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【た】しかめる事が怖くて
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ダイチさんからいただいた写真とデータは、さっそくエイイチとアオイにも送った。少し躊躇はしたのだが、ここで送らなければ一生送れないそんな気がした。
アオイからはすぐにお礼の連絡がある。ダイチさんと交際を始めたのだから彼に任せておけばもう安心だろう。これでアオイも大丈夫だ。
エイイチは特に何も言わない。いつものこいつらしく、これが平常運転だ。ただ、写真のフミエを見る優しい眼差しを見せられると、何故だろうちょっとわたしはイラつく。
今日はエイイチの家の台所でおばさんと並んで料理を作っている。最近はエイイチの家にお邪魔することが増えた。こうやって夕飯を一緒にして、お酒が入ったりすると泊まっていくこともある。
「シオンちゃん、こっち来て飲まないかい」
「すいません、おじさん。明日仕事なんで今日は帰ります」わたしは料理を運びながらおじさんに詫びた。
「親父、シオンはバイクなんだから飲ますなよ」
「分かった、分かった。今度な」おじさんはほろ酔い気分で笑う。エイイチは困った顔でわたしを見返した。楽しい食卓、わたしもこの中に混ざっていく……。
ふいにフミエの写真を思い出して、チクリと心に何かが刺さる。フミエの望んだ景色をわたしが横取りしているような罪悪感。この痛みは一生消えないのかもしれない。消えなくても良い。わたしは生きているのだから。
それからしばらくたったある日。わたしは市役所に用事があって、地域振興課に顔を出した。あいにくダイチさんは席を外していたが、隣の席の先輩はいた。スマホのデータの件もあったのでわたしは先輩に声をかけた。
「この前のデータ、どうもありがとうございました。大変助かりました」
「ああ、大したことはないよ」先輩はそう言いながらカウンターの外に出てくる。あまり周りには聞かれたくないようだったので、一緒について少し離れた場所に移動した。
「勤務時間中にこっそりやったから……」そう言って、先輩は口に指を一本あてて内緒のポーズをする。「……分かりました」こっちも小声になり二人で苦笑いをした。
「良かったね。五枚でも写っててさぁ」何気ないひと言。わたしは聞き逃しそうになったそのひと言を慌てて聞き返した。
「今、五枚って言いましたか?」
「?」何か変なことを言ったのかって顔で先輩はわたしを見つめた。わたしは改めて聞き返す。
「写真は全部で何枚ですか?」よほどきつい顔になっていたのか、先輩は後ずさりして答えた。
「救い出せた写真は全部で五枚。データと一緒にダイチに預けたけど……」
「わたしの頂いた写真は四枚でした……」
先輩の顔に緊張が走った。わたしの顔もきっと同じようだったろう。先輩はすぐ自分の机に戻ろうとして、ダイチさんが先に戻っていることに気付き、慌ててわたしに小声で言った。「バックアップのデータがあるから、一階のロビーで待ってて。すぐ行く」わたしはうなずいてその場を後にした。
ダイチさんが写真を一枚抜き取った。なんで? どうして? 急には考えがまとまらない。想像すら出来ない。なんでそんな必要があるのか……。わたしはたどり着けない答えを探して、思考の渦の中をぐるぐると回っていた。
「お待ちどうさま」汗をかきながら先輩は自前のノートパソコンを抱えロビーに降りてきた。「バックアップ取っておいて良かった……」そう言いながら、画像をクリックする。五枚の画像が順番に表示された。
わたしは一枚づつ目を通していった。一枚目、二枚目、三枚目、四枚目。そこまではすでに見た写真だった。
そして、五枚目の写真。画面に写し出されたその写真は、わたしが初めて見るモノだった。その写真はソラとブンタがじゃれ合っている横に店員さんが飲み物を持ってきた時の写真だった。しかし、横にぶれてしまって、ソラが半分切れてしまい、かわりに開いたドアが写っていた。そのドアからは通路が見える。通路にはその時通った人物が写り込んでいた。
ダイチさんだった。
「なんで、ダイチさんが写っているの?」わたしは先輩に分からず尋ねる。「えっ、一緒だったんじゃないの?」先輩はダイチさんも一緒に行ってたものだと思っていたようだ。わたしの驚きを不思議がっていた。
先輩にお礼を言ってわたしは市役所を後にした。混乱した頭をどうにか冷やすため、エイイチに電話する。
「エイイチ。あの火事の時、ダイチさん見かけた?」
「いや、卒業の打ち上げなんだから、呼ばないって。バイトでも居なかったぜ」
「じゃあ、告白の言い出しっぺは、ソラ?」
「ああ、アイツ、前日から気合入ってたぜ。兄貴がアオイと同じバイトだろう。横取りされると思って冷や冷やしてたんだろうな」エイイチはわたしの急な質問に面喰いながらも答えてくれた。
「……アオイの取り合い。アオイを呼び出して……」頭の中で悪魔のような恐ろしいパズルが組みあがる。いくら壊しても同じようにしか組みあがらない。最悪だ、誰か否定して欲しい。そんな願いを込めてわたしはエイイチに訴えた。
「今すぐ会いたい。お願い……」
「分かった。すぐ行く、待ってろ!」
何も聞かずエイイチはそう力強く言ってくれた。
喫茶店でなく、わたしは幹線道路沿いのカラオケボックスを指定した。他人に聞かれたくない話だったからだ。
エイイチが来る前にアオイに電話をかける。「ねぇ、アオイ。あの火事の時、ダイチさんと駅の改札で待ち合わせたんだよね。すぐ来たの?」何かおかしな事はなかったか? なんて聞けないのでぼやかして聞く。「うん、少し待ったけど、そんなには待たなかったな……。でも、ダイチさんもう改札の外に出ていて、わたし後ろから声かけられてびっくりしちゃったよ」嬉しそうにアオイは話した。
「……改札出てたんだね」
「それが?」
「ううん、ありがとう。またゆっくり話そうね」重たい気持ちをアオイに気付かれないように電話を切った。
これで最後のピースがはまってしまったとわたしは思った。どう話そう、エイイチが来るまでの間、わたしはカラオケボックスの部屋の中で一人思い悩んだ。
エイイチは急いで駆けつけてくれた。それだけでもう嬉しくて、何も言わず彼に抱きついてしまった。そんなわたしをエイイチはしっかり抱きとめてくれる、心強い味方だ。彼にすべてを話そうと改めて心に決めた。
隣に座って心配そうにわたしの顔をのぞくエイイチ、頭の中を整理するようにわたしは彼に話し出した。「あの、エイイチ。あなたにだけは聞いて欲しいの……あの時の火事。もしかしたら放火だったかもって思ったの……」
エイイチの顔に緊張が走る。こわばった声で聞き返した。「どうして……どうしてそう思ったんだ?」
わたしはテーブルに写真を一枚置いて彼に説明する。「これ、市役所の先輩が印刷してくれたんだけど。ダイチさんはこの一枚だけわたしに渡さず抜き取っていたの」エイイチは手に取ってその写真をじっくりと見た。
「あの時の写真か?」
「ええ、そう。あの日最後の写真。このドアの外、通路の人を見て」
「通路の人? これって……」
「そう、ダイチさん」
「? ダイチさんはいなかったぞ。バイトでもなかったし……」答えが分からずエイイチはわたしを見返した。
「あの日、ダイチさんはいたんだよ。みんなのいたカラオケボックスの通路に。それから出ていってアオイと改札で待ち合わせした」
「なんで、そんな事をしたんだ?」
「それは、アオイがちゃんと出ていったのを確認したかったから……」
「え、改札で待っていれば済むことだろう?」
「でも、確信が持てなかったのよ。ソラに引き止められるかもって……」確かにあの日のソラならやりかねないとエイイチも納得する。
「アオイが出ていった後、配電盤をショートさせ、灯油タンクを倒してから逃げた。通路の棚を倒してあの部屋を開かないようにしてからね」エイイチは血の気の失せた顔で立ち上がりわたしに何か言おうとするが言葉が出ない。わたしはさらに話を続けた。
「あのカラオケボックスはバイト先なんだから警報機やスプリンクラーだって前もって切っておける。監視カメラだって把握してたでしょう。ただ、わたしのスマホに写っているとは思いもしなかったんでしょうね……。
先輩の復活させた写真を見て驚いたでしょうね。でも、わたしが見る前だった……それで見つかる前に処分したんでしょうね。データも一緒に」写真をつまんでわたしは改めて見る。「今日、たまたま先輩に会ってお礼を言った時、渡した写真の枚数で話が違ったの。それが無ければ全く気が付かなったわ……」
わたしの話をすべて聞いたエイイチは拳を硬く握って声にならない叫びをあげる。
「……なんで、そんな事を……」
「邪魔だったんでしょう。ソラがその時も、これからも……。アオイは押しに弱いから、強引なソラが邪魔だった……いっそ消えて欲しいと考えた……」
「……俺たちは、どうなんだ! じゃあ、ただの巻き添えか?」わたしの冷静な物言いにエイイチは拳を震わして訴えた。
「フミエもブンタも死んじまったんだぜ。兄弟げんかの巻き添えかよ!」急にドアの方へ向かったエイイチをわたしは必死で止めた。
「まって、エイイチ。どうする気?」
「決まってんだろう。ダイチさんを締め上げるんだ!」わたしの制止を振り切って出て行こうとする。わたしも必死だった。
「締め上げてどうするの? 白状したらエイイチはどうしたいの?」しがみついたわたしは叫んだ。その声に立ち止まったエイイチは向き直って言う。「ぶっ殺す!」
わたしはそんなエイイチを正面から強く抱きしめた。必死に強く、思いを込めて。
「それじゃあ、あなたが人殺しになっちゃうよ……ダメだよ。それだけは……」分かって欲しかった。それはわたしもフミエものぞまないことだから……。
少し冷静になったエイイチにわたしは言った。「これは、あくまで推測でしかないの。証拠が写真一枚じゃあ、警察も動いてはくれない……」
「じゃあ、どうすれば良いんだ。俺たちに出来ることは?」そんな悲し気な顔を見せられて、わたしの中の組み上がった悪魔のパズルを俯瞰する。何かわたし達に出来ることは無いのか必死で考える。そして、その中に一筋のラインを見出した。
「エイイチ、手伝って欲しいの」
「任せろ!」
何も聞かずエイイチはわたしの言葉にうなずく。まったく、コイツは……。わたしは苦笑いをした。
平日の午前中、わたしはダイチさんに連絡を取った。「もう一枚の写真見ました。説明してくれますよね」そう切り出した電話にダイチさんは慌てて会う約束をした。夕方の市役所の屋上。わたしが行くともうダイチさんはすでにそこにいた。夕焼けをバックに長い影が不安げに伸びていた。
わたしは問題の写真を出して問う。「まだ、アオイには言ってません。ダイチさん、だから正直に話して下さい。あなたはなぜこの時、カラオケボックスの通路にいたんだすか? この後、すぐに火が出たんですよね。そして、火が出た後にはあなたはいなかった……」近付いて写真を見せつけるように示した。
「どう見てもあなたですよね。わたしがトイレに行く前に通路を通って、トイレを出た時にはもう火の海だったんです……。どうしてあんなことをしたんですか?」真剣に問い詰めるわたしに、ダイチさんは後ろを向いて肩を震わせながら言った。
「仕方が無かったんだよ。ソラのやつが出がけに『アオイに告白する』なんて言い出しやがって。だから、最初はちょっとした悪戯のつもりだったんだよ。配電盤をいじくってあの部屋だけ真っ暗にすれば驚くだろうなって……。そしたら配電盤が埃がたまっていて火がついちゃって、慌てたらポリタンクにつまづいてしまって……」振り向いたダイチさんは許しをこうように声を震わす。わたしはそんな姿を冷静に見つめていたが、諦めたように言った。
「もうお芝居はやめにしましょう、ダイチさん。あなたは過失で逃げようとしているようですけど。じゃあなぜ、あの部屋のドアを塞ぐように棚を倒していったんですか? 焼き殺そうしたんですよね。わたし達を確実に!」その言葉にピクリと肩を震わし、ダイチは顔を上げ言った。
「ソラだよ。あいつが悪いんだ。あいつはいつもいつも僕のものを横取りするんだよ! アオイの事だって、僕が好きだってわかった途端に告白するなんて言い出しやがって、どれだけ人のものを取れば気が済むんだ!」
「アオイは、アオイだけは絶対に取られたくなかったんだよ!」その顔にはソラへの憎悪が貼りつき目には怪しい光が灯っていた。
「くっそ」ダイチはそう言って、わたしに飛びかかろうと距離を縮めた。しかし、横から大きな影が飛び込んでくる、エイイチだ。
「この野郎が!」エイイチの拳でダイチは殴り倒され、転がったその先にはスマホで撮影する先輩がいた。
「ちゃんと映像も音声も撮れてるぞ」そう言ってOKサインをしながら近付いて来る。
焦ったダイチは逃げ道を探し、非常階段の方へと走った。しかし、非常階段にはたどり着けなかった……。非常階段の手前は暗く急な段差があり。そこでつまづき、勢いあまってダイチは横の柵を飛び越して落ちていってしまった……。
わたしは恐る恐るフェンスの下を覗いた。そこには街路灯に照らされ赤い血だまりを作って横たわるダイチの姿があった。ぴくりとも動かないその姿の横で歌壇に咲いた燕子花が切なく揺れていた。
「結局、殺しちゃった……」そんなわたしのつぶやきにエイイチは肩を抱いて言う。「これは事故だ、お前のせいじゃない。お前は俺に人殺しをさせなかった……。ありがとな」
「証拠の映像もあるから、大丈夫だよ。よくやったね。シオンちゃん」先輩もそう言って慰めてくれた。
すっかり日も暮れてしまった屋上からは、夕闇の中をこちらに向かうパトカーのランプが小さく光って見えた。
次の日すぐに、アオイに連絡をして迎えに行くことにする。アオイのご両親とも相談して、一度家に戻る事で話がまとまったのだ。今、わたし達は先輩の車で東京へ向かっていた。
今回の事件の当事者であるわたしがアオイに会って直接説明したかったので、先輩には無理を言って車を出してもらった。
「本当にすいません。無理を言ってしまって」そう謝るわたしに先輩は大したことではないと言うように笑う。
「別に構わないよ。俺も乗り掛かった舟だしね。最後まで付き合うから」
「でも、大丈夫なのか。アオイ、パニックっちまうんじゃあないか?」と、エイイチが心配げに聞く。
「うん、でも、わたしが言うしかないんじゃない……当事者で親友の……」
「辛い役目だぞ」
「ええ、それでもわたしがやらなければね……」エイイチはアオイの事もそうだが、わたしの事も心配してくれている。ぶっきらぼうな言葉の中に温かいモノを感じた。
辛い役目でも、わたしはこの役目はきっちりと自分でやりたかった。アオイのためでもあるが、それが自分のためでもあると思ったからだ。これで長かった二年間の呪縛から解き放たれる……明日へと一歩前に歩き出せる。わたしはそんな気がしていた。
アオイにはわたし達が迎えに行くことだけを告げていたので、不思議そうな顔でわたし達を迎え入れた。順を追って話すわたしの説明に次第に表情を失くしていった。
「あの日の事、いまだに思い出すんだ……確かに、ダイチさん少し変だった。でも、告白とかだから、焦っていたんだと思ってたんだ……仕方がないって」鈍い色の瞳に涙が貯まりだす。
「変だと思っても、わたし、いまさら、怖くて聞けなかったよ……あの日の事なんて」そう言って、アオイは堰を切ったようにわたしの腕の中で泣きじゃくった。
アオイを落ち着かせてから、わたし達は車でアオイを連れて地元に戻る。アオイはしばらくの間わたしの腕の中で泣いていたが、少しづつ落ち着いてきたようで、今はぼーっと窓の外を見ている。しばらくして、わたしに聞えるか聞えないかの小さな声でつぶやいた。
「わたしって不幸ばっかり引き寄せてるみたいね……」今にも消えそうな声だった。
「こら、アオイ。このネガティブ女」わたしは余計に強い口調でアオイをしかった。「わたしはあなたと出会えて不幸だなんて一度も思ったことないから」
「俺もだ。お前は大事な仲間だ」エイイチもハッキリと言う。ハンドルを握る先輩はそれを聞いてしみじみと言った。
「アオイちゃん、キミはこんなに素敵な仲間がいるんだよ。不幸だなんて言ったらバチが当たっちゃうよ」
「……はっ、はい……」噛みしめるようにアオイは先輩の言葉に返事をして、それからまた泣き出してしまった……。
「あっ、先輩。また泣かしちゃった……」わたしのなじるような声に、先輩は大慌てだった。
「アオイ、あなたにもきっと幸運が訪れるから……」そう言ってあげたかった。
了
アオイからはすぐにお礼の連絡がある。ダイチさんと交際を始めたのだから彼に任せておけばもう安心だろう。これでアオイも大丈夫だ。
エイイチは特に何も言わない。いつものこいつらしく、これが平常運転だ。ただ、写真のフミエを見る優しい眼差しを見せられると、何故だろうちょっとわたしはイラつく。
今日はエイイチの家の台所でおばさんと並んで料理を作っている。最近はエイイチの家にお邪魔することが増えた。こうやって夕飯を一緒にして、お酒が入ったりすると泊まっていくこともある。
「シオンちゃん、こっち来て飲まないかい」
「すいません、おじさん。明日仕事なんで今日は帰ります」わたしは料理を運びながらおじさんに詫びた。
「親父、シオンはバイクなんだから飲ますなよ」
「分かった、分かった。今度な」おじさんはほろ酔い気分で笑う。エイイチは困った顔でわたしを見返した。楽しい食卓、わたしもこの中に混ざっていく……。
ふいにフミエの写真を思い出して、チクリと心に何かが刺さる。フミエの望んだ景色をわたしが横取りしているような罪悪感。この痛みは一生消えないのかもしれない。消えなくても良い。わたしは生きているのだから。
それからしばらくたったある日。わたしは市役所に用事があって、地域振興課に顔を出した。あいにくダイチさんは席を外していたが、隣の席の先輩はいた。スマホのデータの件もあったのでわたしは先輩に声をかけた。
「この前のデータ、どうもありがとうございました。大変助かりました」
「ああ、大したことはないよ」先輩はそう言いながらカウンターの外に出てくる。あまり周りには聞かれたくないようだったので、一緒について少し離れた場所に移動した。
「勤務時間中にこっそりやったから……」そう言って、先輩は口に指を一本あてて内緒のポーズをする。「……分かりました」こっちも小声になり二人で苦笑いをした。
「良かったね。五枚でも写っててさぁ」何気ないひと言。わたしは聞き逃しそうになったそのひと言を慌てて聞き返した。
「今、五枚って言いましたか?」
「?」何か変なことを言ったのかって顔で先輩はわたしを見つめた。わたしは改めて聞き返す。
「写真は全部で何枚ですか?」よほどきつい顔になっていたのか、先輩は後ずさりして答えた。
「救い出せた写真は全部で五枚。データと一緒にダイチに預けたけど……」
「わたしの頂いた写真は四枚でした……」
先輩の顔に緊張が走った。わたしの顔もきっと同じようだったろう。先輩はすぐ自分の机に戻ろうとして、ダイチさんが先に戻っていることに気付き、慌ててわたしに小声で言った。「バックアップのデータがあるから、一階のロビーで待ってて。すぐ行く」わたしはうなずいてその場を後にした。
ダイチさんが写真を一枚抜き取った。なんで? どうして? 急には考えがまとまらない。想像すら出来ない。なんでそんな必要があるのか……。わたしはたどり着けない答えを探して、思考の渦の中をぐるぐると回っていた。
「お待ちどうさま」汗をかきながら先輩は自前のノートパソコンを抱えロビーに降りてきた。「バックアップ取っておいて良かった……」そう言いながら、画像をクリックする。五枚の画像が順番に表示された。
わたしは一枚づつ目を通していった。一枚目、二枚目、三枚目、四枚目。そこまではすでに見た写真だった。
そして、五枚目の写真。画面に写し出されたその写真は、わたしが初めて見るモノだった。その写真はソラとブンタがじゃれ合っている横に店員さんが飲み物を持ってきた時の写真だった。しかし、横にぶれてしまって、ソラが半分切れてしまい、かわりに開いたドアが写っていた。そのドアからは通路が見える。通路にはその時通った人物が写り込んでいた。
ダイチさんだった。
「なんで、ダイチさんが写っているの?」わたしは先輩に分からず尋ねる。「えっ、一緒だったんじゃないの?」先輩はダイチさんも一緒に行ってたものだと思っていたようだ。わたしの驚きを不思議がっていた。
先輩にお礼を言ってわたしは市役所を後にした。混乱した頭をどうにか冷やすため、エイイチに電話する。
「エイイチ。あの火事の時、ダイチさん見かけた?」
「いや、卒業の打ち上げなんだから、呼ばないって。バイトでも居なかったぜ」
「じゃあ、告白の言い出しっぺは、ソラ?」
「ああ、アイツ、前日から気合入ってたぜ。兄貴がアオイと同じバイトだろう。横取りされると思って冷や冷やしてたんだろうな」エイイチはわたしの急な質問に面喰いながらも答えてくれた。
「……アオイの取り合い。アオイを呼び出して……」頭の中で悪魔のような恐ろしいパズルが組みあがる。いくら壊しても同じようにしか組みあがらない。最悪だ、誰か否定して欲しい。そんな願いを込めてわたしはエイイチに訴えた。
「今すぐ会いたい。お願い……」
「分かった。すぐ行く、待ってろ!」
何も聞かずエイイチはそう力強く言ってくれた。
喫茶店でなく、わたしは幹線道路沿いのカラオケボックスを指定した。他人に聞かれたくない話だったからだ。
エイイチが来る前にアオイに電話をかける。「ねぇ、アオイ。あの火事の時、ダイチさんと駅の改札で待ち合わせたんだよね。すぐ来たの?」何かおかしな事はなかったか? なんて聞けないのでぼやかして聞く。「うん、少し待ったけど、そんなには待たなかったな……。でも、ダイチさんもう改札の外に出ていて、わたし後ろから声かけられてびっくりしちゃったよ」嬉しそうにアオイは話した。
「……改札出てたんだね」
「それが?」
「ううん、ありがとう。またゆっくり話そうね」重たい気持ちをアオイに気付かれないように電話を切った。
これで最後のピースがはまってしまったとわたしは思った。どう話そう、エイイチが来るまでの間、わたしはカラオケボックスの部屋の中で一人思い悩んだ。
エイイチは急いで駆けつけてくれた。それだけでもう嬉しくて、何も言わず彼に抱きついてしまった。そんなわたしをエイイチはしっかり抱きとめてくれる、心強い味方だ。彼にすべてを話そうと改めて心に決めた。
隣に座って心配そうにわたしの顔をのぞくエイイチ、頭の中を整理するようにわたしは彼に話し出した。「あの、エイイチ。あなたにだけは聞いて欲しいの……あの時の火事。もしかしたら放火だったかもって思ったの……」
エイイチの顔に緊張が走る。こわばった声で聞き返した。「どうして……どうしてそう思ったんだ?」
わたしはテーブルに写真を一枚置いて彼に説明する。「これ、市役所の先輩が印刷してくれたんだけど。ダイチさんはこの一枚だけわたしに渡さず抜き取っていたの」エイイチは手に取ってその写真をじっくりと見た。
「あの時の写真か?」
「ええ、そう。あの日最後の写真。このドアの外、通路の人を見て」
「通路の人? これって……」
「そう、ダイチさん」
「? ダイチさんはいなかったぞ。バイトでもなかったし……」答えが分からずエイイチはわたしを見返した。
「あの日、ダイチさんはいたんだよ。みんなのいたカラオケボックスの通路に。それから出ていってアオイと改札で待ち合わせした」
「なんで、そんな事をしたんだ?」
「それは、アオイがちゃんと出ていったのを確認したかったから……」
「え、改札で待っていれば済むことだろう?」
「でも、確信が持てなかったのよ。ソラに引き止められるかもって……」確かにあの日のソラならやりかねないとエイイチも納得する。
「アオイが出ていった後、配電盤をショートさせ、灯油タンクを倒してから逃げた。通路の棚を倒してあの部屋を開かないようにしてからね」エイイチは血の気の失せた顔で立ち上がりわたしに何か言おうとするが言葉が出ない。わたしはさらに話を続けた。
「あのカラオケボックスはバイト先なんだから警報機やスプリンクラーだって前もって切っておける。監視カメラだって把握してたでしょう。ただ、わたしのスマホに写っているとは思いもしなかったんでしょうね……。
先輩の復活させた写真を見て驚いたでしょうね。でも、わたしが見る前だった……それで見つかる前に処分したんでしょうね。データも一緒に」写真をつまんでわたしは改めて見る。「今日、たまたま先輩に会ってお礼を言った時、渡した写真の枚数で話が違ったの。それが無ければ全く気が付かなったわ……」
わたしの話をすべて聞いたエイイチは拳を硬く握って声にならない叫びをあげる。
「……なんで、そんな事を……」
「邪魔だったんでしょう。ソラがその時も、これからも……。アオイは押しに弱いから、強引なソラが邪魔だった……いっそ消えて欲しいと考えた……」
「……俺たちは、どうなんだ! じゃあ、ただの巻き添えか?」わたしの冷静な物言いにエイイチは拳を震わして訴えた。
「フミエもブンタも死んじまったんだぜ。兄弟げんかの巻き添えかよ!」急にドアの方へ向かったエイイチをわたしは必死で止めた。
「まって、エイイチ。どうする気?」
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「締め上げてどうするの? 白状したらエイイチはどうしたいの?」しがみついたわたしは叫んだ。その声に立ち止まったエイイチは向き直って言う。「ぶっ殺す!」
わたしはそんなエイイチを正面から強く抱きしめた。必死に強く、思いを込めて。
「それじゃあ、あなたが人殺しになっちゃうよ……ダメだよ。それだけは……」分かって欲しかった。それはわたしもフミエものぞまないことだから……。
少し冷静になったエイイチにわたしは言った。「これは、あくまで推測でしかないの。証拠が写真一枚じゃあ、警察も動いてはくれない……」
「じゃあ、どうすれば良いんだ。俺たちに出来ることは?」そんな悲し気な顔を見せられて、わたしの中の組み上がった悪魔のパズルを俯瞰する。何かわたし達に出来ることは無いのか必死で考える。そして、その中に一筋のラインを見出した。
「エイイチ、手伝って欲しいの」
「任せろ!」
何も聞かずエイイチはわたしの言葉にうなずく。まったく、コイツは……。わたしは苦笑いをした。
平日の午前中、わたしはダイチさんに連絡を取った。「もう一枚の写真見ました。説明してくれますよね」そう切り出した電話にダイチさんは慌てて会う約束をした。夕方の市役所の屋上。わたしが行くともうダイチさんはすでにそこにいた。夕焼けをバックに長い影が不安げに伸びていた。
わたしは問題の写真を出して問う。「まだ、アオイには言ってません。ダイチさん、だから正直に話して下さい。あなたはなぜこの時、カラオケボックスの通路にいたんだすか? この後、すぐに火が出たんですよね。そして、火が出た後にはあなたはいなかった……」近付いて写真を見せつけるように示した。
「どう見てもあなたですよね。わたしがトイレに行く前に通路を通って、トイレを出た時にはもう火の海だったんです……。どうしてあんなことをしたんですか?」真剣に問い詰めるわたしに、ダイチさんは後ろを向いて肩を震わせながら言った。
「仕方が無かったんだよ。ソラのやつが出がけに『アオイに告白する』なんて言い出しやがって。だから、最初はちょっとした悪戯のつもりだったんだよ。配電盤をいじくってあの部屋だけ真っ暗にすれば驚くだろうなって……。そしたら配電盤が埃がたまっていて火がついちゃって、慌てたらポリタンクにつまづいてしまって……」振り向いたダイチさんは許しをこうように声を震わす。わたしはそんな姿を冷静に見つめていたが、諦めたように言った。
「もうお芝居はやめにしましょう、ダイチさん。あなたは過失で逃げようとしているようですけど。じゃあなぜ、あの部屋のドアを塞ぐように棚を倒していったんですか? 焼き殺そうしたんですよね。わたし達を確実に!」その言葉にピクリと肩を震わし、ダイチは顔を上げ言った。
「ソラだよ。あいつが悪いんだ。あいつはいつもいつも僕のものを横取りするんだよ! アオイの事だって、僕が好きだってわかった途端に告白するなんて言い出しやがって、どれだけ人のものを取れば気が済むんだ!」
「アオイは、アオイだけは絶対に取られたくなかったんだよ!」その顔にはソラへの憎悪が貼りつき目には怪しい光が灯っていた。
「くっそ」ダイチはそう言って、わたしに飛びかかろうと距離を縮めた。しかし、横から大きな影が飛び込んでくる、エイイチだ。
「この野郎が!」エイイチの拳でダイチは殴り倒され、転がったその先にはスマホで撮影する先輩がいた。
「ちゃんと映像も音声も撮れてるぞ」そう言ってOKサインをしながら近付いて来る。
焦ったダイチは逃げ道を探し、非常階段の方へと走った。しかし、非常階段にはたどり着けなかった……。非常階段の手前は暗く急な段差があり。そこでつまづき、勢いあまってダイチは横の柵を飛び越して落ちていってしまった……。
わたしは恐る恐るフェンスの下を覗いた。そこには街路灯に照らされ赤い血だまりを作って横たわるダイチの姿があった。ぴくりとも動かないその姿の横で歌壇に咲いた燕子花が切なく揺れていた。
「結局、殺しちゃった……」そんなわたしのつぶやきにエイイチは肩を抱いて言う。「これは事故だ、お前のせいじゃない。お前は俺に人殺しをさせなかった……。ありがとな」
「証拠の映像もあるから、大丈夫だよ。よくやったね。シオンちゃん」先輩もそう言って慰めてくれた。
すっかり日も暮れてしまった屋上からは、夕闇の中をこちらに向かうパトカーのランプが小さく光って見えた。
次の日すぐに、アオイに連絡をして迎えに行くことにする。アオイのご両親とも相談して、一度家に戻る事で話がまとまったのだ。今、わたし達は先輩の車で東京へ向かっていた。
今回の事件の当事者であるわたしがアオイに会って直接説明したかったので、先輩には無理を言って車を出してもらった。
「本当にすいません。無理を言ってしまって」そう謝るわたしに先輩は大したことではないと言うように笑う。
「別に構わないよ。俺も乗り掛かった舟だしね。最後まで付き合うから」
「でも、大丈夫なのか。アオイ、パニックっちまうんじゃあないか?」と、エイイチが心配げに聞く。
「うん、でも、わたしが言うしかないんじゃない……当事者で親友の……」
「辛い役目だぞ」
「ええ、それでもわたしがやらなければね……」エイイチはアオイの事もそうだが、わたしの事も心配してくれている。ぶっきらぼうな言葉の中に温かいモノを感じた。
辛い役目でも、わたしはこの役目はきっちりと自分でやりたかった。アオイのためでもあるが、それが自分のためでもあると思ったからだ。これで長かった二年間の呪縛から解き放たれる……明日へと一歩前に歩き出せる。わたしはそんな気がしていた。
アオイにはわたし達が迎えに行くことだけを告げていたので、不思議そうな顔でわたし達を迎え入れた。順を追って話すわたしの説明に次第に表情を失くしていった。
「あの日の事、いまだに思い出すんだ……確かに、ダイチさん少し変だった。でも、告白とかだから、焦っていたんだと思ってたんだ……仕方がないって」鈍い色の瞳に涙が貯まりだす。
「変だと思っても、わたし、いまさら、怖くて聞けなかったよ……あの日の事なんて」そう言って、アオイは堰を切ったようにわたしの腕の中で泣きじゃくった。
アオイを落ち着かせてから、わたし達は車でアオイを連れて地元に戻る。アオイはしばらくの間わたしの腕の中で泣いていたが、少しづつ落ち着いてきたようで、今はぼーっと窓の外を見ている。しばらくして、わたしに聞えるか聞えないかの小さな声でつぶやいた。
「わたしって不幸ばっかり引き寄せてるみたいね……」今にも消えそうな声だった。
「こら、アオイ。このネガティブ女」わたしは余計に強い口調でアオイをしかった。「わたしはあなたと出会えて不幸だなんて一度も思ったことないから」
「俺もだ。お前は大事な仲間だ」エイイチもハッキリと言う。ハンドルを握る先輩はそれを聞いてしみじみと言った。
「アオイちゃん、キミはこんなに素敵な仲間がいるんだよ。不幸だなんて言ったらバチが当たっちゃうよ」
「……はっ、はい……」噛みしめるようにアオイは先輩の言葉に返事をして、それからまた泣き出してしまった……。
「あっ、先輩。また泣かしちゃった……」わたしのなじるような声に、先輩は大慌てだった。
「アオイ、あなたにもきっと幸運が訪れるから……」そう言ってあげたかった。
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