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第五章 慟哭のヘルプマン

12 エピローグ

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 この日、電脳捜査課の課長室に黒岩銀次郎は呼び出されていた。
「黒岩さん、ごめんなさいね急な事で」
「いいえ、大丈夫です。で、何か?」
「次の人事異動で捜査一課への異動の内示が出たのだけれど、どうしますか? 前からの希望よね。受けて良いかしら?」
「後藤課長の所ですね……」
「ええ、課長さん直々の推しみたいよ。貴方にとっては良い事でしょう」
 白河課長の問いかけに銀次郎は逆に質問で返した。
「課長は、それで良いんですか。俺はまだここに来て半年ですけど?」
「本音で言うわよ。良い訳ないでしょ。わたしが赤羽君と一緒に指名して引っ張ったのよ。そして、結果を出した、予想以上の結果をね、今さら返してくれなんてどの口が言うのよ!」白河は本音をはっきりと銀次郎に話した。
 銀次郎もそれに答えて言う。
「分かりました! 課長、今回は辞退します。後藤課長にはよろしくお伝えください」
「ありがとう、安心したわ」
「安心ついでにもう一つお願いがあるのですが……」
「何かしら? 人事の事?」
「ええ、一人こちらに引っ張って欲しいのが居るんですけど」銀次郎の要求に白河課長は当然とばかりに答えた。
「それなら大丈夫よ。もう手配済みだから」阿吽の呼吸であった。
「では、よろしくお願いします」
 そう言って銀次郎は課長室を後にした。


 三ヶ月後、人事異動の季節になる。

「失礼します」
「この度、電脳捜査課に異動になりました。中山小雪巡査であります」大きな段ボールを抱えながら入ってくる。
「ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします」そう言って段ボールを下に置き、きちっと敬礼をした。
「来たな、小雪。みっちりとしごいてやるぞ。覚悟しておけよ」悪人顔で銀次郎が脅かす。
「はい。望む所です」負けじと小雪も引きつった笑顔を作った。

 これからまた、新しい電脳捜査課が動き出すような予感がした。 

 第五章 慟哭のヘルプマン 完
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