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用語・仕組み・制度など
許嫁と婚約者の違い。貴賎結婚とは?
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★『許嫁』と『婚約者』の違い。
この2つの言葉は、日本語では明確に区別されています。
日本では『結納』のような婚約の『証』が有って以降が『婚約者』となります。
幼い時から親同士が『将来結婚させよう』と約束するのは『許嫁』です。
許嫁は、結納などの『証』が無い状態で『本人たちの賛成同意』が無く、親や親族の意志が反映された結婚の約束が多いですが、親に言われるうちに『本人たちが将来結婚するんだ』と認識する事も良くあります。
もしも親たちに『結婚の申し込みをする予定』だったり、喪が明けていないなどの理由から『結納式をすぐにできない事情がある』場合は、それが口約束であっても世間一般から『婚約者』と認められる事もあります。
なお『本人同士が望んだ結婚の約束』の場合、プロポーズの承諾で『婚約した』『婚約者になった』と表現する事がありますが、これは事後承諾とか既成事実で世間に周知させるという事なので、昔は褒められた行為ではなかったようです。
一方、欧州では許嫁と婚約者は区別されていません。
英語やフランス語での区別は『性別』です。
紹介される人物の性別によって分かれます。
女性婚約者(彼女)=Fiancee
男性婚約者(彼)=Fiance
両方ともカタカナ表記が『フィアンセ』となってしまい、どっちにせよ区別が付けられません(笑)
脱線しますが……日本語だと『この人は私の許嫁です』と言った場合は、本人がその結婚を望んでいるか判断が難しいですが『この人は私の婚約者です』と言ったら、もうそれはどんな経緯で決まったものだとしても、少なくとも言った本人は相手と『近々結婚するつもり』だという事になります。
求婚や、親へ結婚の申し込み、家族の顔合わせ、結納、それらが整ってから『婚約者』と呼ぶのが普通なのに、それらが無い状態で『婚約者』と言うって事は、すぐにでも求婚するか、縁談を申し込むか、いずれにしろ発言した人は『結婚の意志がある』という事で、そのつもりが無いならそんな言葉は使いません。
それを踏まえて。
むかーしの小説などは、無口で感情が分かりにくい男性が友人に『僕の婚約者だ』と紹介して、女性が嬉し涙を流し、こっそり着物の袖で拭うという描写がありました。
何にも確かな事は書かれていないのに、じんわり心情が伝わってくる書き方で、日本語って、すごく奥ゆかしい表現ができる言葉だなと思いました。
* * * * *
★教会法
中世ヨーロッパも時代が経つにつれ(19世紀前後から)徐々にこの『親同士の勝手な婚約』に対して教会が介入するようになってきます。
たとえ親同士が決めた結婚であっても、最後には必ず『花嫁の同意』が求められるように教会法で規定されました。
そして時代が進むと更に、本人たちの意思が尊重される様になります。
現在と同じ様に『本人同士(花婿と花嫁)の自由意思』による恋愛結婚の例も見られるようになります。
しかしそれはごく一部の例外でした。
現実にはその後も、殆どの場合は両親同士が勝手に結婚相手を決めていたようです。
そして結婚相手は基本的に『同じ爵位同士』でとなります。
キリスト教文明圏であるヨーロッパの君主国での結婚形態は『一夫一婦制』であるため、君主やその親族の身分の釣り合いのとれた対等結婚が重視されます。
妻が1人なので、必然的に彼女が生んだ子が次の跡継ぎとなり、一度でも階層の違う(階層が低い家)の女性を嫁にすれば『下賤な血が混じった』となれば、末代まで侮蔑の対象となり、取り返しがつかなくなると考えられていたからです。
そういう訳で、階級が違う男女の結婚は、貴賤結婚、モルガナティック・マリッジ(morganatic marriage)と呼ばれ、特に反対されていました。
貴賎結婚とは、配偶者同士の間で、所属する社会的階層、済的階層、法的身分などに大きく隔たりが存在する婚姻のことです。
具体的には、爵位の高い令嬢を低い家が嫁にもらうと、婚前と同じ暮らしをさせてあげられないので、夫の面子の問題になります。
そして妻の方も不自由な暮らしは辛いので、良いことは無いとまで言われていました。
逆に格下の階層から嫁いできて、家格や富裕の差で親戚の中で疎まれる。
社交の場であるお茶会、晩餐会、舞踏会などで蔑まれる。
夫が弱い立場の妻に遠慮なしで遊びまわる。
このように、こちらもあまり良いことはありませんでした。
この2つの言葉は、日本語では明確に区別されています。
日本では『結納』のような婚約の『証』が有って以降が『婚約者』となります。
幼い時から親同士が『将来結婚させよう』と約束するのは『許嫁』です。
許嫁は、結納などの『証』が無い状態で『本人たちの賛成同意』が無く、親や親族の意志が反映された結婚の約束が多いですが、親に言われるうちに『本人たちが将来結婚するんだ』と認識する事も良くあります。
もしも親たちに『結婚の申し込みをする予定』だったり、喪が明けていないなどの理由から『結納式をすぐにできない事情がある』場合は、それが口約束であっても世間一般から『婚約者』と認められる事もあります。
なお『本人同士が望んだ結婚の約束』の場合、プロポーズの承諾で『婚約した』『婚約者になった』と表現する事がありますが、これは事後承諾とか既成事実で世間に周知させるという事なので、昔は褒められた行為ではなかったようです。
一方、欧州では許嫁と婚約者は区別されていません。
英語やフランス語での区別は『性別』です。
紹介される人物の性別によって分かれます。
女性婚約者(彼女)=Fiancee
男性婚約者(彼)=Fiance
両方ともカタカナ表記が『フィアンセ』となってしまい、どっちにせよ区別が付けられません(笑)
脱線しますが……日本語だと『この人は私の許嫁です』と言った場合は、本人がその結婚を望んでいるか判断が難しいですが『この人は私の婚約者です』と言ったら、もうそれはどんな経緯で決まったものだとしても、少なくとも言った本人は相手と『近々結婚するつもり』だという事になります。
求婚や、親へ結婚の申し込み、家族の顔合わせ、結納、それらが整ってから『婚約者』と呼ぶのが普通なのに、それらが無い状態で『婚約者』と言うって事は、すぐにでも求婚するか、縁談を申し込むか、いずれにしろ発言した人は『結婚の意志がある』という事で、そのつもりが無いならそんな言葉は使いません。
それを踏まえて。
むかーしの小説などは、無口で感情が分かりにくい男性が友人に『僕の婚約者だ』と紹介して、女性が嬉し涙を流し、こっそり着物の袖で拭うという描写がありました。
何にも確かな事は書かれていないのに、じんわり心情が伝わってくる書き方で、日本語って、すごく奥ゆかしい表現ができる言葉だなと思いました。
* * * * *
★教会法
中世ヨーロッパも時代が経つにつれ(19世紀前後から)徐々にこの『親同士の勝手な婚約』に対して教会が介入するようになってきます。
たとえ親同士が決めた結婚であっても、最後には必ず『花嫁の同意』が求められるように教会法で規定されました。
そして時代が進むと更に、本人たちの意思が尊重される様になります。
現在と同じ様に『本人同士(花婿と花嫁)の自由意思』による恋愛結婚の例も見られるようになります。
しかしそれはごく一部の例外でした。
現実にはその後も、殆どの場合は両親同士が勝手に結婚相手を決めていたようです。
そして結婚相手は基本的に『同じ爵位同士』でとなります。
キリスト教文明圏であるヨーロッパの君主国での結婚形態は『一夫一婦制』であるため、君主やその親族の身分の釣り合いのとれた対等結婚が重視されます。
妻が1人なので、必然的に彼女が生んだ子が次の跡継ぎとなり、一度でも階層の違う(階層が低い家)の女性を嫁にすれば『下賤な血が混じった』となれば、末代まで侮蔑の対象となり、取り返しがつかなくなると考えられていたからです。
そういう訳で、階級が違う男女の結婚は、貴賤結婚、モルガナティック・マリッジ(morganatic marriage)と呼ばれ、特に反対されていました。
貴賎結婚とは、配偶者同士の間で、所属する社会的階層、済的階層、法的身分などに大きく隔たりが存在する婚姻のことです。
具体的には、爵位の高い令嬢を低い家が嫁にもらうと、婚前と同じ暮らしをさせてあげられないので、夫の面子の問題になります。
そして妻の方も不自由な暮らしは辛いので、良いことは無いとまで言われていました。
逆に格下の階層から嫁いできて、家格や富裕の差で親戚の中で疎まれる。
社交の場であるお茶会、晩餐会、舞踏会などで蔑まれる。
夫が弱い立場の妻に遠慮なしで遊びまわる。
このように、こちらもあまり良いことはありませんでした。
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