6 / 6
6.もしも、ペットが人間の言葉を話したら
しおりを挟む
もしも、ペットが人間のようにお喋りすることができたら。そんなことを考えたことはあるだろうか。
誰しもタイトルくらいは聞いたことがあるだろう、十数年続く某女児向け変身アニメのシリーズがある。ほぼ毎年主人公が交代していくかのシリーズ、今年はペットの犬や猫が人間の姿になって、飼い主と一緒に変身して戦うのだが、あんなふうにペットと意思疎通出来たら……個人的には遠慮したいと思う。
犬は忠義の生き物だから、飼い主大好きかもしれないが、猫はああはならんだろうな、と思う。子供向けアニメだし、夢のないことを言うのは野暮というものかもしれないが。
でも猫は室内で飼ってほしいと思う。半分外に出しておいて、「どこかに行って帰ってこない」はないだろう、と思ったエピソードがあったし、子供たちが真似して飼い猫を外に出したり、散歩に連れて行ったりして逸走させやしないかと思ったが、まあそれは置いておこう。
いややっぱりこれだけは言っておきたい。ねこはうち!
先日職場で、何かの流れで「猫を飼ってるんですよ」という話をした。そうしたら、「散歩とかするの?」と言われた。
内心「えっ?」と思った。猫の散歩は、思った以上に広がっているのかもしれない。
譲渡元の施設は、完全室内飼いが譲渡条件だったし、外で辛い思いをしてきた元野良猫だ、また外に出して迷子にでもなったら大変だ。
私も知識のない一昔前だったら、外に出したりしていたかもしれない。猫の飼い方を調べようとすると、「散歩をさせるのがよい」と書いてある雑誌やネットの記事も出てくる。散歩をさせているSNSのインフルエンサーの影響もあるだろう。
でも、やっぱりそれは誤りだと思う。「猫は家につく」と言われるように、猫は自分の縄張りと定めた範囲で暮らすのが落ち着く生き物なのだ。外に出せば、ダニやノミがついたりするかもしれないし、感染症のリスクも上がる。
運動不足を解消するには、おもちゃで遊んであげたり、キャットタワーを用意したりすればいい。そして、「猫は液体」と言われるように、彼らは関節が柔軟にできているので、ハーネスをすり抜けてしまうこともある。迷子になったら、帰って来られないかもしれない。そう考えると、猫は快適な家の中でぬくぬく暮らすのがいいと思う。
話が逸れた。
もし、うちの猫が人間の言葉を喋ったら。私は文句をたらたら言われる予感がする。
もっと美味いご飯を用意しろとか、量もたくさん食べたいとか、たまにはマグロの刺身や肉が食べたいとか、寝ているときに撫で繰り回すなとか、広い部屋で思い切り走りたいとか、爪切りや病院は嫌だとか。それこそ、「外で遊びたい」とか言われるかもしれない。
人間のエゴで、動物に嫌なことを強いていることもあるだろうな、と思う。
気持ちよく寝ているときに、お腹を撫で回されたりしたら嫌だろうし、何かのはずみで「シャーッ!」と威嚇した時に、「もう一回お口見せて? 歯はきれい?」とか言われたら「何やコイツふざけてんのか」と思うだろう。
それでも、一緒に快適に暮らすためには、やらなければいけないことがある。
通院が必要な時もあるし、爪切りや投薬も必要なことだ。太りすぎてはいけないから、ご飯の量も決めているし、たまに鶏のささみや刺身を買ったときは、茹でてほんの少しお裾分けしているけれど、そればかりでは栄養が偏る。金持ちだったらもっと広い部屋に住んで、大きなキャットタワーとかを置いて自由に遊ばせてやりたいけれど、現状では難しい。文句を言われるだろうなと思うことは、満足にしてやれていないと思うことの裏返しかもしれない。
そもそも、動物をペットとして囲うこと自体がエゴかもしれない。しかし、共に暮らす以上は、彼らの健康を願って、嫌がられることもしないといけないのが、飼い主の責任だと思う。世の中全ての人が動物好きではないし、周囲への配慮という面もある。
忘れてはいけないのは、犬も猫も、他の動物も、人間とは違う生き物だということだ。人間が食べられるものでも、彼らには毒になることがあるし、身体の特性も違う。人間の常識は、動物には通用しない。
実際に猫を飼い始めて、苦手になってしまったものがある。猫が人間と同じように思考しているかのように台詞が当てられた、ほのぼの系猫漫画だ。フィクションにあまりグダグダ言うのも野暮だろうが、人と動物は違う生き物であるということをわきまえていきたいと思う。たまに「この子、『病院』とか『爪切り』とか理解してるのかな」と思う時もあるが、それはまた別の話だ。
最近お気に入りの猫漫画は、キュルZ氏の『夜は猫といっしょ』(KADOKAWA)である。猫あるあるがリアルで、猫の柔らかさが再現された絵が可愛いので、おすすめしておく。
誰しもタイトルくらいは聞いたことがあるだろう、十数年続く某女児向け変身アニメのシリーズがある。ほぼ毎年主人公が交代していくかのシリーズ、今年はペットの犬や猫が人間の姿になって、飼い主と一緒に変身して戦うのだが、あんなふうにペットと意思疎通出来たら……個人的には遠慮したいと思う。
犬は忠義の生き物だから、飼い主大好きかもしれないが、猫はああはならんだろうな、と思う。子供向けアニメだし、夢のないことを言うのは野暮というものかもしれないが。
でも猫は室内で飼ってほしいと思う。半分外に出しておいて、「どこかに行って帰ってこない」はないだろう、と思ったエピソードがあったし、子供たちが真似して飼い猫を外に出したり、散歩に連れて行ったりして逸走させやしないかと思ったが、まあそれは置いておこう。
いややっぱりこれだけは言っておきたい。ねこはうち!
先日職場で、何かの流れで「猫を飼ってるんですよ」という話をした。そうしたら、「散歩とかするの?」と言われた。
内心「えっ?」と思った。猫の散歩は、思った以上に広がっているのかもしれない。
譲渡元の施設は、完全室内飼いが譲渡条件だったし、外で辛い思いをしてきた元野良猫だ、また外に出して迷子にでもなったら大変だ。
私も知識のない一昔前だったら、外に出したりしていたかもしれない。猫の飼い方を調べようとすると、「散歩をさせるのがよい」と書いてある雑誌やネットの記事も出てくる。散歩をさせているSNSのインフルエンサーの影響もあるだろう。
でも、やっぱりそれは誤りだと思う。「猫は家につく」と言われるように、猫は自分の縄張りと定めた範囲で暮らすのが落ち着く生き物なのだ。外に出せば、ダニやノミがついたりするかもしれないし、感染症のリスクも上がる。
運動不足を解消するには、おもちゃで遊んであげたり、キャットタワーを用意したりすればいい。そして、「猫は液体」と言われるように、彼らは関節が柔軟にできているので、ハーネスをすり抜けてしまうこともある。迷子になったら、帰って来られないかもしれない。そう考えると、猫は快適な家の中でぬくぬく暮らすのがいいと思う。
話が逸れた。
もし、うちの猫が人間の言葉を喋ったら。私は文句をたらたら言われる予感がする。
もっと美味いご飯を用意しろとか、量もたくさん食べたいとか、たまにはマグロの刺身や肉が食べたいとか、寝ているときに撫で繰り回すなとか、広い部屋で思い切り走りたいとか、爪切りや病院は嫌だとか。それこそ、「外で遊びたい」とか言われるかもしれない。
人間のエゴで、動物に嫌なことを強いていることもあるだろうな、と思う。
気持ちよく寝ているときに、お腹を撫で回されたりしたら嫌だろうし、何かのはずみで「シャーッ!」と威嚇した時に、「もう一回お口見せて? 歯はきれい?」とか言われたら「何やコイツふざけてんのか」と思うだろう。
それでも、一緒に快適に暮らすためには、やらなければいけないことがある。
通院が必要な時もあるし、爪切りや投薬も必要なことだ。太りすぎてはいけないから、ご飯の量も決めているし、たまに鶏のささみや刺身を買ったときは、茹でてほんの少しお裾分けしているけれど、そればかりでは栄養が偏る。金持ちだったらもっと広い部屋に住んで、大きなキャットタワーとかを置いて自由に遊ばせてやりたいけれど、現状では難しい。文句を言われるだろうなと思うことは、満足にしてやれていないと思うことの裏返しかもしれない。
そもそも、動物をペットとして囲うこと自体がエゴかもしれない。しかし、共に暮らす以上は、彼らの健康を願って、嫌がられることもしないといけないのが、飼い主の責任だと思う。世の中全ての人が動物好きではないし、周囲への配慮という面もある。
忘れてはいけないのは、犬も猫も、他の動物も、人間とは違う生き物だということだ。人間が食べられるものでも、彼らには毒になることがあるし、身体の特性も違う。人間の常識は、動物には通用しない。
実際に猫を飼い始めて、苦手になってしまったものがある。猫が人間と同じように思考しているかのように台詞が当てられた、ほのぼの系猫漫画だ。フィクションにあまりグダグダ言うのも野暮だろうが、人と動物は違う生き物であるということをわきまえていきたいと思う。たまに「この子、『病院』とか『爪切り』とか理解してるのかな」と思う時もあるが、それはまた別の話だ。
最近お気に入りの猫漫画は、キュルZ氏の『夜は猫といっしょ』(KADOKAWA)である。猫あるあるがリアルで、猫の柔らかさが再現された絵が可愛いので、おすすめしておく。
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
あなたが選んだのは私ではありませんでした 裏切られた私、ひっそり姿を消します
矢野りと
恋愛
旧題:贖罪〜あなたが選んだのは私ではありませんでした〜
言葉にして結婚を約束していたわけではないけれど、そうなると思っていた。
お互いに気持ちは同じだと信じていたから。
それなのに恋人は別れの言葉を私に告げてくる。
『すまない、別れて欲しい。これからは俺がサーシャを守っていこうと思っているんだ…』
サーシャとは、彼の亡くなった同僚騎士の婚約者だった人。
愛している人から捨てられる形となった私は、誰にも告げずに彼らの前から姿を消すことを選んだ。

愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
婚約者を想うのをやめました
かぐや
恋愛
女性を侍らしてばかりの婚約者に私は宣言した。
「もうあなたを愛するのをやめますので、どうぞご自由に」
最初は婚約者も頷くが、彼女が自分の側にいることがなくなってから初めて色々なことに気づき始める。
*書籍化しました。応援してくださった読者様、ありがとうございます。
読まれない小説はもう卒業! 最後まで読んでもらえる小説の書き方|なぜ続きを読んでもらえないの? 小説の離脱ポイントを分析しました。
宇美
エッセイ・ノンフィクション
私はいままでたくさんのweb小説を読み始めて、途中でつまらなくなって、読むのをやめました。
なぜ読むのをやめてしまったのか…… このエッセイでは、離脱ポイントを分析解説しています。
あなたの執筆に役に立つこと間違いなしです。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる