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第一部 序章
序
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何事もなく、順調に事が運ぶかに思えた。しかし、穏やかに馬を進めていたところ、突如、爆炎が上がった。舞い上がる土煙で視界を遮られるが、剣を抜き、何が起きても対処できるよう周囲の気配を探る。
そこに、黒い衣をまとった一団が襲いかかった。
すぐさま応戦するが、相手の数が多い。こちらはたったの二人なのに対して、向こうは七、八人はいる。しかも、相当な手練れだ。ただの物取りなどではありえない、計画的な襲撃だろう。
敵の狙いは、馬に乗せた荷だ。運んでいるものは金貨や宝石のように価値のあるものではなく、狙われることはないだろう踏んでいたが、甘かったようだ。
しかし、後悔しても事態は好転しない。今は全力で戦うしかなかった。
荷を守りつつ、襲い来る襲撃者たちを迎え撃つ。そこらの相手に後れを取るつもりはないが、数の不利は覆せない。一人、二人と倒していくが、
「師匠!」
視界の隅に、同行していた女性が背中を斬られて倒れるのが見えた。この人は魔術には秀でているが、武器での近接戦には向いていないのだ。
急いで駆け寄り、女性に刃を向けた敵を斬り伏せる。そして、女性を助け起こそうとするが、
「構うな! 荷を守れ!」
女性は鋭く叫ぶが、遅かった。
襲撃者たちは、馬にくくりつけていた荷を解き、厳重に封印が施されたそれを手に取っていた。幾重にも護符が張られたその上からでも、禍々しい気が漏れ出ているのがわかる。
「逃がさない!」
強く踏み込んで一気に距離を詰めるが、魔力が収束する気配を感じた。
直後、目の前で爆発が起きる。間一髪のところで防御魔法で防ぎ、難を逃れた。だが。
「くそっ……!」
土煙が収まっても、襲撃者の姿はもう見えなかった。
そこに、黒い衣をまとった一団が襲いかかった。
すぐさま応戦するが、相手の数が多い。こちらはたったの二人なのに対して、向こうは七、八人はいる。しかも、相当な手練れだ。ただの物取りなどではありえない、計画的な襲撃だろう。
敵の狙いは、馬に乗せた荷だ。運んでいるものは金貨や宝石のように価値のあるものではなく、狙われることはないだろう踏んでいたが、甘かったようだ。
しかし、後悔しても事態は好転しない。今は全力で戦うしかなかった。
荷を守りつつ、襲い来る襲撃者たちを迎え撃つ。そこらの相手に後れを取るつもりはないが、数の不利は覆せない。一人、二人と倒していくが、
「師匠!」
視界の隅に、同行していた女性が背中を斬られて倒れるのが見えた。この人は魔術には秀でているが、武器での近接戦には向いていないのだ。
急いで駆け寄り、女性に刃を向けた敵を斬り伏せる。そして、女性を助け起こそうとするが、
「構うな! 荷を守れ!」
女性は鋭く叫ぶが、遅かった。
襲撃者たちは、馬にくくりつけていた荷を解き、厳重に封印が施されたそれを手に取っていた。幾重にも護符が張られたその上からでも、禍々しい気が漏れ出ているのがわかる。
「逃がさない!」
強く踏み込んで一気に距離を詰めるが、魔力が収束する気配を感じた。
直後、目の前で爆発が起きる。間一髪のところで防御魔法で防ぎ、難を逃れた。だが。
「くそっ……!」
土煙が収まっても、襲撃者の姿はもう見えなかった。
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