28 / 94
第二章 アリスの楽園
17 マリーの望み
しおりを挟む
◇ Real world ◇
モニター越しに、恵の悲鳴が響きわたる。
「何で抵抗できないんだ!」
涼がおかしいと訴える。その答えは、夏美から帰ってきた。
「リハビリで負荷をかける訓練があるの、あいつは管理者権限を奪ったから、負荷も思いのままよ!」
苦し気に夏美が説明する。
「痛覚の変更も同じ……」
それを聞いて全員が青ざめた。
「何か! 何が出来る事はないのか?」
涼が机を叩く。
「そう! わたしなら副管理者権限を持っている。ログインできるかも……」
そう言って、夏美はメディギアを持ったが、手が震えてうまく装着できない。
「どうしてなの? どうしてこんな大事な時に怖がっているの?」
しゃがみ込み震える手で床を叩く。
「臆病者! 今、守らなくて、いつ守れるの! 大事な、大事な子供達を!」
夏美はそう言って、震える手で強引にメディギアをかぶった!
☆ Virtual ☆
死神が、子供たちに切りつけようとした。その瞬間にあいだに割り込むように夏美は立ちはだかり叫ぶ。
「貴方なんかに! 貴方なんかに大事な子供たちを傷つけさせない!」
死神が無慈悲に、その全てを切裂こうと鎌に力を入れたその時。
どこからか声が聞こえた。
「お兄ちゃんダメだよ! そんなことマリーは望んでないよ……」
死神には確かに見えた。立ちはだかる、夏美の前に愛しい妹、マリーが立っていたのを。
思わず後ずさって、躓いて尻餅をついてしまった。
その瞬間を恵は逃さなかった。
「うわーあああ!」
恵は渾身の力で右腕に刺さったサバイバルナイフを床から引き剥がし、背後から死神の右腕に絡みついたと同時に、足で首を締め付ける。
「落ちろー! 落ちろ!」
暴れていた死神が、やがて大人しくなる。そして……消えていった。
「よっしゃー!」
恵はガッツポーズをしながら倒れこんだ。
夏美は子供たち二人を抱きしめて言った。
「守れた、やっと守れた……」
いつしか、夏美の震えは止まっていた。
モニター越しに、恵の悲鳴が響きわたる。
「何で抵抗できないんだ!」
涼がおかしいと訴える。その答えは、夏美から帰ってきた。
「リハビリで負荷をかける訓練があるの、あいつは管理者権限を奪ったから、負荷も思いのままよ!」
苦し気に夏美が説明する。
「痛覚の変更も同じ……」
それを聞いて全員が青ざめた。
「何か! 何が出来る事はないのか?」
涼が机を叩く。
「そう! わたしなら副管理者権限を持っている。ログインできるかも……」
そう言って、夏美はメディギアを持ったが、手が震えてうまく装着できない。
「どうしてなの? どうしてこんな大事な時に怖がっているの?」
しゃがみ込み震える手で床を叩く。
「臆病者! 今、守らなくて、いつ守れるの! 大事な、大事な子供達を!」
夏美はそう言って、震える手で強引にメディギアをかぶった!
☆ Virtual ☆
死神が、子供たちに切りつけようとした。その瞬間にあいだに割り込むように夏美は立ちはだかり叫ぶ。
「貴方なんかに! 貴方なんかに大事な子供たちを傷つけさせない!」
死神が無慈悲に、その全てを切裂こうと鎌に力を入れたその時。
どこからか声が聞こえた。
「お兄ちゃんダメだよ! そんなことマリーは望んでないよ……」
死神には確かに見えた。立ちはだかる、夏美の前に愛しい妹、マリーが立っていたのを。
思わず後ずさって、躓いて尻餅をついてしまった。
その瞬間を恵は逃さなかった。
「うわーあああ!」
恵は渾身の力で右腕に刺さったサバイバルナイフを床から引き剥がし、背後から死神の右腕に絡みついたと同時に、足で首を締め付ける。
「落ちろー! 落ちろ!」
暴れていた死神が、やがて大人しくなる。そして……消えていった。
「よっしゃー!」
恵はガッツポーズをしながら倒れこんだ。
夏美は子供たち二人を抱きしめて言った。
「守れた、やっと守れた……」
いつしか、夏美の震えは止まっていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる