人は瑠衣ちゃんのことを知ってる?
その前に情報があったってなんだ?
誰かに見られたといっても、猫の姿の瑠衣ちゃんが見られたことは無いはずだ。
猫の瑠衣ちゃんを外から見られるタイミングといえば、一番最初に路上で瑠衣ちゃんに出会って、腕に抱えて内緒でアパートへ連れてくる間だけ。
それからは人間に変わっている。
たまに猫の姿になることはあったけどそれは全て部屋の中での出来事である。
誰かに見られることは考えにくい。
瑠衣ちゃんは親戚の従妹が居候したということにして大家さんに報告している。
なのに、この人は猫又が居るなどとまるで猫の姿の瑠衣ちゃんを知っているかのような発言をしてくる。
わからないことだらけだが、とりあえずなんとか切り抜けなければならない。
「えーと、あなたは誰ですか?」
と聞いてみると、
「わたしは桜守彩芽と言います。この近所にある稲荷神社の巫女です」
と答えたあと続けて彼女は言った。
「単刀直入に言いますが、あなたが飼っているその黒猫は猫又ですよね?」
と言ったあと僕の後ろの方に視線をやったため振り返ると、いつの間にか目を覚ましていた瑠衣ちゃんがこちらを見ていた。
「なんじゃ?」
と顔を出すので、僕は慌てて『来ちゃダメだ』とアイコンタクトを取る。
なんで瑠衣ちゃんの猫の姿が黒猫だと知ってるんだ?
と疑問が浮かぶが、それを顔に出したらダメだ。
「僕は猫なんて飼ってませんよ。居るのは従妹の瑠衣ちゃんです。この物件はペット禁止なので」
と内心焦りながら平静を装って答える。
「嘘ね」
即座に否定されたうえに断言されてしまったため思わず言葉に詰まってしまう僕。その様子を見たからか更に追い討ちをかけるように質問してくる彼女。
「その子からは邪気を感じるわ。普通の人間じゃないわね。それに、部屋の中に黒い毛がいっぱい落ちてるわね」
と彩芽という女性が言ってくるので、これは間違いなく誘導尋問だと即座に判断して、
「黒い毛? どこに落ちてるんですか?」
と僕はただ本当に毛は落ちていませんよとアピールする。
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すると彼女はニヤッと笑って、
「猫又は猫の姿で居ても毛が抜けないの。人間の姿に変身してる時もそう、髪の毛や体毛が抜けないの。抜け毛には邪気がこもるから、毛が落ちてるとわたしのような退魔師に存在を悟られてしまうからね。髪の長い女の子が一人部屋に居るのに、髪の毛一本も落ちてないのは不自然すぎるわ」
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