電脳捜査課 黒岩銀次郎の受難

第三章 奈落のマリオネット

30 点検業者

　一方、地下の監視室で映像解析をしている小雪たちのグループは手分けをして、昨日の清掃員の動きと数日前の点検業者の動きをチェックしていた。
「小雪さん、点検業者は三人、10時に地下駐車場にワンボックスカーを止めて。一階エントランスでチェックを済ませ。直接収録スタジオのフロアに向かっています。臨時点検と言うことでそのフロアだけで12時には終えて駐車場を出ています」
「帰りに油断したんでしょう。駐車場出る時の録画映像に一人の顔がバッチリ写っていました！」
　志乃が嬉しそうに小雪に報告した。
「佐久間さん、この映像ならどうにかなりますか？」
「これなら十分、画像処理をして検索をかけてみるわ。犯罪歴があればヒットするはずよ！」

　早速、佐久間は画像処理をしてくっきりと映し出された犯人の顔が現れる。これを警視庁のデータバンクにアクセスし、ヒットした人物が浮かび上がった。
「こいつは暴力団の構成員ね」
　DDを売りさばいていた組と敵対していた勢力、そこの構成員であった。

　連絡を受けた組対四課が即座に動き三人は逮捕されたが、やはりヘルプマンへ繋がる有力な証拠は出てこなかった。飛ばし携帯とダークウェブ、それに暗号資産。特に飛ばし携帯はもう東京湾に沈んでしまっていた。

　小雪たちは残る当日の清掃員の動きを詳しく見ていった。