94 / 94
第五章 慟哭のヘルプマン
12 エピローグ
しおりを挟む
この日、電脳捜査課の課長室に黒岩銀次郎は呼び出されていた。
「黒岩さん、ごめんなさいね急な事で」
「いいえ、大丈夫です。で、何か?」
「次の人事異動で捜査一課への異動の内示が出たのだけれど、どうしますか? 前からの希望よね。受けて良いかしら?」
「後藤課長の所ですね……」
「ええ、課長さん直々の推しみたいよ。貴方にとっては良い事でしょう」
白河課長の問いかけに銀次郎は逆に質問で返した。
「課長は、それで良いんですか。俺はまだここに来て半年ですけど?」
「本音で言うわよ。良い訳ないでしょ。わたしが赤羽君と一緒に指名して引っ張ったのよ。そして、結果を出した、予想以上の結果をね、今さら返してくれなんてどの口が言うのよ!」白河は本音をはっきりと銀次郎に話した。
銀次郎もそれに答えて言う。
「分かりました! 課長、今回は辞退します。後藤課長にはよろしくお伝えください」
「ありがとう、安心したわ」
「安心ついでにもう一つお願いがあるのですが……」
「何かしら? 人事の事?」
「ええ、一人こちらに引っ張って欲しいのが居るんですけど」銀次郎の要求に白河課長は当然とばかりに答えた。
「それなら大丈夫よ。もう手配済みだから」阿吽の呼吸であった。
「では、よろしくお願いします」
そう言って銀次郎は課長室を後にした。
三ヶ月後、人事異動の季節になる。
「失礼します」
「この度、電脳捜査課に異動になりました。中山小雪巡査であります」大きな段ボールを抱えながら入ってくる。
「ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします」そう言って段ボールを下に置き、きちっと敬礼をした。
「来たな、小雪。みっちりとしごいてやるぞ。覚悟しておけよ」悪人顔で銀次郎が脅かす。
「はい。望む所です」負けじと小雪も引きつった笑顔を作った。
これからまた、新しい電脳捜査課が動き出すような予感がした。
第五章 慟哭のヘルプマン 完
「黒岩さん、ごめんなさいね急な事で」
「いいえ、大丈夫です。で、何か?」
「次の人事異動で捜査一課への異動の内示が出たのだけれど、どうしますか? 前からの希望よね。受けて良いかしら?」
「後藤課長の所ですね……」
「ええ、課長さん直々の推しみたいよ。貴方にとっては良い事でしょう」
白河課長の問いかけに銀次郎は逆に質問で返した。
「課長は、それで良いんですか。俺はまだここに来て半年ですけど?」
「本音で言うわよ。良い訳ないでしょ。わたしが赤羽君と一緒に指名して引っ張ったのよ。そして、結果を出した、予想以上の結果をね、今さら返してくれなんてどの口が言うのよ!」白河は本音をはっきりと銀次郎に話した。
銀次郎もそれに答えて言う。
「分かりました! 課長、今回は辞退します。後藤課長にはよろしくお伝えください」
「ありがとう、安心したわ」
「安心ついでにもう一つお願いがあるのですが……」
「何かしら? 人事の事?」
「ええ、一人こちらに引っ張って欲しいのが居るんですけど」銀次郎の要求に白河課長は当然とばかりに答えた。
「それなら大丈夫よ。もう手配済みだから」阿吽の呼吸であった。
「では、よろしくお願いします」
そう言って銀次郎は課長室を後にした。
三ヶ月後、人事異動の季節になる。
「失礼します」
「この度、電脳捜査課に異動になりました。中山小雪巡査であります」大きな段ボールを抱えながら入ってくる。
「ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします」そう言って段ボールを下に置き、きちっと敬礼をした。
「来たな、小雪。みっちりとしごいてやるぞ。覚悟しておけよ」悪人顔で銀次郎が脅かす。
「はい。望む所です」負けじと小雪も引きつった笑顔を作った。
これからまた、新しい電脳捜査課が動き出すような予感がした。
第五章 慟哭のヘルプマン 完
0
お気に入りに追加
1
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
有栖と奉日本『デスペラードをよろしく』
ぴえ
ミステリー
有栖と奉日本シリーズ第十話。
『デスペラード』を手に入れたユースティティアは天使との対決に備えて策を考え、準備を整えていく。
一方で、天使もユースティティアを迎え撃ち、目的を果たそうとしていた。
平等に進む時間
確実に進む時間
そして、決戦のときが訪れる。
表紙・キャラクター制作:studio‐lid様(X:@studio_lid)
この満ち足りた匣庭の中で 三章―Ghost of miniature garden―
至堂文斗
ミステリー
幾度繰り返そうとも、匣庭は――。
『満ち足りた暮らし』をコンセプトとして発展を遂げてきたニュータウン、満生台。
その裏では、医療センターによる謎めいた計画『WAWプログラム』が粛々と進行し、そして避け得ぬ惨劇が街を襲った。
舞台は繰り返す。
三度、二週間の物語は幕を開け、定められた終焉へと砂時計の砂は落ちていく。
変わらない世界の中で、真実を知悉する者は誰か。この世界の意図とは何か。
科学研究所、GHOST、ゴーレム計画。
人工地震、マイクロチップ、レッドアウト。
信号領域、残留思念、ブレイン・マシン・インターフェース……。
鬼の祟りに隠れ、暗躍する機関の影。
手遅れの中にある私たちの日々がほら――また、始まった。
出題篇PV:https://www.youtube.com/watch?v=1mjjf9TY6Io
ドスグロ山の雷人伝説殺人事件
二廻歩
ミステリー
A県とA県にまたがるドスグロ山。その山頂付近に建てられたドスグロ山ホテルに従業員と招待客十二名が訪れる。夜遅く雷鳴の中、招かざる客の登場で一気に雲行きが怪しくなる。翌朝、悲鳴と共に最初の犠牲者が。現場は密室の上に鍵は部屋の中。まるで伝説の『ドスグロ山の雷人』の仕業かのような不可能殺人。閉じ込められた招待客は一晩ごとに殺されていく恐怖に怯えることに。手掛かりは被害者たちの過去とダイイングメッセージと奇妙な絵。これは果たしてミステリーなのか? それともホラー?
明後日探偵・ニチルは果たしてこの難事件から逃れ依頼人の元へたどり着けるだろうか? タイムリミット迫る。
探偵はいつかシリーズ堂々開幕!
どうしてこの街を出ていかない?
島内 航
ミステリー
まだ終戦の痕跡が残る田舎町で、若き女性教師を襲った悲惨な事件。
その半世紀後、お盆の里帰りで戻ってきた主人公は過去の因縁と果たせなかった想いの中で揺れ動く。一枚の絵が繋ぐふたつの時代の謎とは。漫画作品として以前に投稿した拙作「寝過ごしたせいで、いつまでも卒業した実感が湧かない」(11ページ)はこの物語の派生作品です。お目汚しとは存じますが、こちらのほうもご覧いただけると幸いです。
ファイブダラーズ~もう一つの楽園 囚われの少女と伝説の秘宝 夏への招待状シリーズ①
二廻歩
ミステリー
南の楽園グリーズ島マウントシー地区。過去のトラウマから逃れるため外との交流を絶った少女たちはマウントシーの洋館で穏やかな生活を送っていた。祭りが二週間後に迫ったある日一人の男が島を訪れる。男の出現によって今まで隠されていた真実が明らかになっていく。男の目的は一体何なのか? 約六人の男女の出会いと再生を描いたあまりにも危険な十四日間。
物語が進むにつれ謎が解明されていく。終盤にかけて怒涛の展開が待っている。
ヒロイン紹介
岬アリア。美波ブリリアント。島内シンディー。防人ドルチェ。深海エレン。
*表紙画像 藍屋えん 様より(フリーイラスト)
ヒロイン詳細
岬アリア 五人の中で唯一感情が失われていない。
積極的に関わるあまり大河と対立することも。
今年来たばかりでまだ関係は浅い。
美波ブリリアント 過去のトラウマから感情を失っている。
ただ大河を気にかけてる素振り。
そう言う意味では感情は完全には失われていない。
ブリリアント編では一体何が?
島内シンディー ぼくが怖いのは人ではない。銃だ!
シンディー編ではマウントシーの悪夢が……
オオカミが少女を襲う。
防人ドルチェ 大河との秘密の関係。家が貧しい。
ドルチェ編は名前ほど可愛くも甘くもない。
深海エレン 秘祭・月祭りの犠牲者。
エレン編始まる前に物語が……
Strange Days ― 短編・ショートショート集 ―
紗倉亞空生
ミステリー
ミステリがメインのサクッと読める一話完結タイプの短編・ショートショート集です。
ときどき他ジャンルが混ざるかも知れません。
ネタを思いついたら掲載する不定期連載です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる