61 / 74
第九章 少女は王宮の夢を見るか
#10
しおりを挟む
それから数刻の後、エディリーンは旅支度を整え、王都を発った。先導するのは、サイラスと、彼の従者として来ていた、騎士団の若者。周りには、しばらく所用で家に戻るということにしてもらった。
のんびりした旅とはいかないが、いつかのように全力疾走まではせず、馬が潰れない程度に可能な限りの速さで、南へ駆けていた。
馬に乗るのも久しぶりだった。遊びに行くわけではないが、普段より少し高い景色も、頬を通り過ぎていく風も、心地よかった。
王都を発って翌日の昼には、リーリエ砦に到着した。少し休憩した後、早速周囲の見回りを開始する。
騎士団の役目は、戦だけではない。平時は、周辺の治安維持も担っている。領内で何かあれば、騎士団に訴えが来るので、責任をもって対処しなければならない。騎士団のいない地域では、各領主がその役目を負っている。
団長のサイラスは何かあった時のために砦に残り、エディリーンは三名ほどの騎士団員と共に、見回りに出た。
砦の周辺は木々が生い茂る森の中だが、そこを抜けた平地には、農村が点在している。被害に遭っているのは、その村だった。
襲撃は、時間も場所も一貫性がないらしい。少人数の部隊を編成して見回りを増やしてはいるが、犯人が現れても遠くから魔術で攻撃され、その姿を視界に捉えても、射程に入る前にかき消すように姿を消してしまうという話だった。
姿を消すということは、幻惑の魔術でも使うのか。それとも、空間転移を使うのだとしたら厄介だが、あれは術式が複雑な上に、マナの消費量も大きい。使える人間はそうそういないはずだが。
村と、その周辺の森の中を見回るうちに、日が暮れてきた。探査術も常に発動し、警戒を怠らずにいるが、異常はない。
しかし、見回りを始めてしばらく経った時、不意に近くでマナを練り上げる気配がして、そちらを振り向いた瞬間には木々の合間を縫って、炎の礫が飛んできた。エディリーンは腕の一振りで空気中の水分を凝縮し、それに当てて霧散させる。
水蒸気で束の間視界が遮られるが、風を起こして吹き飛ばした。エディリーンの背後にいた騎士たちが、剣を抜き、あるいは弓に矢をつがえ、臨戦態勢を取る。すると、木立の向こうからゆらりと余裕に満ちた動作で現れた影があった。
「あはっ、ほんとだぁ。お前、生きてたんだぁ」
にたにたと意地の悪そうな笑みを浮かべているのは、エディリーンと同じくらいの年頃に見える少年だった。黒の上下に黒い外套という、全身黒ずくめの出で立ちだった。その中で目を引く赤みを帯びた金髪が、夕日に照らし出されて輝いている。まだ少し幼さの残る顎の細い輪郭の中で、琥珀色の瞳がぎらりと怪しく光った。
「この辺で暴れていれば、お前が出てくるだろうって言われたけど、その通りだったわけだ」
「……貴様、何者だ。何を言っている」
エディリーンを始め騎士たちは一層警戒を強める。しかし、少年はこちらの言っていることが聞こえていないかのように、ゆったりと草を踏みつけながら、一歩、二歩と近付いてくる。
「お前、今は貴族のお嬢様なんだって? 笑える」
こちらを知っているような口ぶりだったが、その言葉で少年がエディリーンを指しているということが確定した。
追従していた騎士たちは驚愕と困惑の入り混じったような視線を彼女に向けるが、一番戸惑っているのはエディリーン本人だ。
しかし、当惑は一瞬だった。何度も窮地を潜り抜けてきた戦士らしく、瞬時に気持ちを切り替え、一層表情を厳しくして相手を睨みつける。
「質問に答えろ。貴様、何者だ」
鋭い声に少年はわざとらしく目を見開き、肩をすくめる。
「あっれえ、俺のこと覚えてないんだ。薄情だなぁ、〝零番目〞」
胸の奥がざわりと粟立つ。記憶の奥底に沈めたその呼び名が、苦い思いと共に蘇る。
刹那、エディリーンは地面を蹴った。足場の悪い中を走りながら、足元に力を込める。マナを操ったエディリーンは、地面を隆起させ、少年の退路を断った。そこに生えていた蔦を伸ばし、少年の手足を絡め取ったが、少年は相変わらずにやついた表情のまま、逃げようともしない。
エディリーンの剣の切っ先が少年に届こうとした刹那、目の前で炎が上がった。間一髪、エディリーンは防護結界を展開してそれを防ぐ。周りへの延焼も防ぐことができたが、エディリーンは今度こそ、隠しきれない驚愕に目を見開いた。
(今のは……)
彼は、呪文の詠唱をしていなかった。通常、魔術を使うには、言霊を唱えなければならない。それなしで術を行使できるのは、理由はわからないながらも自分だけだと思っていたが。
少年は自分を拘束していた蔦も焼き切り、平然と立っている。
「へえ、意外とやるじゃん。ただマナの保有量が多いだけの役立たずのままじゃないってことか」
少年は更なる攻撃の構えを見せる。
「下がれ」
エディリーンは背後の騎士たちをかばうように片手を広げ、もう片方の手にマナを集中する。
その時、少年の背後から、もう一人、別の男が現れた。
「遊びは程々にしておけ」
少年とは対照的に、落ち着き払った響きの声だった。少年よりもいくつか年長に見える。服装は、同じく黒い服に黒い外套を身に着け、短く刈り込んだ黒髪に瞳は青だった。
その男も強い力を持っていることが、エディリーンにはわかった。相手の手の内が分からない以上、下手に手は出せない。
「あれに関しては、今回は所在の確認のみ。どうこうしろとは言われていない」
たしなめられた少年は、不服そうに口元を歪める。
「んだよ、いいじゃねえか、ちょっとくらい。ここで会ったが百年目ってヤツだろうが」
「俺たちは与えられた任務をこなすだけだ」
淡々と言う黒髪の男に、少年は悪態を吐く。
「ちぇっ、つまんねえの。犬かよ。ってーか、そっちの首尾はどうなんだよ」
「こちらは終わった。ここはもういい。行くぞ」
男は何かを小脇に抱えている。目を凝らすと、それは一冊の本だった。わずかだが、マナが宿っているのを感じる。おそらくは、何かの魔術書だ。
少年はエディリーンに視線を戻し、声を一段低めた。
「許さねえからな、裏切り者。お前は、俺が必ず殺してやる」
そう言うと、黒ずくめの二人は地面に何かを投げ落とした。その瞬間、光と風が巻き起こり、二人を包む。エディリーンたちは思わず目をつむり、腕で顔を覆った。
それが収まった時、彼らの姿は消え失せていた。
のんびりした旅とはいかないが、いつかのように全力疾走まではせず、馬が潰れない程度に可能な限りの速さで、南へ駆けていた。
馬に乗るのも久しぶりだった。遊びに行くわけではないが、普段より少し高い景色も、頬を通り過ぎていく風も、心地よかった。
王都を発って翌日の昼には、リーリエ砦に到着した。少し休憩した後、早速周囲の見回りを開始する。
騎士団の役目は、戦だけではない。平時は、周辺の治安維持も担っている。領内で何かあれば、騎士団に訴えが来るので、責任をもって対処しなければならない。騎士団のいない地域では、各領主がその役目を負っている。
団長のサイラスは何かあった時のために砦に残り、エディリーンは三名ほどの騎士団員と共に、見回りに出た。
砦の周辺は木々が生い茂る森の中だが、そこを抜けた平地には、農村が点在している。被害に遭っているのは、その村だった。
襲撃は、時間も場所も一貫性がないらしい。少人数の部隊を編成して見回りを増やしてはいるが、犯人が現れても遠くから魔術で攻撃され、その姿を視界に捉えても、射程に入る前にかき消すように姿を消してしまうという話だった。
姿を消すということは、幻惑の魔術でも使うのか。それとも、空間転移を使うのだとしたら厄介だが、あれは術式が複雑な上に、マナの消費量も大きい。使える人間はそうそういないはずだが。
村と、その周辺の森の中を見回るうちに、日が暮れてきた。探査術も常に発動し、警戒を怠らずにいるが、異常はない。
しかし、見回りを始めてしばらく経った時、不意に近くでマナを練り上げる気配がして、そちらを振り向いた瞬間には木々の合間を縫って、炎の礫が飛んできた。エディリーンは腕の一振りで空気中の水分を凝縮し、それに当てて霧散させる。
水蒸気で束の間視界が遮られるが、風を起こして吹き飛ばした。エディリーンの背後にいた騎士たちが、剣を抜き、あるいは弓に矢をつがえ、臨戦態勢を取る。すると、木立の向こうからゆらりと余裕に満ちた動作で現れた影があった。
「あはっ、ほんとだぁ。お前、生きてたんだぁ」
にたにたと意地の悪そうな笑みを浮かべているのは、エディリーンと同じくらいの年頃に見える少年だった。黒の上下に黒い外套という、全身黒ずくめの出で立ちだった。その中で目を引く赤みを帯びた金髪が、夕日に照らし出されて輝いている。まだ少し幼さの残る顎の細い輪郭の中で、琥珀色の瞳がぎらりと怪しく光った。
「この辺で暴れていれば、お前が出てくるだろうって言われたけど、その通りだったわけだ」
「……貴様、何者だ。何を言っている」
エディリーンを始め騎士たちは一層警戒を強める。しかし、少年はこちらの言っていることが聞こえていないかのように、ゆったりと草を踏みつけながら、一歩、二歩と近付いてくる。
「お前、今は貴族のお嬢様なんだって? 笑える」
こちらを知っているような口ぶりだったが、その言葉で少年がエディリーンを指しているということが確定した。
追従していた騎士たちは驚愕と困惑の入り混じったような視線を彼女に向けるが、一番戸惑っているのはエディリーン本人だ。
しかし、当惑は一瞬だった。何度も窮地を潜り抜けてきた戦士らしく、瞬時に気持ちを切り替え、一層表情を厳しくして相手を睨みつける。
「質問に答えろ。貴様、何者だ」
鋭い声に少年はわざとらしく目を見開き、肩をすくめる。
「あっれえ、俺のこと覚えてないんだ。薄情だなぁ、〝零番目〞」
胸の奥がざわりと粟立つ。記憶の奥底に沈めたその呼び名が、苦い思いと共に蘇る。
刹那、エディリーンは地面を蹴った。足場の悪い中を走りながら、足元に力を込める。マナを操ったエディリーンは、地面を隆起させ、少年の退路を断った。そこに生えていた蔦を伸ばし、少年の手足を絡め取ったが、少年は相変わらずにやついた表情のまま、逃げようともしない。
エディリーンの剣の切っ先が少年に届こうとした刹那、目の前で炎が上がった。間一髪、エディリーンは防護結界を展開してそれを防ぐ。周りへの延焼も防ぐことができたが、エディリーンは今度こそ、隠しきれない驚愕に目を見開いた。
(今のは……)
彼は、呪文の詠唱をしていなかった。通常、魔術を使うには、言霊を唱えなければならない。それなしで術を行使できるのは、理由はわからないながらも自分だけだと思っていたが。
少年は自分を拘束していた蔦も焼き切り、平然と立っている。
「へえ、意外とやるじゃん。ただマナの保有量が多いだけの役立たずのままじゃないってことか」
少年は更なる攻撃の構えを見せる。
「下がれ」
エディリーンは背後の騎士たちをかばうように片手を広げ、もう片方の手にマナを集中する。
その時、少年の背後から、もう一人、別の男が現れた。
「遊びは程々にしておけ」
少年とは対照的に、落ち着き払った響きの声だった。少年よりもいくつか年長に見える。服装は、同じく黒い服に黒い外套を身に着け、短く刈り込んだ黒髪に瞳は青だった。
その男も強い力を持っていることが、エディリーンにはわかった。相手の手の内が分からない以上、下手に手は出せない。
「あれに関しては、今回は所在の確認のみ。どうこうしろとは言われていない」
たしなめられた少年は、不服そうに口元を歪める。
「んだよ、いいじゃねえか、ちょっとくらい。ここで会ったが百年目ってヤツだろうが」
「俺たちは与えられた任務をこなすだけだ」
淡々と言う黒髪の男に、少年は悪態を吐く。
「ちぇっ、つまんねえの。犬かよ。ってーか、そっちの首尾はどうなんだよ」
「こちらは終わった。ここはもういい。行くぞ」
男は何かを小脇に抱えている。目を凝らすと、それは一冊の本だった。わずかだが、マナが宿っているのを感じる。おそらくは、何かの魔術書だ。
少年はエディリーンに視線を戻し、声を一段低めた。
「許さねえからな、裏切り者。お前は、俺が必ず殺してやる」
そう言うと、黒ずくめの二人は地面に何かを投げ落とした。その瞬間、光と風が巻き起こり、二人を包む。エディリーンたちは思わず目をつむり、腕で顔を覆った。
それが収まった時、彼らの姿は消え失せていた。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
無職ニートの俺は気が付くと聯合艦隊司令長官になっていた
中七七三
ファンタジー
■■アルファポリス 第1回歴史・時代小説大賞 読者賞受賞■■
無職ニートで軍ヲタの俺が太平洋戦争時の聯合艦隊司令長官となっていた。
これは、別次元から来た女神のせいだった。
その次元では日本が勝利していたのだった。
女神は、神国日本が負けた歴史の世界が許せない。
なぜか、俺を真珠湾攻撃直前の時代に転移させ、聯合艦隊司令長官にした。
軍ヲタ知識で、歴史をどーにかできるのか?
日本勝たせるなんて、無理ゲーじゃねと思いつつ、このままでは自分が死ぬ。
ブーゲンビルで機上戦死か、戦争終わって、戦犯で死刑だ。
この運命を回避するため、必死の戦いが始まった。
参考文献は、各話の最後に掲載しています。完結後に纏めようかと思います。
使用している地図・画像は自作か、ライセンスで再利用可のものを検索し使用しています。
表紙イラストは、ヤングマガジンで賞をとった方が画いたものです。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
SEVEN TRIGGER
匿名BB
SF
20xx年、科学のほかに魔術も発展した現代世界、伝説の特殊部隊「SEVEN TRIGGER」通称「S.T」は、かつて何度も世界を救ったとされる世界最強の特殊部隊だ。
隊員はそれぞれ1つの銃器「ハンドガン」「マシンガン」「ショットガン」「アサルトライフル」「スナイパーライフル」「ランチャー」「リボルバー」を極めたスペシャリストによって構成された部隊である。
その中で「ハンドガン」を極め、この部隊の隊長を務めていた「フォルテ・S・エルフィー」は、ある事件をきっかけに日本のとある港町に住んでいた。
長年の戦場での生活から離れ、珈琲カフェを営みながら静かに暮らしていたフォルテだったが、「セイナ・A・アシュライズ」との出会いをきっかけに、再び戦いの世界に身を投じていくことになる。
マイペースなフォルテ、生真面目すぎるセイナ、性格の合わない2人はケンカしながらも、互いに背中を預けて悪に立ち向かう。現代SFアクション&ラブコメディー
貞操逆転世界の温泉で、三助やることに成りました
峯松めだか(旧かぐつち)
ファンタジー
貞操逆転で1/100な異世界に迷い込みました
不意に迷い込んだ貞操逆転世界、男女比は1/100、色々違うけど、それなりに楽しくやらせていただきます。
カクヨムで11万文字ほど書けたので、こちらにも置かせていただきます。
ストック切れるまでは毎日投稿予定です
ジャンルは割と謎、現実では無いから異世界だけど、剣と魔法では無いし、現代と言うにも若干微妙、恋愛と言うには雑音多め? デストピア文学ぽくも見えるしと言う感じに、ラブコメっぽいという事で良いですか?
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる