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回避方法を模索する
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「あ、あら? あんなところに池が?」
「あぁ、人工池です。中には外国から贈られた珍しい魚が飼育されています」
「まぁ、私見てみたいわ」
「今ですか?」
「えぇ。今です」
完全に棒読みだけど、アデリアーナは気にしない。
気になったのはアンセムだ。
いつもとは違うアデリアーナの様子に、いきなりどうしたのかと困惑しているのが伝わってくる。
「そうですか……しかし時間が……」
「ほんの少し。……ちょっと覗くくらいなら間に合いますでしょう? ね? お願い」
可愛く小首を傾げて見せる事も忘れない。
何故なら予知夢に出てきたパナピーアがこの仕草を乱用して、断罪四人組のみならず学園の男子生徒を籠絡して回っていたからだ。
アデリアーナは確実に学んでいた。
男子はこの仕草に弱いのだと……。
そして今は王立学園の入学前。
まだ王太子妃教育を受けて日の浅い彼女は、ポーカーフェイスも王族の威厳も完全には身に付いてはいない。
今の彼女は幼いながらに美しく可憐な美少女。
予知夢で学んだ今のアデリアーナのほうがパナピーアより断然魅力的だった。
だから彼女が可愛くお願いすれば、思春期真っ盛りのお坊っちゃまなど一溜りもない。
アンセムはアデリアーナにデレデレだ。
しかし相手は公爵令嬢にして王太子の婚約者。
彼は殿下の側近だ。
『ここはキッパリお断りを……』と思って彼女を見ると天使の微笑みが返ってきて……。
「……少し。……本当に少しだけですよ?」
「嬉しい。アンセム様はお優しいのね」
まだ上があったのかと驚くほどの笑顔のあと、ダメ押しにもう一度コテンと首を傾げた。
途端にアンセムは赤面してそっぽを向く。
完全に彼の負けだった。
そしてさっきよりも明らかに気を遣った歩みで、アデリアーナを池の方へと誘っていく。
アデリアーナから彼の顔は見えなかったが、照れているのは丸分かり。
あまりにも簡単に思い通り動いてくれて、彼女は非常に驚いていた。
アンセム様って……。
これはメイドたちが言っていた、ちょろ過ぎる……というものでしょうか?
それともパナピーアさんの男性を落とすテクニックがすごいのでしょうか?
でもこれでパナピーアさんとの鉢合わせは回避できましたわね?
あぁ良かった。
アデリアーナは軽く池を見て周り、安心して校舎に入って行く。
午前中とはいえ日差しのあった外とは違う、冷んやりした空気の中エドウィンの元へと進んでいく。
途中で上級生と思われる生徒が歩いてきた。
「ごきげんよう。この先の階段は今、業者が教材の搬入中なのです。すみませんが向こうの階段に回っていただけますか?」
「ありがとう、そうするよ。──アデリアーナ様こちらへ」
「え? そちらですか……?」
まさかこんなところで元通りの道に誘導とか、そんな事ってありますの⁉︎
アデリアーナは心の中で大混乱していた。
そんな事はアンセムに分かるはずもない。
「どうしました?」
「いえ、何でもありません」
うまい言い訳も思い付かず、結局例の廊下を歩く羽目に……。
ほどなくして見覚えのある場所に差し掛かる。
あ、ここですわ。
ここで左からパナピーアさんが突然飛び出して来たのでしたね。
でも、あの時と時間がズレているし、大丈夫……ですわよね?
タタタ、タタタ……。
アデリアーナは耳を疑った。
足音は後ろからやって来る。
「あぁ、人工池です。中には外国から贈られた珍しい魚が飼育されています」
「まぁ、私見てみたいわ」
「今ですか?」
「えぇ。今です」
完全に棒読みだけど、アデリアーナは気にしない。
気になったのはアンセムだ。
いつもとは違うアデリアーナの様子に、いきなりどうしたのかと困惑しているのが伝わってくる。
「そうですか……しかし時間が……」
「ほんの少し。……ちょっと覗くくらいなら間に合いますでしょう? ね? お願い」
可愛く小首を傾げて見せる事も忘れない。
何故なら予知夢に出てきたパナピーアがこの仕草を乱用して、断罪四人組のみならず学園の男子生徒を籠絡して回っていたからだ。
アデリアーナは確実に学んでいた。
男子はこの仕草に弱いのだと……。
そして今は王立学園の入学前。
まだ王太子妃教育を受けて日の浅い彼女は、ポーカーフェイスも王族の威厳も完全には身に付いてはいない。
今の彼女は幼いながらに美しく可憐な美少女。
予知夢で学んだ今のアデリアーナのほうがパナピーアより断然魅力的だった。
だから彼女が可愛くお願いすれば、思春期真っ盛りのお坊っちゃまなど一溜りもない。
アンセムはアデリアーナにデレデレだ。
しかし相手は公爵令嬢にして王太子の婚約者。
彼は殿下の側近だ。
『ここはキッパリお断りを……』と思って彼女を見ると天使の微笑みが返ってきて……。
「……少し。……本当に少しだけですよ?」
「嬉しい。アンセム様はお優しいのね」
まだ上があったのかと驚くほどの笑顔のあと、ダメ押しにもう一度コテンと首を傾げた。
途端にアンセムは赤面してそっぽを向く。
完全に彼の負けだった。
そしてさっきよりも明らかに気を遣った歩みで、アデリアーナを池の方へと誘っていく。
アデリアーナから彼の顔は見えなかったが、照れているのは丸分かり。
あまりにも簡単に思い通り動いてくれて、彼女は非常に驚いていた。
アンセム様って……。
これはメイドたちが言っていた、ちょろ過ぎる……というものでしょうか?
それともパナピーアさんの男性を落とすテクニックがすごいのでしょうか?
でもこれでパナピーアさんとの鉢合わせは回避できましたわね?
あぁ良かった。
アデリアーナは軽く池を見て周り、安心して校舎に入って行く。
午前中とはいえ日差しのあった外とは違う、冷んやりした空気の中エドウィンの元へと進んでいく。
途中で上級生と思われる生徒が歩いてきた。
「ごきげんよう。この先の階段は今、業者が教材の搬入中なのです。すみませんが向こうの階段に回っていただけますか?」
「ありがとう、そうするよ。──アデリアーナ様こちらへ」
「え? そちらですか……?」
まさかこんなところで元通りの道に誘導とか、そんな事ってありますの⁉︎
アデリアーナは心の中で大混乱していた。
そんな事はアンセムに分かるはずもない。
「どうしました?」
「いえ、何でもありません」
うまい言い訳も思い付かず、結局例の廊下を歩く羽目に……。
ほどなくして見覚えのある場所に差し掛かる。
あ、ここですわ。
ここで左からパナピーアさんが突然飛び出して来たのでしたね。
でも、あの時と時間がズレているし、大丈夫……ですわよね?
タタタ、タタタ……。
アデリアーナは耳を疑った。
足音は後ろからやって来る。
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