上 下
6 / 17
プロローグ

〜 契約 〜(1)sideメリッサ

しおりを挟む

メリッサのお話です

*******


私の名前はメリッサ・ランバーテイン

クラウン公爵家に仕えるメイドであると同時に、長子であるウィリアム・レア・クラウン様専属の世話係メイドでございます。
何故私がウィリアム様専属の世話係メイドに任命されたかと言いますと端的に言って屋敷のメイドで私が1番若く現在17歳だからです。
17歳と言うと本来ならば王立学園に通っている筈の年齢なのですが、とある事情により私は学園を退学して懇意であるクラウン公爵家にメイドとして雇っていただきました。

さて、皆さまは専属メイドと言うと多忙なイメージを浮かべると思いますが、ことウィリアム様に関しましてはそれほど忙しくはございません。と言うのも、赤子の頃からウィリアム様は夜泣きはもちろんの事、殆ど泣くこともなく世の赤子達が見本にして欲しいくらい手の掛からない赤子でしたが、私は逆にそれが不気味でした。

だって普通、産まれて間もない子供がハイハイしようとしますか?しませんよね!

その瞬間を目撃した私はウィリアム様に対して恐怖を覚えました。

そんな事を思いながらウィリアム様の世話係になってから1年が過ぎた頃、偶然にも私はウィリアム様が魔力を解放しているところを目撃してしまいました。


––––––––––––


あの日、私は毎朝交換しているシーツの交換を忘れてしまい、いつもより早い時間にウィリアム様の部屋へと向かいました。

コンコンコン!

「失礼しますウィリアム様」


私が部屋に入るとウィリアム様は慌てた様子で声をあげました。

「ちょっ!?嘘でしょ?なんでメリッサがこの時間に!」

「申し訳ございません、今朝シーツの取り替えを忘れてしまい––––ッ!?魔力が漏れて……一体どうなさったのですかウィリアム様?!」

ウィリアム様を見ると、なんと魔力を解放していたのです!
それも私よりも圧倒的な量をたった1歳の子供が……

私が動揺しているとウィリアム様は手を頭に乗せながら困った表情で

「あ~あ、見つかっちゃたかぁ~…。まぁメリッサならしょうがないよなぁ……」

と言いながら私の側に近づいて来ます。

「あぁ……うそ……」

私はその場で尻餅をつきながらウィリアム様の事を見上げて泣いていました。

こう見えて私は王立学園で上位10人に入るくらいの実力がありましたが、目の前にいるウィリアム様の魔力は10人全員が束にかかっても相手にならないと思える程に次元が違い過ぎました。

(ど、どうしよう……私、殺されるのかなぁ?)

私がそう思っていると、ウィリアム様は笑みを浮かべながら予想外の事を言ってきました。

「ねぇメリッサ。俺と契約しない?」

「………はい?」

私は思わず素っ頓狂な声を出してしまいました。

(契約?契約って何を?)

私が考え込んでいると、ウィリアム様は更に話を続けます。

「契約の内容は、メリッサに俺の協力者になって欲しいんだよ。その代わりに俺はメリッサのを果たす為の手伝いをしてあげるから」

「?!」

「あれ?そんなに驚いてどうしたの?」

「わ、私の目的がなんなのかウィリアム様はご存知なのですか?」

「えっ?うん知ってるよ。メリッサが元伯爵令嬢だって事も、両親が何者かに殺された事も、メリッサの目的が両親の復讐だって事も」

「どうして知ってるんですか?この事を知っているのは旦那様と執事長のお二人だけなのに……」

私が質問するとウィリアム様は何処からか手帳の様なものを取り出してページを開くと内容を声に出して読んでいく。

「『メリッサ・ランバーテイン』元伯爵令嬢で16歳の時に両親を殺され、その後ランバーテイン家は取り潰しになり、かねてから交友があったクラウン公爵家のメイドとして働きながら情報を集めるが全く情報を得る事が出来ず、復讐を果たせず終わるか………で、どうする?俺と契約すればメリッサの復讐に手を貸すけど?」

「失礼ながらご質問があります」

「何?」

「もし私がウィリアム様のことを旦那様や奥様に話したらどうなるのでしょうか?」

「そうだねぇ……取り敢えず記憶を消すか、出来なければ一生眠って貰おうかな」

引くも地獄。進むも地獄。

そんな2択に対して私は

「…………分かりました。ウィリアム様と契約いたします」

「おお!ありがとうメリッサ。お陰で君を殺さずにすみそうだよ」

さらっと恐ろしいことを言うウィリアム様に対して苦笑いをしながら私は

「よろしくお願いします」

と、ウィリアム様の提案を受け入れました。

「よろしくねメリッサ」

こうして私とウィリアム様は契約を結びました。

しかし翌日、私はウィリアム様と契約した事を後悔することになります。

だって………







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

女性限定の『触れて治癒する』治療方法に批判が殺到して廃業を考えたが結果が凄すぎて思ったよりも受け入れて貰えた

夢幻の翼
ファンタジー
『触れて治癒する』と言う独特の治癒士として活動するナオキは現代日本で救急救命士として就職したばかりの青年だったが不慮の事故により異世界へと転生した。 人々を助けたいとの熱い思いを女神に願った彼は転生先で治癒士として活動を始めたがある問題にぶつかる。 それは、どんな難病も瀕死の大怪我も治療出来るが『患者の胸に触れて魔力を流し込む』必要があり、しかも女性にしか効果が無いという『限定能力』だった。 ※カクヨムにて先行配信しています。 カクヨムへのリンクも貼ってありますので続きを早く読みたい方はそちらからお願いします。

転生した社畜は異世界でも無休で最強へ至る(旧題|剣は光より速い-社畜異世界転生)

丁鹿イノ
ファンタジー
【ファンタジア文庫にて1巻発売中!】 深夜の職場で人生を終えた青桐 恒(25)は、気づいたらファンタジーな異世界に転生していた。 前世の社畜人生のお陰で圧倒的な精神力を持ち、生後から持ち前の社畜精神で頑張りすぎて魔力と気力を異常に成長させてしまう。 そのうち元Sクラス冒険者である両親も自重しなくなり、魔術と剣術もとんでもないことに…… 異世界に転生しても働くのをやめられない! 剣と魔術が存在するファンタジーな異世界で持ち前の社畜精神で努力を積み重ね成り上がっていく、成長物語。 ■カクヨムでも連載中です■ 本作品をお読みいただき、また多く感想をいただき、誠にありがとうございます。 中々お返しできておりませんが、お寄せいただいたコメントは全て拝見し、執筆の糧にしています。 いつもありがとうございます。 ◆ 書籍化に伴いタイトルが変更となりました。 剣は光より速い - 社畜異世界転生 ~社畜は異世界でも無休で最強へ至る~ ↓ 転生した社畜は異世界でも無休で最強へ至る

ゲームの《裏技》マスター、裏技をフル暗記したゲームの世界に転生したので裏技使って無双する

鬼来 菊
ファンタジー
 飯島 小夜田(イイジマ サヨダ)は大人気VRMMORPGである、『インフィニア・ワールド』の発見されている裏技を全てフル暗記した唯一の人物である。  彼が発見した裏技は1000を優に超え、いつしか裏技(バグ)マスター、などと呼ばれていた。  ある日、飯島が目覚めるといつもなら暗い天井が視界に入るはずなのに、綺麗な青空が広がっていた。  周りを見ると、どうやら草原に寝っ転がっていたようで、髪とかを見てみると自分の使っていたアバターのものだった。  飯島は、VRを付けっぱなしで寝てしまったのだと思い、ログアウトをしようとするが……ログアウトボタンがあるはずの場所がポッカリと空いている。  まさか、バグった? と思った飯島は、急いでアイテムを使用して街に行こうとしたが、所持品が無いと出てくる。  即行ステータスなんかを見てみると、レベルが、1になっていた。  かつては裏技でレベル10000とかだったのに……と、うなだれていると、ある事に気付く。  毎日新しいプレイヤーが来るゲームなのに、人が、いないという事に。  そして飯島は瞬時に察した。  これ、『インフィニア・ワールド』の世界に転生したんじゃね?  と。  取り敢えず何か行動しなければと思い、辺りを見回すと近くに大きな石があるのに気付いた。  確かこれで出来る裏技あったなーと思ったその時、飯島に電流走る!  もしもこの世界がゲームの世界ならば、裏技も使えるんじゃね!?  そう思った飯島は即行その大きな岩に向かって走るのだった――。 ※『小説家になろう』様、『カクヨム』様にも投稿しています。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

破滅する悪役五人兄弟の末っ子に転生した俺、無能と見下されるがゲームの知識で最強となり、悪役一家と幸せエンディングを目指します。

大田明
ファンタジー
『サークラルファンタズム』というゲームの、ダンカン・エルグレイヴというキャラクターに転生した主人公。 ダンカンは悪役で性格が悪く、さらに無能という人気が無いキャラクター。 主人公はそんなダンカンに転生するも、家族愛に溢れる兄弟たちのことが大好きであった。 マグヌス、アングス、ニール、イナ。破滅する運命にある兄弟たち。 しかし主人公はゲームの知識があるため、そんな彼らを救うことができると確信していた。 主人公は兄弟たちにゲーム中に辿り着けなかった最高の幸せを与えるため、奮闘することを決意する。 これは無能と呼ばれた悪役が最強となり、兄弟を幸せに導く物語だ。

異世界召喚されたら無能と言われ追い出されました。~この世界は俺にとってイージーモードでした~

WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
 1~8巻好評発売中です!  ※2022年7月12日に本編は完結しました。  ◇ ◇ ◇  ある日突然、クラスまるごと異世界に勇者召喚された高校生、結城晴人。  ステータスを確認したところ、勇者に与えられる特典のギフトどころか、勇者の称号すらも無いことが判明する。  晴人たちを召喚した王女は「無能がいては足手纏いになる」と、彼のことを追い出してしまった。  しかも街を出て早々、王女が差し向けた騎士によって、晴人は殺されかける。  胸を刺され意識を失った彼は、気がつくと神様の前にいた。  そしてギフトを与え忘れたお詫びとして、望むスキルを作れるスキルをはじめとしたチート能力を手に入れるのであった──  ハードモードな異世界生活も、やりすぎなくらいスキルを作って一発逆転イージーモード!?  前代未聞の難易度激甘ファンタジー、開幕!

初めに戻って繰り返す

都山光
ファンタジー
その少年の心はいつも憂鬱だった。 少年は両親を事故で失いおらず、従姉がいるがいつも一人だった。 亡き両親の願いで行っている学園では、クラスで不思議と避けられ蔑まれるように。 そんな少年が高校3年となった時、偽りの自分を捨てられる場所へと行く事となった。 クラスメイト達と共に? 勇者召喚? 女神の加護なし? 聖剣に選ばれていた? そんなの関係ねぇ~とばかりに自由気ままな異世界ライフを堪能する。 これはかなり歪んだ少年の神と女神なんて知らない自由放浪物語である… ○主人公の名前は3話目に分かります。 ○本編=主人公side ○過伝=キャラの過去の話。 ○外伝=主に勇者召喚されたキャラやほかの重要人物達メインの話。

前世の記憶で異世界を発展させます!~のんびり開発で世界最強~

櫻木零
ファンタジー
20XX年。特にこれといった長所もない主人公『朝比奈陽翔』は二人の幼なじみと充実した毎日をおくっていた。しかしある日、朝起きてみるとそこは異世界だった!?異世界アリストタパスでは陽翔はグランと名付けられ、生活をおくっていた。陽翔として住んでいた日本より生活水準が低く、人々は充実した生活をおくっていたが元の日本の暮らしを知っている陽翔は耐えられなかった。「生活水準が低いなら前世の知識で発展させよう!」グランは異世界にはなかったものをチートともいえる能力をつかい世に送り出していく。そんなこの物語はまあまあ地頭のいい少年グランの異世界建国?冒険譚である。小説家になろう様、カクヨム様、ノベマ様、ツギクル様でも掲載させていただいております。そちらもよろしくお願いします。

処理中です...