上 下
59 / 94
第三章 奈落のマリオネット

26 足りないピース

しおりを挟む
 記憶媒体の回収が出来た知らせは電脳と『unknown』の両方に伝えられ。早速、データを送った。まぁ、実際に行ったのは電脳の佐久間であって、黒岩銀次郎は指ひとつ動かしていない。おまけに、記憶媒体の回収も佐久間と高校生三人組に任せ切った清々しいほどあっぱれな主人公であった。

 しばらくして、電脳の白河課長から連絡があった。
「黒岩さん、途中経過だけど解析の結果を伝えるわ」
「記憶媒体の中にはやはり改変されたシステムが入っていたわ。それもセーフティモードの部分だけが書き換えられていたの。これでぺトスは逆の方向に誘導されてしまったのね。で、そのプログラミングなんだけどプログラムをした人の特定が出来たわ。以前違法ソフトを作って逮捕されたプログラマーのプログラムパターンと一致したの」
「横入りしてすまない『unknown』のクロウだ、こっちで分かった追加情報だ。そのプログラマーはダークウェブで一か月当たり前にソフトの修正の仕事を受けている。相手は不明、ヘルプマンと名乗っている。飛ばし携帯で受け渡しをやったようだ、受け渡しで一回ずつノーマルWEBに顔を出している。その場所と時間だけは特定できたが、後は不明だ」

「ありがとう。場所と時間、ダークウェブの掲示板も後で教えて」
「了解!」
 これではピースが足りない。時間と場所は特定出来ても仮にそこに居たからと言って、重要参考人としてしょっぴくことは出来ない。犯人が飛ばし携帯と改造ソフトをまだ処分しないで持っているなら別だが、そんな単純なミスをしてくれるとは到底思えない。

 黒岩でも分かったこの線からはここまでだと。
しおりを挟む

処理中です...