電脳捜査課 黒岩銀次郎の受難

第三章 奈落のマリオネット

07 ニコラス・ペトス

　ニコラス・ペトスはEUにおいて、初めてのフルダイブシステムVRMMO Black SHOT Onlineの開発者である。
　販路をアジアへ広げるため、まず日本へのPRのための来日であり。あらゆるメディアへの宣伝を色々と計画している。このテレビでの対談も大きく話題をさらえるだろう、テレビ局からのサプライズ要請も遊び心の多いペトスにとって楽しい企画であった。
　連れてきた秘書とボディーガードは、共同経営者と組織の息のかかっている人間なので信用が出来ない。収録後に、同じVRMMO開発者の緑川とじっくり話すことが出来ればと、ペトスは思っていた。

「Black SHOT Onlineには色々と悪い噂ばっかりついてくるんですよね」
 そう神田一郎は、隣に座った中山小雪に話し始めた。まだ収録開始まで三十分ほどある。
「小雪さんは、電脳のメンバーなんですか？」
「いいえ、お手伝いと言うかサポートメンバーって感じです。
　でも情報は共有していますよ。Black SHOT Onlineには組織犯罪、麻薬売買などなど、噂の域を出ないんですけど……ありますね」
「ネット社会には、国境は無いですからね、こっちの対応も大変でしょうね」
　今の高校生も、ちゃんとしている子はちゃんとしてるんだなと、どうも、恵を基準に考えてはいけないと小雪は思って、恵を見ると「何？」と言う顔の恵と目が合う。

　この娘はこれでカンだけは鋭いんだね……そんな事を考えていたら、さらに恵に睨まれてしまった……。