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ふるは ゆう

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【つ】まらない事で素直になれなくて

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  エイイチは本当にバカだ。毎回説明しているのに全然分かっていない。「よくも、フミエはあんなバカ。本気で好きになったよね、わたしは理解に苦しむ」そうつぶやいたわたしには、本当は分かっていた。あの大バカの一途なところをフミエは愛したんだと言う事を……。
 わたしは今年、准看護師になった。エイイチにとっては、准看も正看も違いなど分かっていないんだろう。白衣を着ていればみんな「看護婦さん」のくくりのようだ、最近は説明するのもバカらしくなった。
 高校を卒業したわたしには二つの選択肢があった。一つは看護学校へ行って看護師になる道と、もう一つは働きながら准看護師になる道が……。
 わたしはフミエがこの病院に入院した時点で、准看の道を選んだ。そうすれば、フミエの様子を見ながら学校へも行けたから……。
 おかげで二年間、わたしは彼女の傍にいられた。結局、一度も目を覚ますことはなかったけれども。わたしとしては満足だ……そう、満足のはずだった……。

 それなのに……。
「はぁ」空き部屋になったフミエのいた病室の前で、わたしは大きなため息をついた。
「大丈夫? まだ引きずっているの」先輩の看護師が心配げに覗き込む。わたしは慌てて取り繕ったように笑った。「大丈夫です。ちゃんと見送れたんですから、これでもう……」「そうじゃなくって。あなた自身よ! もうこの病院に縛られることはないんでしょ。あなたのこれからの事、少しづつでも考えなくちゃね」そう言い残して、先輩は次の病室へ入っていった。
「……はい」ありがたい先輩からのアドバイス。エイイチはもう次の目標に向かって歩き出している。そんなアイツをバカだなんだと言っておきながら、わたしはどう。前に進めてるの? どうなの? 
 そんなわたしに先輩は笑顔で言い足す。「ゴメン、焦らしちゃったね。自分のペースで良いんだから。焦りは禁物」わたしは良い先輩に恵まれた。それだけでも十分だと思った。
「でも、シオン。あの色黒彼氏とくっついちゃえば良いんじゃない。そうすれば、三食昼寝付きよ」急ににやけた顔をする。ああ、そう言えばこの先輩はこう言う話が大好きだった……夜勤の時とかしつこいんだったっけ……。前言は撤回しようかな……そうわたしは真剣に思った。

 翌日はフミエの月命日だった。わたしはわざとエイイチと重ならないように、時間をずらして午後にフミエの家にお邪魔した。
 すると、先客がいたようだ。女ものの靴が丁寧に揃えて置かれていた。フミエのお母さんが嬉しそうにスリッパを出しながら言う。「シオンちゃん、ちょうど良かったわ。今、あなたの話をしていたところなのよ」そう言って、リビングに案内される。ゆったりとしたリビングのソファには懐かしい人物が座っていた。
 わたしのもう一人の親友、もう二年も音信不通になっていた。アオイだった。

 お互いに声が出ない。心の準備も無しにの再会だ。わたしは顔を引きつらせながら言葉を探した。きっとアオイも同じだろう、声を出せないかわりに、彼女の綺麗な瞳からは大粒の涙が溢れだした。
 その涙を見て、わたしの感情も高ぶりつい強い口調になってしまう。「ずるいよ、アオイ。いつもそうやって、泣けばいいと思っているんでしょう。二年間も音信不通で、あなたって人は……本当に……」目の前が涙でかすむ。高校時代と同じ、相手の事も考えずに誰にでも正論をぶつける、わたしの悪い癖。
 そんなわたしを優しく包むようにアオイは抱きしめて言った。「ごめんね、シオン。わたし弱くて……」違うよアオイ。あなただけが弱いんじゃない。みんなが弱かったんだよ……。「あんたは弱くなんかないよ。時間はかかったけれど、こうやって向かい合おうとしているじゃない。少しばかり時間がかかっただけだよ」うるんだ目でアオイは恥ずかし気にうなずく。「わたしみんなに大事にされてたんだ。今頃分かったよ……。どんくさくてゴメン……」
「バカ……」わたしはアオイの頭をなでる。アオイにやっと昔のような笑顔が戻ってきた。

 フミエのお母さんはわたし達に気遣ってキッチンの方へ行ってしまった。リビングに二人残され、今までの事を少しづつ話す。話したりなかったので、明日、わたしが仕事帰りにアオイの家に泊まりに行くことにして別れた。
 家に戻って、今日あった色々なことを思い出して、わたしは久しぶりに机の引き出しの二段目を開ける。乱雑に入れられた手紙や写真。その重なった中に、あの写真を見つける。
恐る恐る引き抜いて表にした。高校時代の写真。嫌そうに顔をしかめるわたしの隣で楽しそうに笑っているブンタの笑顔がそこにはあった。
「ブンタ、みんな頑張っているよ。エイイチもアオイも……。わたしだけだね動けないでいるのは」写真に向かってつぶやく。答えもない、当たり前だ……答えのない写真をしばらく見つめてから、わたしは引き出しにしまう。泣いてなんかいられない。明日は笑顔で話したいから。「ブンタ。わたしも頑張ってみるから……」心の中でそうつぶやいた。

 ハッキリ言って、ブンタはうざいヤツだった。やたらわたしに絡んで、冗談ばっかり言っていた。でも、そのおかげで、わたしはあの六人のグループの中にどうにか入っていられたんだ。
 もともと女子三人の仲良しグループがあって、そこに男子三人が加わった。美人で優しいアオイとおっとりしてドジっ子だったフミエ。その二人の世話を焼くようにして、わたしシオンがつるんでいたのだが、フミエの幼馴染のエイイチとアオイ目当てでソラが加わり、オマケのようにブンタが付いてきた感じで、六人のグループが出来上がった。
 初めは、大雑把なエイイチやなれなれしいソラとわたしはしょっちゅうぶつかってケンカしていたのだが、いつもブンタが上手く仲裁に入ってくれていた。バカな話で茶化したり、笑わせたりして、場を和ませてくれていたんだ。今頃になってやっと気付く、わたしはブンタにたくさん助けられていた事に……。「遅いよ。まったく」そう天国のブンタに叱られそうだ。もっと、もっと早く気が付ければ……。
 この日は深夜まで色々と思い出してしまい、なかなか寝付けなかった。

 次の日、仕事を早めに切り上げて、わたしはアオイの家に向かう。途中で色々と買い込んで、今夜は楽しい二人だけの女子会だ。賑やかなアオイの家の夕食にわたしも加えてもらい。その後、参加したそうなお姉さんを強制的に追い出して、二人でアオイの部屋に閉じこもった。
 笑顔のアオイが目の前にいる。わたしはほっとして、また涙腺が緩みそうになる。ダメ、ダメ。今日は楽しい会なんだから……。
 アオイが東京に行ってからの事を色々と聞いた。わたしもアオイが行ってからのこっちでの出来事を話した。
 二年のブランクが嘘のように楽しい話で盛り上がる。そんな時「ブッ、ブブッ」不意にわたしのスマホがテーブルの上で震えた。慌てて画面を確認するとエイイチだった。「ナイス、タイミング」わたしは急いで取るとスマホをスピーカーモードにした。
「エイイチ、アンタにしてはナイスなタイミングじゃない」からかうようにわたしが言うと。「切るぞ、こら」いつものエイイチの太い声が響く。わたしはアオイに、目で合図してスマホをアオイの方へ向けた。分かったとばかり嬉しそうにアオイはスマホに近付いて声を出した。「エイイチくん、久しぶり。アオイだよ」
「え!」
「ちょっ! え! なんで、お~」慌てたエイイチの声の後にブレーキ音がした。
「エイイチ、大丈夫?」慌ててシオンが聞く。
「バカ野郎! いきなりで驚くだろうが、今の声は本当にアオイか?」
「ええ、そうよ」
「エイイチくん、ゴメン。驚かしちゃったよね……」すまなそうにアオイは謝る、最後の方はよく聞き取れなかった。
「そうか、帰って来てたんだな。心配してたんだぞ、俺もシオンも」
「ごめんね。心配してくれてたんだ……」
「ちょっと、それよりアンタ大丈夫なの? 急ブレーキの音がしたけど」心配で聞くと、エイイチは「大丈夫だ。驚いて危なく田んぼに落ちそうになったけどな」大きな声で笑った。「まったく、気を付けてよね」ホッとしてアオイと二人笑いあった。
「ところで、今どこだ?」
「アオイの家」
「じゃあ、顔出そうか?」
「え、ちょっと、こっちはもうパジャマなんだよ。化粧も落としちゃったし」
「別にお前の顔を見に行く訳じゃあないんだけどな……」
「……死ね」
「お前、そんな言葉どこの看護師が言うんだ?」
「もう、切るからね」
「分かった。じゃあ明日会おう。シオン、時間と場所メールで良いから頼む」そう一方的に言って切ってしまった。冗談交じりのこんな会話が三人でまた出来た。明日もまたこんな話が出来ると思うと、アオイもわたしも楽しくて仕方なかった。

 晴天の果樹園で木陰を探してわたし達はシートを敷いた。持ち寄ったモノを並べてまるでピクニックのようだ。座ったとたんにエイイチがもう缶ビールを開けて先に飲み始める。
「ちょっと、エイイチ。乾杯がまだでしょう」そう注意したわたしに「俺はひと仕事終えてきたんだ。これくらい大目に見ろ」と言ってのどを鳴らして美味しそうに飲む。
「まったく……」わたしは不満げにアオイとささやかに乾杯をした。
「アオイが元気そうで本当良かった。フミエの家にも行ってくれたんだってな……ありがとよ」エイイチにしてはちょっとしんみりと言った。
「エイイチくんも元気そうだね。シオンと二人、フミエのことずっと見守っていてくれたんだもんね……ありがとう」そう言って、下を向いてしまう。
「やめ、やめ。そう言うのはもうおしまいにしましょう」パン、パンと手を叩いてわたしは笑顔を作る。「エイイチ、あんたが湿っぽい事言ってどうするの。天国のフミエに怒られるわよ」そう言ってエイイチを睨んだ。
 エイイチは首をすくめて言う。「おい、フミエが怒ると本当に怖かったんだぞ」アオイもわたしもふき出してしまった。こんな冗談が言いあえる……わたし達にとって二年の月日は決して無駄にはなっていなかった、そう思えた。
 アオイのスマホが急に鳴る。アオイはすまなそうにシートの端に寄って電話をとった。「はい、今、シオンとエイイチくんの果樹園にいます。ちょっと待って下さいね」そう言ってから、わたし達の方を向き聞いた。「ダイチさんが、これから来たいそうですけど。来てもらっても構わないですか?」
「ダイチさん……」久しぶりに聞く名前。ソラのお兄さん。エイイチは時々会っているようだけど、わたしは久しぶりだ。エイイチが手で大きく丸を作ってOKのサインを出している。わたしも軽くうなずいた。なんだろう、少し不安がよぎった。
 
 しばらくすると市役所の軽自動車でダイチさんが来る。「エイイチ悪いな、シオンちゃんは久しぶりだね」そう明るく挨拶をして車を降りた。「ダイチさん、仕事の途中? 不味くないですか」缶ビール片手にエイイチが笑うと。「君たちがチクらなければ大丈夫だよ」楽しそうにそう返す。アオイがシートの隣を空けて、ダイチはそこに腰を下ろした。
 自然なそんなアオイの態度を見て、わたしはチクリと心に刺さるモノを感じてしまう、ふと、ソラの顔が頭に浮かんだ。
「で、どうしたんですか。急いでアオイに電話して」アルコールが少し入って、エイイチの口が滑らかだ。それに対し、ダイチは言いにくそうに三人の顔を見回してから言った。「丁度いいから、二人にも相談乗ってもらおうかな……」結局、三人でダイチさんの話を聞くことになってしまった。

 要約すると、今年のミス燕子花のエントリーが少なく。そして、レベルも低いそうだ。そこで困って実行委員が個別に誘う作戦になったのだが、運悪く、実行委員長(ダイチの上司、課長さんらしい)がアオイの事を知って、ダイチが説得しに来たと言うことらしい……。

「すまない。僕、個人としては反対だったんだけど……上司から直で言われちゃって」すまなそうにしょげている。「だったら、その場で断って下さいよ!」わたしはなじるように言う。「シオン、ダイチさんまだ新人なんだぜ。そんなこと言えるかよ」エイイチに言われてしまう。確かに言いずらいだろう。「いや、良いんだよ。その通りだ。帰ってそう報告するから」うんうんとうなずいてダイチは腰を上げようとした。
「でも、実行委員の人たちが困っているようでしたら……わたし、参加しても……」驚いてアオイをまじまじと見てしまった。自分から進んで何かをすることのなかったアオイが……二年間の時間がこんなにも彼女を成長させたの……。
「シオン、シオンと一緒だったら。わたし参加しても良いかも……」
「えっ」
 やっぱりアオイはアオイだった。二年たっても変わらない所は変わってはいなかった……。

 その後、ダイチさんの運転で市役所に連れていかれたわたし達は、地域振興課の人たちの熱烈な歓迎を受けその場でエントリーをさせられた。燕子花祭り前日のことだった。

 夜、エイイチから電話があった。どうせからかい半分の話だと思い、プンプンしながら出たのだが、内容は違った。
「なあ、アオイに会って思い出したんだけどさ、お前にだけは話すわ。あの場で話そうかと思ったんだけどな、せっかくアオイとダイチさんイイ感じだったから、水差したくなくてな」どんな話なのかわたしは戸惑って静かにうなずいた。
 真面目な声でエイイチが話出す。「あの日、卒業の打ち上げでカラオケボックスに行く前に、ソラが急に言い出したんだよ、『俺、アオイに告白するから』ってな。そしたらブンタがな『どうせなら俺たちも一緒に告白しようぜ』って言い出して、結局、頃合いをみて、三人で揃って告白するってことになったんだよ。でも、あんなことが起こって、それどころじゃなくなってしまったんだ……」
 二年前あの日を思い出す。そうだ、ソラとブンタがどことなく落ち着きがなかったような……。今から思えば微笑ましい光景。アオイはその頃始めたバイトでソラの兄のダイチさんと話をするようになったと言っていた。兄貴に取られそうで必死だったんだろう。一方、ブンタは……。
「ねえ、ブンタも告白するって言ってたの?」
「ああ、あいつがみんなでって言い出したんだぜ」
「そう……」アオイは押され弱いからソラに真面目に告白されたら、きっとOKしていただろう……でも、わたしは……。
「お前は告白されてたらどうした?」
「わたしは……。あの頃のわたしだったら、きっと断っていたわね」
「そうだろうな、でも、今だったら?」
「そうね。きっと違う答えを出していたかも……」むしょうにブンタに会いたくなる。言ってもらえなかった告白。それすらも懐かしい思い出に変わるの? わたしはまだ思い出にはしたくなかった。
 自然と机の引き出しに手が伸びる。中には思い出の写真が無造作にしまってあった。ブンタの写真を探していたわたしの指先に壊れたスマホがあたる。あの当時、使っていたスマホ、あの時逃げる最中に落として、画面が割れて起動しなくなったモノだ。「写真だけでも見れたら良かったのにな……」カラオケボックスで何枚か写した記憶がある。それだけでも見れたらと思った。「エイイチは機械オンチだから、ダイチさんか病院の事務のひとにでも聞いていようかな……」そんな事を思いながら、わたしはミス燕子花の件を極力思い出さないようにしていた。
  
 燕子花祭り最終日にミス燕子花コンテストは中央の特設ステージで大々的に行われた。その後の結果発表の壇上で、わたしは愕然と立ち尽くすことになる。どうしてこうなったの? 敗因は? いくつも不幸が重なり合って、わたしはめでたく(涙)今年のミス燕子花になってしまった……。
 そもそも、職場で先輩に話したのがいけなかった。先輩は院長にまで話して、病院全体で垂れ幕まで作って応援してくれて、組織票もわんさかと入れてくれた。それでも本命のアオイならぶっちぎりのトップだと思いきや、本番は緊張で噛み噛み、手と足が一緒に出る始末。
「はぁー」深いため息をつくわたしを励まそうとエイイチが肩を叩く。「立派だったぞ、シオン。俺の一票が効いたか。まあ、農協の連中にも頼んでおいたのが効いたのかな?」
「エイイチ、お前もか!」思いっきり殴ろうとしたが背の高いエイイチには手が届かなかった。
 組織票恐るべし、わたしはステージ上で拍手喝采の中、突然の激流に巻き込まれた気分しかしなかった……。
 その夜、地域振興課と地元有志の人たちが集まる打ち上げに、わたしとアオイも参加した。アオイの姉のアカネも来ていて、アオイの噛み噛みの話しでひとしきり盛り上がっていた。
 ちょうど良かったので、ダイチさんに壊れたスマホの事を話すと、職場の先輩を紹介される。市役所に持って来ればみてくれると言ってくれた。新しくあの頃の写真が出て来ても、わたしはどうするのか……正直分からないけれど、それは出て来てから考えよう。
 自宅に帰って、机の上に出しておいたスマホを見る。画面が割れて、焦げたところが何か所かあった。焼け残ってくれただけでもありがたい。明日にでも市役所へ持って行くことにする。

 あの日、わたしはトイレに行くために席を立った。前髪が気になって、鏡の前で色々やっていた時。外が騒がしくなり顔を出した時には、廊下がもう火の海になっていたんだ。部屋の方には棚が倒れていて行けず、仕方なく裏の非常口に走った。その時、ブンタはきっとわたしを待っていたんだ。告白をしようと……。

 引き出しの写真を改めて見る。ブンタの笑顔がそこにはあった。「ブンタに笑われないように、わたしも頑張ってみますか!」ブンタが背中を押してくれるならわたしも頑張れる、前に進める、そんな気がした。
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