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第五章 慟哭のヘルプマン
03 小雪捜索
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翌日、仁義弘と薫、佳子の交通総務課の三人が揃って電脳捜査課までやってきた。
「俺たちも小雪の捜査に加えてくれ。協力したいんだ」
「わたしたち、お休み取ったから今日、明日は自由に動けるわ。だからお願いします」三人とも真剣だ。
さて、どうしたものかと、白河課長が迷っていると。後ろから黒岩と赤羽のコンビがやって来て話に加わった。
「課長、せっかく休みまで取って来てくれたんだ。お願いしましょう」
「そうですよ。人数は多いほど良いですから」二人は三人の参加に賛成の様だ。
「そう。ならお願いしましょうか」課長も迷っていたが結局賛成した。その前に一度黒岩の顔を見て、黒岩がうなずいたのを確認してから……。
「監禁だろ、そんなに遠くには連れて行けないだろうからな、都内か……」新たに参加したメンバーも加えて作戦会議が始まった。
「でも、どこを探せば良いのか分かるの?」
「そうそう、闇雲に動いて見つけられる範囲じゃないよ」
仁と薫、佳子は真剣に議論に参加している。
「俺たちも具体的にどこから探せば良いのか途方に暮れているんですよ」黒岩は素直に実情を三人に打ち明けた。
「うーん」難しい顔をして考え込んでいた仁が、考えながら話し出す。
「闇雲に当たっても、とてもじゃないが探し当てるなんて無理だ。可能性の高い場所……」
「そうだ! 銀次郎。共犯者が居たろ、あいつ会社の経営者だったよな」
「ええ、そうですよ大企業の経営者です」
「それだ! そいつの所有する倉庫とか空き部屋とかはどうだ?」
「なるほど! 予め確保してある場所があってそこに拉致した」
即座に黒岩と赤羽の二人は駆け出した。留置場に居る共犯者の金城に話を聞くためだ。
それを見送ってから、仁は白河課長に頼みごとをした。
「課長さん。これは、俺たちに行かせてくれないか? あいつらにはもっと大事な事があるだろう。倉庫探しなんかは俺たちで十分だ。なあ、そうだろう?」振り返った仁に薫と佳子が大きくうなずいた。
「任せて、課長さん!」
「わたしたちがやりますから!」
すぐに、金城から許可をもらって、都内に所有する倉庫や事務所のデータを受け取り、仁たちは手分けして捜査を開始した。
「こんなにあるの……」薫は受け取った資料の量にビックリしている。
「待てよ! 全部を当たることは無い。この中で現在使われていない所、このラインが引いてある……おおよそ三十ヶ所ぐらいか」
「俺は、陸側から攻める。お前さんたちは、海側からやってくれ」
「分かったわ!」
「遠くは早めに潰しとけよ。遅くなってから暗い倉庫じゃ、危ないからな」
「分かっているってば」
「怪しいと思ったらすぐに連絡するんだぞ。決して、勝手な行動はとるなよ!」
「もう、仁さんは心配性なんだから。大丈夫だって」
「当たり前だ! お前らを心配して何が悪い」小雪が消えたんだ、仁が心配するのも当然と言えば当然だろう。
「逐次、電脳に報告忘れるなよ!」
「了解!」
三人が慌ただしく出て行った後に、少しの沈黙が残った。
白河課長は自動人形(オートマタ)の一体、桃色(ローズ)に指示を出す。「桃色(ローズ)あの三人のスマホの位置情報をトレースしてちょうだい」
「え?」言われたことが理解出来ずに桃色(ローズ)が聞き返した。
「課長さん。何で?」
聞かれた課長は少し寂しい顔で言いにくそうに答える。
「人間はね。全部が全部、信用出来るとは限らないの……」
「寂しいわね……貴方たち自動人形(オートマタ)には分からないでしょうね……」
そう言って、白河課長は黒岩たち部下の顔を見て微笑んだ。黒岩はうなずき返し、赤羽は苦しそうな顔をしていた。
そう、犯人はまだ特定されていない。
「俺たちも小雪の捜査に加えてくれ。協力したいんだ」
「わたしたち、お休み取ったから今日、明日は自由に動けるわ。だからお願いします」三人とも真剣だ。
さて、どうしたものかと、白河課長が迷っていると。後ろから黒岩と赤羽のコンビがやって来て話に加わった。
「課長、せっかく休みまで取って来てくれたんだ。お願いしましょう」
「そうですよ。人数は多いほど良いですから」二人は三人の参加に賛成の様だ。
「そう。ならお願いしましょうか」課長も迷っていたが結局賛成した。その前に一度黒岩の顔を見て、黒岩がうなずいたのを確認してから……。
「監禁だろ、そんなに遠くには連れて行けないだろうからな、都内か……」新たに参加したメンバーも加えて作戦会議が始まった。
「でも、どこを探せば良いのか分かるの?」
「そうそう、闇雲に動いて見つけられる範囲じゃないよ」
仁と薫、佳子は真剣に議論に参加している。
「俺たちも具体的にどこから探せば良いのか途方に暮れているんですよ」黒岩は素直に実情を三人に打ち明けた。
「うーん」難しい顔をして考え込んでいた仁が、考えながら話し出す。
「闇雲に当たっても、とてもじゃないが探し当てるなんて無理だ。可能性の高い場所……」
「そうだ! 銀次郎。共犯者が居たろ、あいつ会社の経営者だったよな」
「ええ、そうですよ大企業の経営者です」
「それだ! そいつの所有する倉庫とか空き部屋とかはどうだ?」
「なるほど! 予め確保してある場所があってそこに拉致した」
即座に黒岩と赤羽の二人は駆け出した。留置場に居る共犯者の金城に話を聞くためだ。
それを見送ってから、仁は白河課長に頼みごとをした。
「課長さん。これは、俺たちに行かせてくれないか? あいつらにはもっと大事な事があるだろう。倉庫探しなんかは俺たちで十分だ。なあ、そうだろう?」振り返った仁に薫と佳子が大きくうなずいた。
「任せて、課長さん!」
「わたしたちがやりますから!」
すぐに、金城から許可をもらって、都内に所有する倉庫や事務所のデータを受け取り、仁たちは手分けして捜査を開始した。
「こんなにあるの……」薫は受け取った資料の量にビックリしている。
「待てよ! 全部を当たることは無い。この中で現在使われていない所、このラインが引いてある……おおよそ三十ヶ所ぐらいか」
「俺は、陸側から攻める。お前さんたちは、海側からやってくれ」
「分かったわ!」
「遠くは早めに潰しとけよ。遅くなってから暗い倉庫じゃ、危ないからな」
「分かっているってば」
「怪しいと思ったらすぐに連絡するんだぞ。決して、勝手な行動はとるなよ!」
「もう、仁さんは心配性なんだから。大丈夫だって」
「当たり前だ! お前らを心配して何が悪い」小雪が消えたんだ、仁が心配するのも当然と言えば当然だろう。
「逐次、電脳に報告忘れるなよ!」
「了解!」
三人が慌ただしく出て行った後に、少しの沈黙が残った。
白河課長は自動人形(オートマタ)の一体、桃色(ローズ)に指示を出す。「桃色(ローズ)あの三人のスマホの位置情報をトレースしてちょうだい」
「え?」言われたことが理解出来ずに桃色(ローズ)が聞き返した。
「課長さん。何で?」
聞かれた課長は少し寂しい顔で言いにくそうに答える。
「人間はね。全部が全部、信用出来るとは限らないの……」
「寂しいわね……貴方たち自動人形(オートマタ)には分からないでしょうね……」
そう言って、白河課長は黒岩たち部下の顔を見て微笑んだ。黒岩はうなずき返し、赤羽は苦しそうな顔をしていた。
そう、犯人はまだ特定されていない。
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