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日本語は難しい

「て、に、を、は」の使い方

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 「て、に、を、は」とは、助詞の古い呼び名です。

 簡単に言うと「て」「に」「を」「は」「が」「も」「に」など、語句と他の語句との関係を示したり、文章に一定の意味を加えたりする言葉が「て、に、を、は」と呼ばれています。

 その由来は古く、漢文の読み方から始まります。
 今も残るレ点などとは別に、漢字の周囲に点を打ち、その位置で読み方を示す方法がありました。
 左下から順に四隅を「テ」「ニ」「ヲ」「ハ」とあてていたそうです。

 元来は、補助的な働きをするもの(助詞だけでなく、助動詞、接尾語など)の総称でした。
 明治の辞書・言海は語法指南(文法解説)のページに品詞名として掲げ、本文で「行きて見る」「馬に乗る」「花を見る」「風は吹く」と例を挙げています。

 「て、に、を、は」の使い方を誤ると、文章のつじつまが合わなくなったり、 ニュアンスが異なってくるので要注意です。

●例
「彼|が(・)帰ってきたら、教えてください」
「彼|も(・)帰ってきたら、教えてください」

 上の文では、発言者が待っているのは、彼一人という事になります。
 しかし下の文では、彼だけでなく他の人を含んでいる可能性があります。

 この程度の「て、に、を、は」の使い分けなら、それほど難しいと思わないかもしれませんが、「てにをは」の中で、本当に使い分けが難しいのは「が」と「は」です。

 ここでは、この二つに絞って解説します。

【は】
 主に『比較』や『区別』する場合に使います。

【が】
 主に『好きなこと』『能力』『希望』などに使います。
 『は』よりも新しい情報に使います。
 

●例
 私は本を読むこと|が(・)好きです。
 私は本を読むこと|は(・)好きです。

 上の例文を比較してみてください。

 「本を読むこと|は(・)好きです」と書いた場合、複数ある好きなモノの1つとして好きだというニュアンスになります。

 そして「が」を使った場合は、「は」よりもく好きだという感情が強く伝わります。

●例2
 私は一冊の本を30分で速読すること|が(・)できます。
 私は一冊の本を30分で速読すること|は(・)できます。

 「は」を使った場合、速読することはできるが、他の何かができないとも取れます。
 あるいは、本を30分でなら速読できるが、30分以下の短時間では速読できないような印象を与えます。

 「が」を使った文章に比べて、自信が無いような感じになります。

●例3
 彼|が(・)会社にやってきた。
 彼|は(・)会社にやってきた。

 「が」を使った場合、彼はたったいま会社にやってきたような意味になります。
 「は」を使った場合は、彼が会社にやってきたのは、少し前のような意味になります。

 また、「が」は彼を見ている人が語っていて、 「は」は誰かが回想しているように聞こえます。

●例4
「私|が(・)鈴木です」
「私|は(・)鈴木です」

 初対面の人に会った場合、「私が鈴木です」と言うのが正解です(相手と会う予定である場合)
 すでに面識のある相手に会った場合は、「私は鈴木です」と言います。

 このように「が」は未知のこと、「は」は既知のことに対して使う、という慣習もあります。

●例5
 昔々あるところに、おじいさんとおばあさん|が(・)いました。
 おじいさん|は(・)山に芝刈りに、おばあさん|は(・)川に洗濯に行きました。

 これは、日本昔話の桃太郎の冒頭です。
 これも未知と既知として「が」と「は」が使われています。

 おじいさんとおばあさんが、初登場した時には「が」が、使われています。これは二人が未知の人物だからです。
 二人が読者にとって既知の人物になった二行目は、「は」が使われています。





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