電脳捜査課 黒岩銀次郎の受難

第三章 奈落のマリオネット

14 『unknown』

　大学の研究室の中で、一人黙々と作業をする男がいた。男の見つめるモニターには複雑なコードが並んでいた、それを高速で判別していく、果たして何かが出てくるのか、出てこないのか、それは解析が終わらないと分からないことである。
「転落時に被っていたギアのデータも是非欲しいですね」男は一人つぶやいていた。

　国立国会図書館の中のパソコンルームにその女はいた。メガネをかけて図書館司書の制服を着た大人しげな少女であった。彼女の検索しているものはBlack SHOT Online関係の重役や取締役の相関関係、派閥、お金の流れなど多岐にわたっていた。
「よっしゃ！」時折、何か送っては、パスワードを回収してガッツポーズをしている。何が出てくるのか、もう少し時間が必要であった。

　山小屋にたどり着いた男は、窓際を陣取ってノートパソコンを開いた。ここはどこの国なのか、英語ドイツ語フランス語が飛び交っていた。男は流暢なイタリア語で話を始める、やがて話は終わり、ノートパソコンに何かを打ち込んで男の仕事は終わる。
「いい加減、日本にも帰るかな。こっちも、これからいろいろきな臭くて、楽しんだけどね」

「納豆食いてえなあ」
　一人つぶやいた男であった。